社会福祉士として誇りをもって仕事ができるために

社会福祉士として誇りをもって仕事ができるために

処遇改善は現場の介護職員だけ? いつも蚊帳の外の社会福祉士

平成29年12月8日付で閣議決定された「新しい経済政策パッケージ(抜粋)」によりますと、介護職員の処遇改善を2019年から実施する予定とのコトです。以下、厚生労働省のホームページから。

「介護サービス事業所における勤続年数10年以上の介護福祉士について月額平均8万円相当の処遇改善を行うことを算定根拠に、公費1000億円程度を投じ、処遇改善を行う」~以上、抜粋

大変けっこうな話だとは思うのですが、そのたびにいつも疑問に思うのは、なぜ処遇改善の対象がいつも介護職員に限定されるのかというコトであります。

再び、厚生労働省のホームページから抜粋しますと…

「介護事業所の経営努力も相まって一定の改善が図られているものの、依然として、他の産業や職種と比較し、賃金水準が低く、勤続年数が短いという面があるとともに、有効求人倍率が高いなど人手不足分野となっている」

賃金水準を今よりもさらに引き上げれば人材不足を解消できるというほど単純な話ではないものの、低賃金の重労働という悪しきイメージの払拭に躍起であるコトだけは見て取れます。

しかしながら、人材不足なのは介護職員だけではありません。われわれ障害者ケアマネもまた人手不足であり、介護職員のように処遇改善に対する話題がひとつも出てこないコトに強い危機感を覚えます。

ソーシャルワーカーとしての専門知識を有する者として国からのお墨付きをもらっている僕ら社会福祉士が障害者ケアマネとして少数精鋭で日々奮闘しても、それに対する国の評価は実に低い。

確かに障害者総合支援法の改正によって給付費が見直され、基本報酬額を下げる代わりに数多くの業務加算が設定され、それらを複合的に請求するコトによって収入増が見込めるようになりました。

わがマチでも初期の頃から計画相談支援事業所を立ち上げているNPO法人の幹部から、「前よりも収入が2~3割増しになりましたよね」との話も聞いています。

でも、僕としては、社会福祉士の置かれている現状に対し、非常に不満があるのです。「仮にも福祉職の最上位の国家資格なのに、国はあまりにも評価が低すぎる」と。

 

名称独占の功罪~いつまで経っても「名ばかり国家資格」の社会福祉士

われわれ社会福祉士や精神保健福祉士は「名称独占」の国家資格であります。つまり、その資格を持っていると名乗って良いだけの権限しかありません。

一方、医者や弁護士は「業務独占」の国家資格であります。彼らは、その資格を持っている者しかやってはいけない仕事が認められているヒトたちです。

業務独占の国家資格と比較しても仕方のない話ですが、福祉職の資格の中でも社会福祉士は不遇の資格といえるでしょう。

ケアプランを作成して介護報酬を得らえるのは介護支援専門員(ケアマネジャー)だけですので、ある意味において業務独占といえます。

また、精神保健福祉士や介護福祉士には、それぞれの役割に相応しい配置加算が認められています。ところが、相談支援における社会福祉士の配置加算は一切認められておりません。

「第6回福祉人材確保対策検討会」の資料を確認したところ、社会福祉士の配置加算が認められているのは「福祉専門職員等配置加算」の生活支援員や児童指導員に対してのみであります。

これは非常におかしな話です。相談支援の最高位たる国家資格でありながら、肝心の相談支援事業において何ひとつ加算が設定されていない。

福祉系における最高難度の国家資格でありながら、国からは何の評価も経済的裏付けもなされない。だったら一体、何のための国家資格なのかと言いたくなる。これが、僕ら社会福祉士が置かれている皮肉な現実なのです。

僕はプライドだけは高い人間なので、こうした現状に激しい憤りを覚えます。なぜ、こうも社会福祉士は冷遇され続けなければならないのであろうかと。

とはいえ、国家資格というネームバリューだけは確かにあります。

別に社会福祉士でなくとも、実務経験の年数が一定以上など、いくつかの条件さえクリアすれば、誰でも障害者ケアマネを行う資格「相談支援専門員」を取得できます。

ですが、名刺に相談支援専門員だけでなく社会福祉士&登録番号を印字しておくと、チョット詳しいお母さん方は「スゴい!」と恐れ入ってくれるのであります。資格取得のために一生懸命勉強したという以外、別に凄くもないのですが。

とはいえ、やはり社会福祉士という国家資格が、ネームバリューだけでなくベースアップの根拠となってほしいところであります。経済的な裏付けがなくては、名誉だけでは腹の足しにはなりませんので。

 

「相応の対価」がなければ、自分の仕事には誇りを持てない

一端の社会人として仕事と人生の両立を図るためには、それ相応の収入が確保される必要があります。家庭を構え、妻子を養っていくのであればなおのコトです。

相談支援の仕事は、繊細かつ困難をともなうものであり、ソーシャルワーカーとしての専門性だけでなく、人生経験でさえも求められるシビアな面もあります。決して、誰でも手軽にできるというものではありません。

兼業で専門学校の講師をしている同業の大先輩から聞いた話ですが、相談支援の仕事を志す若者はまずいないそうであります。その理由を聞いて「なるほど」と。

相談支援という仕事は、高いコミュニケーションスキルを求められる仕事であります。インターネット全盛の現在、匿名性が担保され、直接的な接触を一切せず希薄な関係を成立させる現代の若人にとって、重圧以外の何物でもないのでしょう。

「タダでさえ相談支援なんて大変そうな仕事なのに、しかも社会福祉士になっても給料が安い? いったい何の罰ゲームだよ!?」と。僕も同じ立場なら、きっとそう思うに違いありません。

僕はこの仕事をして何の後悔もしていません。ですが、ここまで経済的裏付けが何もない社会福祉士の障害者ケアマネを目指してみないかなど、次世代を担う若者たちに向かって呼びかけるコトは憚れます。

その道のプロとして然るべき結果を出し続けながら、1人でも多くのクライアントに安心と満足を提供していく。そして、その結果として、仕事に見合う対価を得る。これこそがプロのプロたる所以だと思います。

ところが社会福祉士の生みの親である国は、僕ら社会福祉士に対して、「プロとして結果を出せ。でも、カネは一銭も出さない」という理不尽な要求をしている。残念ながら、国には期待していません。

それでもなお、僕が誇りを失わずに障害者ケアマネの仕事をしているのは、社会福祉士である僕に対して一定のリスペクトをしてくれている法人スタッフに対する敬意と感謝あってこその話です。

僕が所属する法人は社会福祉士に対する特別手当をつけてくれていますが、どこの雇い主もそうですが、内部留保の中から国に代わって雇い主の自己負担で対価を支払ってくれているのです。

このように、処遇改善が必要なのは現場の介護職員に限った話ではないというコトを、もっと広く世の中に知ってもらいたいと切実に痛感しているところであります。

社会福祉士としての誇りをもって、胸を張って相談支援の仕事をしていく。そのためにも、社会福祉士の処遇改善に関する話題について、今後も当ブログで繰り返し綴っていきたいと思います。