一部の例外を除き、高収入は期待できない社会福祉士の収入

一部の例外を除き、高収入は期待できない社会福祉士の収入

社会福祉士の経済学~就業スタイルによって収入はさまざま

社会福祉士は喩えるならトランプのジョーカーのようなもので、およそ福祉と名のつく仕事であれば、どんな職業でも使い回しが利く国家資格であります。

そのため、社会福祉士国家資格を取得すれば、精神保健福祉士や介護福祉士のように専門性に特化した国家資格とは違い、あらゆる福祉分野から幅広く就職先を選ぶコトができます。3福祉士の中で最も選択の自由が与えられています。

就職先が違えば給料も千差万別であり、財源や資本力の多寡によって相場も異なりますので、年収をひとくくりに定義するのは難しいものがあります。とはいえ、就職や転職を考える際に最も重視されるのはやはり月給や年収などの所得面であります。

そこで今回は社会福祉士の経済学について綴りたいと思います。まずは僕の実体験をもとに、給料が高いと思われる順に社会福祉士の就職先をご紹介したいと思います。

公務員

もはや解説不要でしょう。一言で公務員といっても、厚生労働省の官僚から市町村職員までさまざまな就業先がありますが、最も高収入かつ安定した給料がもらえます。また、基本給に加えボーナスが絶対に支給される就職先でもあります。

社会福祉法人

公務員に次いで、法人格の中で最も高収入かつ安定した給料がもらえます。なぜなら日本国憲法89条に規定する「公金」、すなわち税金を財源とした助成が受けられる法人であり、介護報酬等に上乗せして給料が支払うコトができるからです。

営利団体

全国展開している株式会社など資本力が大きい営利団体もまた社会福祉法人に匹敵する高収入が期待できます。ただし、行政からの委託事業などの収入源がなければ介護報酬等のみで稼がねばならず、また売上に大きく左右されます。

NPO法人

特定非営利活動法人と呼ばれるだけあって、営利目的でないコトを前提とした法人であります。また、社会福祉法人に比べて規模も小さく人員も少ないため、社会福祉法人や株式会社と同等の収入は期待できないと考えた方がイイでしょう。

独立型社会福祉士

相応の報酬が保証されるのであれば、「○○社会福祉士事務所」がもっと増えていくハズであります。名称独占では相当厳しいと思われます。成年後見事業は可能ですが、月額報酬は被後見人の収入や資産に応じて家庭裁判所が決めるため、被後見人が低所得者の場合は低収入となります。

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余談ですが、弁護士や司法書士が低所得者の後見人を引き受けられるのは、それ以外に収入を得る仕事もしているからであります。

また、お世話になっている弁護士の1人から聞いた話ですが、「被後見人の家族から信頼を得るコトによって新たな仕事を頼まれる」という恩恵もあるそうです。

弁護士や司法書士のように業務独占が一切認められていない社会福祉士の場合、よほどの資産家の被後見人にでもならない限り、成年後見事業だけで生計を立てるコトはできません。

 

障害者ケアマネを務める社会福祉士の収入は

では、障害者ケアマネの収入は一体どの程度になるのでしょうか。仮に収入を障害者総合支援法に規定された計画相談支援給付費のみとして試算してみますと、僕が所属する事業所では以下のとおりになります。

2018年度に報酬改定が実施されましたが、このブログを綴っている現在、障害福祉サービスの内容等によって旧体系と新体系の2パターンで報酬請求を行います。なお、既存の日中系サービス(就労継続支援など)や居宅介護等(ホームヘルプサービス)につきましては、次年度までは旧体系で請求します。

今回は便宜的に全員を旧体系で報酬請求する仮定で試算しますと、サービス等利用計画を新規作成あるいは更新した場合は、相談者1名につき月額16,110円が請求できます。

さらに、報酬改定によって各種加算が請求できるようになりましたので、僕の場合は行動障害支援体制加算350円が請求できます。計画を作成あるいは更新した場合、合計で16,460円となります。

次に、モニタリングを実施すれば報酬が請求できますので、こちらも旧体系13,100円と上記加算350円の合計で月額13,450円が請求できます。

介護保険とは異なり、毎月モニタリングは認められておりませんので、相談者への必要性に応じて適宜、行政に伺いを立てた上で実施月を決めるコトになります。僕は平均で相談者1名につき年3回モニタリングを実施しておりますので、年額13,450円×3回=40,350円となります。

ゆえに、相談者1名あたりの年間請求額は16,460円+40,350円=56,810円となります。

以上はあくまで便宜上の試算であります。実際は、サービス提供時モニタリング加算1,000円などの各種加算が請求できる月があれば、本人の体調等によってモニタリングが実施できない月もあります。

この試算をもとにすれば、年収のおおよそは逆算するコトが可能です。仮に年収400万円を超えたければ、年間71名以上の計画相談支援を行う必要があります。

ここまでが収入ですが、支出も考えなければなりません。当然の話ですが、人件費の他に事務費や光熱水費などの諸経費も予算計上するコトになります。

なお、計画相談支援を行う場合は事務所内に相談スペースも設置しなければならず、物件を確保する必要があります。当然、物件に係る賃貸料や冬期間の暖房費も計上するコトになります。

委託事業による報酬以外の財源や積立金などの特別会計でもない限り、以上の諸経費は全額、計画相談支援給付費の中から支出しなければなりません。

 

社会福祉士は高収入とは無縁、でも需要とやりがいは保証される

年収いくらで高収入とするか? 個々人の定義にもよりますが、以上の試算から判るとおり、社会福祉士は高収入が得られる確率は非常に低いというコトがいえます。

だったら計画相談支援の件数をひたすら増やせばイイじゃないかとの意見がありそうです。僕の場合、新規計画あるいは計画更新とモニタリングの合計を月20件と設定しています。

新規相談の受付が一段落すれば件数を増やそうと考えていますが(新規計画は計画更新の3倍は時間と労力が必要)、それまでは月20件以内に留めます。それ以上の件数をこなそうと思えば、間違いなく計画相談支援の精度が落ちるからです。

これまでのブログで綴ってきたように、障害者ケアマネとしてルール厳守かつ誠実な相談支援を実践するためには、それを完遂できる上限を設けなければなりません。そうなれば、やはり高収入を望むのは厳しいです。

保健・医療・福祉と同じカテゴリで語られる業界ですが、高収入を望むのであれば保険または医療の業界へ進むべきです。福祉系大学に行くのではなく看護学校へ。

心身ともにハードな仕事ですが、一方で給料には明らかな格差があります。昔、学校の先生は「職業に貴賤はない」と僕らに教えてくれましたが、こと資本主義においては、収入格差という歴然とした「貴賤」があります。

ハッキリ断言しますが、社会福祉士の仕事は高収入とは無縁な仕事であります。しかしながら、僕は福祉職を転々としたものの、社会福祉士になったコトに一片の後悔もありません。

僕にとっては、高所得と引き換えにやりたくもない仕事をするよりは、低所得であろうが自分にとって天職であると確信できる仕事をする方がシアワセな人生を送れるからです。

そして、障害者ケアマネのニーズがなくなるコトは絶対ありません。僕にとっての天職であり、仕事が絶対に途切れるコトもない。その気になれば、生涯現役で障害者ケアマネの仕事をまっとうできるのです。

「社会福祉士は高収入とは無縁」と割り切るコトができれば、障害者ケアマネの仕事をぜひともオススメします。需要とやりがいには事欠かない就職先のひとつであるコトは、他でもないこの僕が自信をもって断言します。