独りケアマネが抱える自由と孤独

独りケアマネが抱える自由と孤独

自由を謳歌し、自己管理を強いられる独り職場

半独立型社会福祉士としてリスタートを切ってから2ヶ月。おかげさまで、ここまで順調に計画相談支援の件数をこなしております。

社会人歴21年にして初めての独り職場でして、これまでの経験にない劇的な職場環境の変化を愉しんでいます。

勤務時間はいちおうは決まっているのですが、相談者の都合によって時間外対応をせざるを得ない場合も少なくなく、その分、どこかで帳尻を合わせるコトになります。ある意味、フレックス制でもあります。

正直なところ、独り職場というコトになれば、他者の目に晒される状況ではありませんので、自分で自分を律するセルフマネジメントができるかどうかに尽きるところであります。

お世話になっている障害福祉サービス提供事業所の管理者さんと、独り職場で働くメリットとデメリットについて話した際も、セルフマネジメントの可否について言及がなされました。

その管理者さんは、名前を言えば誰もが知っている株式会社に所属しているのですが、以前、独り職場で短期間働いた経験があるとのコト。ですが、「僕にはちょっとダメでしたね。どうしても遊んじゃって…」との話でした。

 

独り職場における自由の象徴~ラジオとエレキギター

僕のオフィスには、障害者ケアマネの仕事とは全く関係ないものが2つ置いてあります。ラジオとエレキギターです。ラジオは法人スタッフの置き土産、エレキギターは、趣味のキット製作で組んだ1本です。

エレキギターは、昼食後の昼休みに弾くのに置いています。勤務時間のうち、タップリ1時間の休憩時間を充てるべきなのですが、食後にするコトもないので、「ちょっと練習しとくか」ぐらいの軽いノリで鳴らしています。

かつての職場の部下だった障害者ケアマネが見学に訪れた際、すぐにギターを発見し、「なんで置いてあるんですか?」と訊かれた際、「自由の象徴」と即答したものでした。

もうひとつの自由の象徴はラジオです。これまでの職場では音楽を聴きながら仕事をするなど考えられませんでした。けっこうお堅い職場だったので止むを得ないのですが。

爆音でリスニングするなら仕事の妨げになりますが、抑えた音量でラジオを聴くのであれば、かえって作業効率が上がるというものです。独り職場のオフィスには静寂しかありませんので。

今の職場には業務仕様のクルマがないのでマイカーを使っており、自転車通勤ができなくなりましたが、公用車があればロードバイクで通勤してオフィス内で保管していたコトでしょう。

 

独り職場の仕事のスタイルは自由だけど…

僕以外にも数名ですが、わがマチには独りケアマネが存在しています。共通しているのはセルフマネジメントに長けた独立独歩型の性格で、自分に甘く依存心の高いタイプに独りケアマネは向いていないといえます。

独り職場なのをイイコトに、直行直帰の際にちょこっと勤務時間の水増しをしているケアマネもいないワケではないようですが、彼ら彼女らは与えられた自由の中でキッチリ仕事をやり遂げます。

どこかで手を抜けば、必ずどこかで帳尻合わせを迫られるコトになる。すべては自己責任、それが独りケアマネの宿命であります。

独りケアマネが誰かにツケ回しをしないためには、与えられた仕事を独力で遂行しなければならず、最後までやり遂げるためには相応の気力体力、そして実力の裏付けが必要であります。

独り職場を任されたというコトは、「仕事で結果さえ出してくれれば、細かいコトは言わんよ」と期待されての話です。ノルマ達成を引き換えに、自由裁量を認めているといえます。

というか、そもそも信頼されていなければ、独り職場を任されるハズがありませんので。

 

独り職場が抱える苦悩と苦労

会社の方針や経営陣との信頼関係など様々な要素が絡み合っての話ですが、独りケアマネは自由と引き換えにノルマと責任の一切を自ら背負わなければならない宿命にあります。

そして、その宿命に向き合い、相応の結果を出し続けるためには、考え得るあらゆるケースに対応し得る知識や経験、解決に導くための技能、情報収集や業務依頼ができる人脈が必要になります。

僕も経験年数だけならベテランの域に達する長年のキャリアがあったからこそ、今こうして独りケアマネの自由を謳歌していますが、5~10年程度の中堅程度のキャリアであれば恐らく途中で挫折していたコトでしょう。

事実、僕の周りの独りケアマネの皆さんも出自はそれぞれですが僕と同等あるいは以上のキャリアを誇る中堅以上のベテランばかり、腕利きの社会人ばかりであります。

逆に、大変残念なコトに相談支援事業所を閉めてしまう独りケアマネもいます。様々な事情があったものと推察しますが、障害者ケアマネの仕事に行き詰まって辞めるヒトも少なくないと聞きます。次の職場でのご活躍を祈念するばかりであります。

 

独り職場の業務方針は自ら決断しなければならない

独りケアマネは自由裁量の名の下、どれだけの件数をこなすのかを自分で決めなければなりません。ノルマ至上主義の会社でない限り。

個々の相談者の生活が順調なうちはイイですが、そのうちの誰かがトラブルをおこしたりすれば、その解決にかかりきりになって他の仕事が遅れます。

また、ケアマネ自身の健康管理も重要であります。自分が潰れても代わりはいないのですから。いったん引き受けた以上、絶対に責任を負える範囲内で契約数をコントロールすべきです。

介護報酬を少しでも高く得ようと思えば、それだけ件数をこなせば結果がついてきます。ですが、オーバーワークによってサービス等利用計画の精度が落ちるとすれば、それは考えものであります。

しかしながら、わがマチのように障害者ケアマネの絶対数が不足し、セルフプランを作成せざるを得ないサービス利用者が多数います。

そうした利用者の1人でも多く計画相談をつけたいという思いで、多少の精度が落ちるのに目を瞑ってでも引き受けるという考え方もあります。

仕事の精度を担保した上で契約件数をセーブすべきか。それとも、できる限りの件数をこなしていくか。僕はどちらの考え方も正しい方針であると思っていますので、それぞれのケアマネを支持します。

利用者が選べないという現状については国の責任が重いと思っていますが(高齢者ケアマネのように毎月モニタリングが認められていないコトもあって報酬が安い)、それを声高に叫んだところで現状が即座に変わるとは思えませんので。

僕も含めた独りケアマネだけに限った話ではありませんが、障害者ケアマネはみな、所属先の意向をふまえつつ、個々の主義や信念のもとで日々の計画相談支援に取り組んでいます。