雨垂れ石を穿つ~エレキギター上達の極意とは

雨垂れ石を穿つ~エレキギター上達の極意とは

速弾き全盛の青春時代

僕が人生の中で最もエレキギターを弾きまくっていた頃、世の中の人気を席巻していたのは速弾き至上主義のハードロック(現在「メタル」と呼ばれているジャンル)でした。

当時は「X」だったX JAPANを筆頭に、洋の東西を問わず、ミュージックシーンでは速弾きが一世を風靡し、エレキギターといえば超絶テクニックをこぞって競っていたものでした。

現在はコンピュータ制御による電子的な重低音を駆使したダンスミュージックやギターソロが一切介在しないポップミュージックが好まれるご時世となり、淋しい限りであります。

たまに行きつけの楽器店に行き、試奏ブースから「おっ!」と思うような速弾きが耳に飛び込んでこようなら速攻で覗くのですが、演奏しているのは僕と同年代か年配の方という次第。かつてのように、指板から煙が出るのではないかと思えるほど速弾きに興じる若者を見かける機会は皆無。

こうした音楽の嗜好は世界共通のようでありまして、往年の速弾きバンドはヨーロッパや日本などの一部の国でのみ熱狂的な人気。マイケルシェンカーといった大物がこぞって来日しては、オールドファンを狂喜させている現状であります。

 

エレキギターも速弾きも、その気になれば独学でプレイできる

僕が中高生だった頃は現在のようにネットで何でも情報を得られる時代ではなく、エレキギター専門誌の演奏解説や好きなバンドのスコア(楽譜)を読みながらの独学でした。

僕が最初に買ったのは、エレキギターを買った音楽店で見つけた初心者向けテキストでした。ほぼマンガで展開するエレキギターの基本を学びながら、ピックの持ち方や弦の押さえ方を参考に鳴らしていました。

当時の練習法はいたってシンプルで、まずはスコアのとおり弾けるようになるために何度も練習する。そして、「ある程度は弾けるようになったかな?」と思ったところでCDやカセットテープの音源を流してプレイし、音源に合わせてみるのです。

最初の数回は、全く音源のスピードに付いていけません。リズムもどこか違います。「こんなに速いのかよ?」と泡食ってしまい、とても音源を聴きながらの演奏ではありません。そこでもういちど、スコアをもとに個人練習をやり直すのです。

高校時代の僕が多少でもエレキギターを上達させるコトができたのは、退屈な反復練習が全然苦にならない鈍さと図太さが良い方向で発揮されたからであります。

ただし、上達スピードという点においては、初心者が講師に習った方が、独学よりも弾けるようになるまでの時間が短縮されるというメリットがあるのかも知れません。

 

カンペキに弾き切るのはムリと思った方がイイ

ここまで読んでいただいて、エレキギターの練習は別な何かと実に酷似していると思わないでしょうか? そう、試験勉強です。

まずは学校の授業を復習しながら、教科書の練習問題を解いてゆく。それらを繰り返した上で過去問題や模擬試験をこなして採点し、点数が取れない苦手科目の苦手ポイントを把握する。よくよく考えてみると、エレキギター上達のプロセスと同じなのです。

テストで9割以上を取るのは努力と運次第でどうにかなりますが、満点を取るのは至難のワザであります。エレキギターも同じで、1曲をイントロからエンディングまでノーミスでプレイするとなれば、想像を絶する練習量と技術、そして緊張感に動じない胆力が求められます。

実際、プロでさえライヴでミスをするコトがあるくらいですから(自分と同じパートに限った話ですが、ある程度のレベルに到達すると気付くように)、アマチュアが完璧に弾き切るのはある意味ムリというもの。そう思った方が気楽ですし、挫折しないで済みます。

この考え方は、バンドを組んで人前で演奏する機会に恵まれるようになればなるほど大切になっていきます。なぜなら、ギタリストはヴォーカルに比肩するバンドの花形だからです。

花形だからこそなのですが、ミスするとすぐ気付かれます。ギターソロをキメられたら自己満足の境地を存分に味わえますが、そこでミスすれば最悪です。あとは思考停止するか自己嫌悪で後の演奏なんかどうでもいい気分に。

 

「弾きたい!」と思うほとんどの曲は、いつか必ず弾けるように

昔から音楽理論がサッパリ頭に入っていかない僕にとって自在なアドリブなど夢のまた夢の話でして、それっぽいフレーズをプレイする前には入念な音階(スケール)探しと指使いの練習をします。

