「弾き易さ」でエレキギターを選ぶなら

「弾き易さ」でエレキギターを選ぶなら

弾き易いエレキギターの特徴とは

エレキギターに興味がないヒトにとって、色合いが似たようなモデルであれば全部同じに見えるモデルでも、われわれギタリストが実際に手に取って弾いてみると、カタチは似ていても、メーカーが違えば弾き心地はまるで違います。

では、同じメーカーであれば同じ弾き心地なのかと聞かれれば、それも違うと答えざるを得ません。同じメーカーの同じモデルでも、何本も弾き比べると「なんか違う」というのは往々にしてあります。

弾き易さを語る際に重要なのは、ギタリストの手の大きさや指の長さであります。僕のように手が小さく指が短いギタリストからみれば、バスケットやバレーと同じく、体格に恵まれたヒトはそれだけで有利です。

手が大きくて指が長いヒトはピアノと同じく、エレキギター向きであります。多種多様なモデルに対する親和性が高いのです。どんなエレキギターを選べますし、しかもスタイルもサマになる。ギブソン335などは背が高く体格が大きいヒトのために生み出されたようなモデルです。

一方、僕のように体格に恵まれないギタリストにとってはスタイルなど拘っていられません。それ以前に弾き易さの方がよっぽど重要であります。ルックス以前の問題として、まともに弾けなければ話になりませんので。

逆もまた真なりでして、僕が弾き易いエレキギターは誰にとっても弾き易いという話になります。そこで今回は、僕にとって弾き易い、そして誰にとっても弾き易いであろうエレキギターの特徴についてご紹介します。

 

ひと回り小さいミディアムスケール

エレキギターのスケール(ナットからサドルまでの長さ)には、レギュラー・ミディアム・ショートの3パターンがあります。手が大きいヒトや指が太いヒトはレギュラーが弾き易いでしょうが、僕はミディアムが最も弾き易いです。

手が小さいのだからショートの方が弾き易いと思っていましたが、実際に弾いてみると弾きづらい。フレット(ネック表面に埋め込まれた音階を決める金属製の突起)の間隔が狭くなる高音域が弾きづらいのです。

以前のブログ、エレキギターで「初めての1本」を選ぶならでご紹介したフェンダーはレギュラースケールで、一方のギブソンはミディアムスケールです。

フレットの間隔の違いは1フレットにつき0コンマ数ミリ程度でしかありませんが、速弾きやストレッチ奏法をする際は、フェンダーではギリギリ届かないフレーズも、ギブソンならどうにか届きます。

 

高さがあるジャンボフレット

フレットの大きさも、弾き易さに大きく左右します。突起の高さが低いと、指先の爪が指板に当たってしまい押さえづらいのです。

特に指の構造上、爪が飛び出ている人差指と小指でその差は顕著です。低音域のコードを押さえる際、フレットが低いと爪先が指板に当たってしまい、ローコード(ヘッド側の低音域)をキレイに鳴らすのが難しくなります。

指板を押さえる側の爪をしっかり短く整えておけば対処できるのですが、それでもジャンボフレットの方が格段に押さえやすくなります。

 

薄くて細めのネック

手が大きい欧米人にとっては分厚いネックの方が、グリップがちょうど良いのでしょうが、われわれ日本人は心持ち薄めのネックの方が押さえやすいです。

ネックの厚さについて比較すると、フェンダーは薄くて細め、ギブソンは厚くて太めです。レスポールに限らず、ギブソンモデルのネックは丸太を縦に割ったような握り心地なので、僕には弾きづらいと感じます。

逆にフェンダーは、レギュラースケールなのでストレッチ奏法はやりづらいのですが、薄くて細いネックを握り込むように弾けるので、複数の弦を押さえて鳴らすコード弾きはフェンダーの方がやりやすいです。

 

低めにセッティングされた弦高

弦と指板の幅があり過ぎると、弦を抑えづらくなります。特に速弾きにおいて、低弦高セッティングは常識です。ただし、弦高が低すぎると、他のフレットに振動した弦が触れて音が詰まったりビビったりしてしまいます。

