ソーシャルワーカーに期待される役割と求められる資質

ソーシャルワーカーに期待される役割と求められる資質

「相談支援のプロ」として、国家資格の1つくらいは取得すべし

ソーシャルワーカーとしての仕事をするために必要な国家資格は、社会福祉士と精神保健福祉士であります。

「ソーシャルワーカー」というと漠然としすぎていていますが、病院で相談支援の仕事に従事する医療ソーシャルワーカー(MSW)は広く認知されています。

中でも、精神科病院で従事する場合は精神科ソーシャルワーカー(PSW)と呼ばれます。

僕のような障害者ケアマネとして仕事をするのであれば、相談支援専門員の資格を取得すればイイだけの話で、国家資格を取得している必要はありません。

せいぜい、相応の勉強をしてきたと認知される程度の話です。

ノンキャリのエキスパートも多数存在しますし、資格の有無が障害者ケアマネの優劣を決めるものでもありません。

とはいえ、わがマチには、社会福祉士や精神保健福祉士が当然のように多数います。中には、社会福祉士と精神保健福祉士と介護福祉士の3冠というツワモノも。

僕が取得しているのは社会福祉士のみですが、社会福祉士と精神保健福祉士の2冠もけっこうな割合でおりまして、ひたすら恐れ入るばかりであります。

国家資格の取得。それはソーシャルワーカーとして習得しておくべき基礎知識を身につける通過儀礼であり、この程度はクリアしておきたいハードルです。

障害者ケアマネとして相応の結果を出すには、まずは1つで良いので国家資格の取得が最低条件。必死に勉強し、どうにか試験に合格して国家資格は取ったヒトは次の段階へ。

 

ソーシャルワーカーとして求められる最も重要な資質とは

高齢者福祉や身体障害者福祉など、身体介護が主たるサービスでは、ケアワーカーが現場を支えています。そして、介護を最良のものとするグランドデザインを描くのがケアマネジャーです。

同じように、障害福祉サービスを適切かつ最良のカタチで利用できるためのグランドデザインを描くのが、僕ら障害者ケアマネの役割であり、存在意義でもあります。

医療ソーシャルワーカーや精神科ソーシャルワーカーを含め、われわれソーシャルワーカーが求められる資質のうち、最も重要なのは何でしょうか?

ソーシャルワーカーによって答えは異なるところもあるでしょうが、僕の持論としては、ソーシャルワーカーにとって最優先事項となる資質は「情報収集力」であります。

優れたソーシャルワーカーはみな、独自の情報網を確立しており、同時に膨大かつ希少な情報源を数多くもっているものです。

ソーシャルワーカーの優劣を語るなら、それはすなわち情報収集力の有無に集約されます。

 

「それを求め、行動を起こし、それを続ける者」にしか情報は集まってこない

よく、「カネはカネを持っている者にしか集まってこない」といわれます。

金持ちはますます栄え、貧乏人はますます貧していくコトへの皮肉と悲哀を示した言葉ですが、ある意味でこの世の真実でもあります。

では、情報はどうか? これはもう、カネの有無ではありません。それを貪欲に求め、それを得るために、いちはやく行動を起こし、それを求め続ける者にしか入ってきません。

僕はこれまでの経験から、情報収集力がソーシャルワーカーとしての試金石であり分水嶺であるコトを良く知っているので、知りたいコトや知るべきコトがあればすぐ行動を起こします。

例えば、知的障害がある契約者の場合、親族や支援者へのヒアリングだけでなく、知的障害の診断を下した精神科病院の精神科ソーシャルワーカーから情報提供を求めたりします。

あるいは、情報開示の委任状を携えて行政へ出向き、巡回相談で実施された知能検査の結果を入手します。

こうして収集した膨大な情報を一元化するコトによって、はじめて基本情報が作成できるのです。

昨日、担当相談者が通所する障害サービス提供事業所のスタッフの1人から、「ゼロさんは知識が深くて、一緒に仕事してると楽しいです」と最高の賛辞をいただきました。

それはとても嬉しいコトですが、知識が深いというよりは、情報を求め続けて行動してきた結果として得た知識と失敗経験の数々から得た「活きた教訓」の集積と自負しております。

手前味噌な自画自賛はこの辺にして、ソーシャルワーカーにとって情報こそ生命線であるというコトと、それを得るためのノウハウについて綴りたいと思います。

 

まずは情報収集のための行動を起こすべし

前職の相談支援センターで、経験値の浅いケアマネや高齢者ケアマネ上がりから、「障害年金の申請の仕方が判らない。そちらでやってほしい」」との依頼がありました。

また、肢体不自由の身体障害がある高齢者の家族から、「車イスのまま利用できる床屋はないだろうか?」との相談を受けました。

担当ケアマネに聞いたら、「介護保険じゃないから自分で調べて」と言われたとのコト。大変失礼ながらケアマネジャーとしての資質と良識を疑ってしまいました。

「分からないなら、どうしてケアマネ自身が自分で調べないのか?」と。

障害年金の申請のやり方が判らないなら年金事務所に聞けばイイのです。とても親切かつ丁寧に教えてくれます。

身体障害者が車イスのまま利用できる理容室が知りたいと相談を受けたなら、僕ら障害者ケアマネに電話して聞いてくれれば、いくらでも調べて返答します。

以前、勤めていた施設では、一部のケアマネジャーへの蔑みとあざけりを公然と口にするケアワーカーがいました。他職種連携の原則に反していると言わざるを得ない不適切な発言であります。

しかしながら、その一方で、介護保険制度の導入と圧倒的需要の高さからケアマネジャーを増やしたコトによる歪みが出ているのも確かです。

だからこそ僕は、実力に裏打ちされた実績を出し続けたいのです。

知らない情報は知っていそうな同業者に聞けばイイ。聞くだけで収集できる情報であれば電話で教えてもらえばイイ。資料が必要なら送ってもらえばイイ。現場の空気や雰囲気を知りたいなら見学に行けばイイ。

