転職を成功させるには~その3「能力(ウデ)」

転職を成功させるには~その3「能力(ウデ)」

転職を成功させるために必要な3つの必須アイテムについて、これまで「カネ」「コネ」にまつわるお話をさせていただきました。今回は3つ目の必須アイテム、「ウデ」について綴っていきたいと思います。

 

たとえ「ウデ」があっても転職に失敗する?

あらためて解説するまでもないでしょうが、ここでいうところの「ウデ」とは、それまで働いてきた中で習得してきた、それぞれの分野における卓越した知識や技術、実績や経験値の積み重ねなど、これらすべてを意味しています。

僕の体験談からいわせてもらえば、現状によほどの不満があるとか、どうしても諦めきれない夢や強い憧れがあって、長期間にわたる高いモチベーションを維持できる自信がなければ、異業種への転職はよほどの覚悟で行うべきです。

それほど、新しい仕事をマスターするために要するエネルギーは莫大なものなので。

そうなると、同業界における同業種の中から次の仕事を選ぶのがベストという話になりますが、まさにそれが今回のテーマであります。

僕はこれまでに3回の転職歴がありますが、うち1回は後述するように大失敗に終わりました。わずか3ヶ月で辞める結果となったのです。では、なぜこのように(自分で言うのもナンですが)相応の「ウデ」があったハズなのに転職に失敗したのか?

僕の経験をもとに、その原因について考察してみたいと思います。

 

双方の見解の相違が、後の悲劇に…

僕が最初の職場を辞めて、1回目の転職先となったのは障害福祉の業界でした。そこから10年以上、障害者ケアマネとして従事していました(なお、初めての転職活動が一筋縄ではいかなかったエピソードは「転職活動を優位に進めるための戦略」で詳しく綴っています)。

ところが、最初の職場で高齢者福祉に深く関わるソーシャルワーカーをしていたコトから、再び高齢者福祉に戻りたいと強く思うようになりました。

そこで障害者ケアマネの仕事を辞め、ソーシャルワーカーとしてのスキルやキャリアを存分に活かしたいと高齢者福祉の業界に転職したのです。有料老人ホームを経営する株式会社でした。ところが、僕の想定とは違い、ソーシャルワーカーとしての仕事は求められておりませんでした。

ソーシャルワーカーなのにケアワーカーの仕事に就き、それでもうまくいくと思っていた僕の甘さが自分を苦しめるコトになりました。結果として会社の慰留を振り切るかたちで退職。本当に申し訳ないという思いしかありません。すべての責任は僕自身にあります。

単に「ウデ」さえあれば、転職してもどうにかなる。楽観的といえば聞こえは良いですが、実際には少々思い上がった気持ちがありました。そのツケを自ら払った結果になったのです。

では、なぜこのようなバッドエンドを迎えたのか。今にして思えば、その答えは明白であります。当時の僕の精神状態が「転職に向いている人=転職してもやっていけるヒト」における③に陥っており、転職先の方向性を完全に見誤っていたのです。

 

転職3度目にして、ようやく理想の職場に辿り着く

「辞めるの? じゃあウチで独りケアマネやんなよ。空いてる部屋あるし」

2回目の転職に失敗し、辞表を提出したと親しい友人に近況報告をしていた頃、そのうちの1人から上記のような返信がありました。失意のどん底にいた僕を誘ってくれた、現在の所属法人のスタッフからでした。

お互いに気心が知れた、かつての関係者と一緒に仕事できる。その時の感想は正直、歓喜ではなく安堵でした。ソーシャルワーカーとしての僕を必要としてくれている。障害者ケアマネの仕事ができる。だったら、今度こそ絶対に成功する、と。

どうにか有料老人ホームの仕事を乗り切り、晴れて自由の身となってから数日後。打ち合わせの際、指定事業所の認可が下りるまで2ヶ月かかるとの説明がありました。

僕の激動の数ヶ月を良く知っているスタッフたちから、正式に認可が下りるまでの間、のんびりリフレッシュ休暇を満喫してはどうかと気遣ってもらったのでした。そこでお言葉に甘えて「ちょっと長い夏休み」を満喫するコトにしたのです。