また、コード弾きをする際においても、弦高が高過ぎるとより強い力をかけて押さえないとキレイに音がなりませんので、その分、握力を消耗します。

弦高はサドルの高さを調整するコトによって任意に調整ができます。ナット(ヘッド側に取り付けられ、ネックと弦の間隔を空けるパーツ)の溝を削って弦高調整をする場合はプロに任せましょう。僕はサドル調整のみで対応しています。

 

フィンガーボードの材質は好みと慣れで

弦を指で押さえるフィンガーボード(指板)の材質は、主にメイプルとローズウッドの2種類があります。白くて光沢があるのがメイプルで、黒くて光沢がないのがローズウッドです。フェンダーのストラトキャスターはどちらも使いますが、ギブソンは一部例外を除き、ほとんどがローズウッドです。

手触りの違いとしては、メイプルは堅くてツルツル滑る感覚、ローズウッドはしっとり柔らかい感触です。あるいは、メイプルは爪先が跳ね返される感覚、ローズウッドは爪先が食い込む感覚でもあります。

材質での優劣は特にないと思われますが、僕はローズウッドのフィンガーボードしか購入したコトがないので断然ローズウッドが弾き易いです。メイプルは堅くてツルツル滑るので弾いていて心許ない気分になります。

割合としてはローズウッド指板が圧倒的多数です。メイプル指板のストラトキャスターやテレキャスターに対する思い入れでもない限り、ローズウッドで慣れておいた方が、長丁場のステージで複数を持ち換える際に違和感がないでしょう。

 

長時間になればなるほど、軽いギターの方が弾き易い

エレキギターという楽器は、見た目よりも意外と重たいもので、3~5キロほどあります。そのため、ストラップにぶら下げて立ったまま弾く場合は、時間の経過とともにダメージが蓄積していきます。腰痛持ちの方はさらにダメージが大きいでしょう。なお、レスポールはストラトキャスターよりも重いので注意が必要です。

もうひとつ、覚えておいていただきたいのが、同じモデルでも重量に個体差があるというコトです。ヴィンテージのレスポールは軽く100グラム単位の個体差があるそうです。極端な事例ですが1キロ近く違う場合もあるようです。重量もまた、弾き易さに影響を及ぼす要素のひとつです。

 

結局、最後に行き着くのは「高精度に製造されたモデル」

最後になりますが、優れた木工建築と同じく、高精度で製造されたエレキギターであればどれも弾き易いといえます。この時点ですでに及第点ですが、プラスアルファを狙ってミディアムスケールを選ぶとか、ネックが分厚くないモデルを選べば完璧です。

ちなみに、弾き易さを含めたエレキギターとしての完成度でブランドを選ぶなら、本場made in USAのフェンダーやギブソンよりも、日本が誇る老舗ギターメーカー「フジゲン」をオススメします。

僕も自作に凝るようになるまで様々なメーカーのモデルを買っては手放す繰り返しでしたが、造り込みが美しく、高精度かつ一寸の狂いもない完成度を誇るメーカーはフジゲンでした。

今はすっかり出番がなくなりましたが、お店で試奏した瞬間に衝撃を受けたフジゲン製のテレキャスター、次にストラトキャスターのミディアムスケールモデルは今もなお処分せずに所有しています。

フジゲンを一言で表現するなら「質実剛健」に尽きます。初めて使ってもしっくり手に馴染むネックの手触り、低すぎず高過ぎない弦高、厚塗りされず均一な塗装。完成度が高ければそれだけで弾き易いという新たな発見をさせくれたブランドでした。

僕が持っているフジゲン製のストラトキャスターモデル75,000円とフェンダー・ストラトキャスター98,000円、それぞれ弾き比べてみましたが、楽器としての完成度だけで比較すれば雲泥の差でした。ファンには大変恐縮ですが、同価格帯のフェンダーはどこかチープに感じてしまう。

中古で手放す際は人気ブランドのフェンダーの方が圧倒的に高額査定がつきますが、買い換えせずに一生付き合っていきたいエレキギターと出会いたいというコトであれば、フジゲンは絶対にオススメです。断言します。