未知の場所に飛び込むには、ある一定の勇気と覚悟、そして行動力が必要です。でも、指をくわえて見ているだけでは、誰も何も与えてくれません。かつての僕もそうでした。

僕らソーシャルワーカーにしかできない仕事は、相談支援やケアプランの作成を通じて、利用者や支援者が求める情報を集め、整理し、提供するコトです。

あるいは、双方がスムーズにつながるための仲介も行います。

相談支援の仕事に就いたなら、判らないコトや知らないコトが出てくるたびに即行動し、まずは情報収集に徹してください。

その積み重ねで得られた情報こそが、ソーシャルワーカーとしての力の源泉となります。

 

信用があればあるほど有益な情報が得られるように

はじめてのソーシャルワーカーとなれば、先輩スタッフや上司の紹介を経て名刺交換したツテしかありません。ですが、お互いの顔と名前が知れた程度のつながりであります。

そこから先は仕事で結果を出し、相手から信用を得ていくコトになります。

僕は、このブログで「一見さんお断り」の原則をたびたび綴ってきました。

この原則を照らし合わせるなら、「誰? そのゼロさんって」という相手からは最低限の当たり障りのない情報しか得られません。

ですが、信頼関係がある相手からは、「ああゼロさん。それを知りたい? そっか。ホントは表向きには知らせてないんだけど…」となります。

つまり、公式には出回っていない貴重なウラ情報を教えてもらうコトができます。そして、一朝一夕にそういった関係性ができあがるワケではありません。

計画相談支援を通じて困難ケースへの支援に向けて苦楽を共にするコトによって、同業者や関係機関とのネットワークが構築されていくのです。

 

とっておきの情報を得るためには、ギブ&テイクの積み重ねを

情報収集に欠かせない信頼関係の構築のためには、日々の相談支援で相応の結果を出し、相手にとって自分というソーシャルワーカーが有益であるというメリットを提示するコトが欠かせません。

僕の場合でいえば、障害者ケアマネとして1件でも多くの計画相談支援を引き受け、本人や家族、そして支援者から納得が得られるサービス等利用計画を作成するコトであります。

障害福祉サービス提供事業所や行政・医療など関係機関から計画相談支援の導入で感謝されるのは、担当ケアマネによる情報提供と、個々の支援者が持っている情報の一元化であります。

これらのことがらは、僕らソーシャルワーカーにとっては十八番であります。

関係者の1人1人に徹底的に聴取して集めた情報を整理して一元化し、1つにまとめたものをもとにサービス等利用計画を作成するコトによって、支援者全員が共通認識を持てるのです。

 

なぜ、情報収集がソーシャルワークの最重要項目なのか

「いいかゼロくん、とにかく現場に行け。机の上ではソーシャルワーカーは務まらないぞ」

20年以上前、僕が最初の就職先でお世話になった福祉係長からいただいた金言でした。

僕らソーシャルワーカーは、現場から一歩離れたところで福祉の仕事をします。現場の介護を実践しないからこそ、自分の目で見て、自分の耳で聴いて、自分の肌で感じる必要があるのです。

僕は現在、半独立型の社会福祉士として計画相談支援に特化した仕事をしています。

新規契約者の計画相談を作成する際は、これまで綴ってきたように徹底的に情報収集に努めますが、それと同時に、サービス等利用計画を作る前にサービス利用の様子を視察に行きます。

計画相談支援において、アセスメント(支援課題の抽出及び解決に向けた計画を作成するために行う一連の業務)を行う場合は、必ず訪問するコトが障害者総合支援法で規定されています。

逆に言えば、初回訪問すれば計画案を作成するコトができます。

同じ新規契約者でも、まったくサービスを使ったコトがないヒトであれば予測と推論によって計画案を作成するしかありません。

しかしながら、セルフプラン対応で計画相談を後追いで導入する場合は、必ずサービス利用の様子を見させてもらうコトにしています。

ホームヘルパーが家事援助をしている様子、福祉就労所で作業に取り組んでいる様子、移動支援や行動援護で余暇活動を楽しんでいる様子。

その場に出向いて、ケアマネ自身の耳目をもって確かめた上で計画を作成するのです。

このような仕事のやり方には、2つのメリットがあります。

1つ目は文字どおり「百聞は一見に如かず」で、自分の目で確かめた情報を基に計画案を作成した方がより精度の高いものに仕上がるに決まっているからであります。

2つ目は、「ほう。今度の新しいケアマネのゼロってのは、きちんと現場に出向いて来たのか」と好意的に受け止めてもらえ、支援者からの信頼が得られるコトです。

われわれソーシャルワーカーは、現場スタッフから「現場のコトも知らないクセに」と批判的な視線に晒されるコトが少なくありません。

そう思われるコトについては、われわれケアマネにも責任の一端があります。

指摘どおり、現場のコトも知らずにケアプランを作る者も存在するので。

だからこそ、こちらから足を運んで現場を見学し、支援者から詳しい話を聞かせてもらうのです。もちろん、事前に相手の都合を確認し、アポを取った上で。

電話一本で顔も知らない相手から聞かれるのと、お互いに面と向かって表情や態度を確認し合いながら話をするのでは、得られる情報の質・量ともに違います。

フットワークの軽さと機動力を存分に行使できるコト。それがケアワーカーとの違いであります。

それを惜しみなく行使するコトによって、人脈(コネ)と情報(ネタ)を勝ち取っていく。

それが、われわれソーシャルワーカーに求められる役割であり、期待される資質でもあります。