ちょうど真夏の季節だったので、晴れればロードバイクでロングツーリングに繰り出し、雨の日はキットで購入しておいたエレキギターを自作しておりました。その間も数回の打ち合わせがあり、今後の方針について協議。

結果、やりたいようにやってくれと、計画相談に関する全権限を委任されるコトになりました。

開設日まで残り半月を切った頃、事務所を用意してもらってからは、計画相談支援を行う上で必要な利用契約書や重要事項説明書などの作成、サービス等利用計画で使うフェイスシートやアセスメントシートなどの作成に励んでおりました。

障害福祉の業界を離れて半年。復帰後の不安については先に綴ったとおりですが、フタを開ければ何のコトはない。開設して3日もしないうちに仕事勘を取り戻すことができました。

同時に、前回のブログ「コネ」でも綴ったように、かつて苦楽を共にした関係機関の皆さんから復帰を心から祝っていただきました。

それから今日に至るまで、退職前と変わらないお付き合いをしていただいております。改めて、この場を借りて厚く感謝を申し上げます。

 

己の本質を見誤ると手痛いシッペ返しを食らう

転職活動において、求人先の情報をどうにかして知り得るコトはもちろん必要でしょう。ですがそれ以上に、僕の失敗談を教訓にして、自分自身の適性や、本当にやりたいと思うコトがそこにあるのかをよくよく考えた上で転職先を選択していただきたいのです。

結果論ですが、僕の場合、障害者ケアマネが本当にやりたい仕事、そして独り職場が「ウデ」を存分に発揮できるフィールドだったワケです。

ならば、最初から高齢者福祉になど脇目も振らず、懇意にしている障害福祉サービス提供事業所にお願いし、僕が働ける相談支援事業所を設立してもらえないか打診してみるべきだったのです。

「給付費が入ってくるまでカネは要らない。事業所さえ立ち上げてくれれば、あとは自分の力で何とかする。必ず結果を出すから、障害者ケアマネとして仕事をさせてほしい」と…。

このブログを読んでいただいている転職希望者の皆さんには僕のような失敗をしてほしくないので繰り返しますが、単に「ウデ」があっても、それを活かせるフィールドに立たなければ、持ち前のパフォーマンスを発揮するコトは絶対できません。

こうして言葉にしてしまうと、とても当たり前のコトを繰り返しているように思われるかも知れませんが、実際に追い込まれた状況で、冷静に、そして正しい判断を下すのは難しいのです。

これまで積み重ねてきたスキルとキャリアを活かして次の職場で活躍したいと思うのであれば、相応の「ウデ」があるのを前提として、その「ウデ」を活かせるフィールドがどこかを検討すべきです。

転職先を検討する際には、自分の「ウデ」が、やりたいと思う仕事と合致しているかどうか徹底的に分析してほしいと思います。

 

「ウデ」を存分に発揮できるフィールドに立てる喜びに勝るものなし

僕の場合、全権を委任され、一匹オオカミの障害者ケアマネとして自分の仕事を自由にマネジメントし、あるいは自在にプロデュースできる今の職場こそが、僕の「ウデ」を最大限に発揮できるフィールドだったのです。

「ウデ」に自信があるのなら、それを活かせるフィールドを見つけるコトこそ職業人にとっての最高の幸せである。そして、自分のウデを存分に発揮できるフィールドで働ける喜びに勝る対価などない。これこそが、長く苦しい迷走と彷徨の末に気付いた、僕にとっての真実です。

では、なぜ自分に相応しいフィールドに立つコトが最高の幸せなのか? そして、転職者にとってどれだけ価値があるものなのか?

その答えのひとつとして、「44歳にして3度目のリスタート」で綴っています。後悔のない転職をする上で、併せて一読いただければ幸いです。