バンドメンバーの腕利き先輩から色々と教えてもらうのですが、何度やっても理論が頭に入っていかない。僕の場合、英語で喩えたら、単語や文法を理解した上で例文を自分で作れず、英和辞典の例文を丸暗記して使い回しをするだけであります。

ですが、例文を披露すればネイティヴにも通じる立派な英文になります。音楽理論が判らなくても、スコアが読めなくても、エレキギターを演奏する面白さや、バンドを組んで人前でプレイする楽しさや喜びは等しく味わえます。

バンドでエレキギターの速弾きを披露すると、観に来てくれた知人や友人から「なんでそんなに指が速く動くの?」と嬉しい感想をいただくコトがありますが、既存の演奏を何度も繰り返し練習すれば、絶対に弾けるようになります。

謙遜ではなく、僕程度の演奏であれば、誰でも絶対にできるようになります。僕は不器用な上に、手が小さく指も短い(女友達と比べてもサイズで負けています)。それができないとしたら、それは「できるようになる前にイヤになってエレキギターを手放してしまうから」であります。

 

上達のコツは「基礎練習」と「練習試合」の繰り返し

ここでひとつ、エレキギター上達の最短方法について綴りたいと思います。

スポーツで置き換えれば自分だけでこなせる「基礎練習」をコツコツ積んでいき、自信がついた段階で相手を見つけて「練習試合」を申し込むのです。その際に注意事項があります。それは、「自分よりも格上の練習相手」を見つけるコトです。

ちなみに「格上の練習相手」とは、そのミュージシャン本人のアルバム音源またはそのアルバムどおりに演奏できるギタリストです。

具体的な練習方法ですが、かつてCDやカセットの音源に合わせて練習したという僕の練習スタイルを現代版に置き換えていただければ良いかと思います。

つまり、みなさんお馴染みの共有動画サイト「YouTube」という実に便利なツールがありますので、まずは「基礎練習」となる個人練習で自信がついた時や、スコアでどうしてもリズムがつかめない時に動画サイトを活用するのです。

「基礎練習」で仕上がってきたら、次は「練習試合」です。バンドを組んでいるヒトであれば他のメンバーと音を合わせ、独りギタリストであれば動画サイトの音源に合わせてみるのです。

ネットが使えない頃はテレビ出演した際の指の動きを盗んだり、高いお金を払って速弾きギタリストの教則ビデオを買って覚えたりしてワザを習得するしかありませんでした。

ところが、動画サイトでは世界中のハイアマチュアが投稿するプレイを視聴し放題です。場合によっては、わざわざスローでプレイしてみせたり、解説してくれたりしている。しかも無料で。これを利用しない手はありません。

僕もバンド演奏で課題曲が決まった際は、よほど知っている曲か、極端に難易度が低い曲でない限り、動画サイトで映像を探しては活用しています。それを視聴するたび、本当に世界は広いと思います。超絶技巧をラクに弾きこなす、本人以外のギタリストがいるのですから。

なお、検索する際は、「(コピーしたい曲名) エレキギター 弾いてみた」と検索ワードを打ち込むとお目当てのサイトを見つけやすいので試してみて下さい。世界中のハイアマチュアが個性を発揮した素晴らしいプレイを披露しています。

 

エレキギター上達の極意はただひとつ~「弾き続けるコト」

今回はエレキギターの具体的な練習方法について綴りましたが、これは僕が実践した上で結果を出したものですから自信を持ってオススメできます。

しかしながら、同じプロセスを辿って数ヶ月から半年で結果を出せるヒトもいれば、年単位でようやく結果を出せるヒトもいるでしょう。その地点に到達するまでの時間だけはヒトそれぞれです。

実際、僕が所属しているバンドでも、僕のように自主練習を何時間も重ねてようやく弾けるメンバーがいれば、スコアを初見で弾けるメンバーもいます。その意味において、練習時間だけなら、僕はバンドメンバーの誰にも負けない自信があります(威張れる話ではないですが)。

そういうワケで、「何度やっても弾けない! ああ、もうやってらんない」と挫けたりフテくされたりするコトがあっても、執念深いのが僕の取り柄。決して諦めず、どうしても弾けるようになりたいと思う限り、何年かかろうが何度も繰り返し練習すれば…。

そう信じて、すでに4年目になるイングヴェイ・マルムスティーンの代名詞、2弦スウィープや3弦スウィープ奏法の練習を続けています。

いつか必ずバンドのライヴで披露する、その日が来るまで。