テレキャスターvsストラトキャスター

テレキャスターvsストラトキャスター

テレキャスターとストラトキャスター、その違いとは

世界に名だたるギターメーカー、フェンダーが開発した2大モデルといえるのがテレキャスターとストラトキャスターです。これらは世界各国のギターメーカーが自社モデルのお手本として数えきれないほど模倣されているモデルでもあります。

人気及び販売台数という点においては、圧倒的にストラトキャスターが勝っていますが、テレキャスターもまた根強い人気があり、半世紀以上にわたって、いまだ主力モデルの1つとして生産され続けているロングセラーです。

僕も本場フェンダーUSAを所有したコトはありませんが(とても高くて買えない)、ストラトキャスターとテレキャスターのコピーモデルは持っていますので、それぞれの違いや魅力について綴ってみたいと思います。

 

テレキャスターについて

シングルカッタウェイ

1つ目の特徴、ストラトキャスターとのルックス上の最大の違いは、シングルカッタウェイと呼ばれるボディシェイプです。ネックとの接合部のうち、高音域を弾き易くするため(小指側がボディに干渉しないように)ギターを構えてネックが下側になる部分のみを抉ったデザインになっています。

一方、ストラトキャスターはダブルカッタウェイと呼ばれるボディシェイプで、接合部の上下(正面から見たら左右)を大きく抉ったデザインです。なんとなく左右非対称なクワガタの顎を思わせるデザインです。

コンター加工なしのデザイン

2つ目の特徴はボディ加工の違いです。演奏性を左右する特徴にもなりますが、テレキャスターのボディ形状は、一枚板の単坂あるいは数枚の板を貼り合わせた木材をそのまま切り出した造形になっています。

一方、ストラトキャスターはコンター加工と呼ばれる処置を施しており、腕がボディと接する表面と肋骨や脇腹に接する裏をそれぞれ斜めに削り、ヒトのボディラインにジャストフィットする構造になっています。

初期テレキャスターはコンター加工がなされていないので、表面はそれほど違和感がないものの、ボディ裏がゴリゴリ肋骨に当たって痛い思いをします。

フェンダーでも初期オリジナルモデルとは別に、ボディ裏にコンター加工を施したテレキャスターを製造しています。僕はフジゲン製のテレキャスターを所有しているのですが、このモデルはストラトキャスターと同様にボディ表裏ともにコンター加工が施してあります。

オリジナルのフェンダー・テレキャスターに対するこだわりがないのであれば、少なくともボディ裏面にコンター加工が施されたテレキャスターモデルを選ぶコトをオススメします。

フロントとリアで形状が異なるピックアップ

3つ目の特徴はピックアップ(弦振動を拾うパーツ)で、ストラトキャスターと違うのはピックアップの個数と、フロントとリア、それぞれ異なる形状です。

ストラトキャスターは同型式のピックアップがフロント・センター・リアに3個搭載されていますが、テレキャスターは異なる形式のピックアップがフロントとリアの2個です。リアピックアップの方がコイルの巻き数が多く、高出力となっています。

4つ目の特徴はブリッジ形状です。ストラトキャスターはシンクロナイズド・トレモロ・ユニットと呼ばれる音程をアームで変化させられる構造ですが、テレキャスターのブリッジは固定式かつリアピックアップの取り付け部分と一体化しています。

一説には、テレキャスターの音の特徴は金属製ブリッジに直接リアピックアップを取り付けているコトによるという話もあります。

その他の特徴

その他、ピックアップセレクター(ピックアップの切り換えスイッチ)がボディに水平に取り付けられているコト(ストラトは斜め)、コントロールがヴォリュームとトーンの2つ(ストラトはヴォリューム1つにトーン2つ)という特徴があります。

また、ヴォリュームのノブがストラトキャスターよりも離れた位置にあるため、弦を弾くのと同時に中指でヴォリュームを上下させ、まるでヴァイオリンのような音を出すヴォリューム奏法に不向きです。

以上の他、細かいところを挙げれば、ヘッドのデザインが違ったり(テレキャスターの方がやや小ぶり)、コントロールノブの材質が違ったりします(テレキャスターは金属、ストラトキャスターはプラスチック)。重量はほとんど同じです。

 

ストラトキャスターについて

テレキャスターの改良型ともいえるストラトキャスターですが、モデルの主たる特徴は上記のテレキャスターと対比させる形ですでにご説明しましたので、実際に購入して弾いた上で気付いた特性やテレキャスターとの違いについてご紹介します。

弾き心地・演奏性

まず弾き心地ですが、ボディの裏表に人体を考慮したコンター加工がなされ、まるで脇腹と前腕部が吸い付くような使い心地の良さを味わえます。また、ネック接合部のボディの両端を抉ったダブルカッタウェイなので、シングルカッタウェイのテレキャスターよりも弾き易く感じます。

エレキギターとしての基本構造は共有しているのですが、トレモロユニットが搭載されているコトによってアーミング(ブリッジに装着したアームを上下させ、弦を緩めたり戻したりして音程を変化させる)ができるのがテレキャスターにない特徴です。

演奏性については大差ないのですが、スイッチ類の使い心地は別物です。ピックアップセレクターやヴォリューム・トーンのノブ操作などを行う際は、両者の違いがハッキリ分かれます。結論から申しますと、それらの操作性が高いのはストラトキャスターであります。

使い勝手が良くなるよう配置が見直されたスイッチ類

ピックアップセレクターですが、両者のタイプはレバー型の切り換えスイッチであります。余談ですが、モデルによっては、ピックアップ1つごとに独立してトグルスイッチが搭載されているタイプもあります。

通常、ピックを親指と人差し指に挟んで弦を弾くので、スイッチ操作は中指か薬指で行いますが、その際の手首の軌道は水平ではなく、肘を支点に弧を描く軌道になります(クルマのワイパーの動きと同じです)。ストラトキャスターは、その動きに逆らわないよう斜めに設置されています。

一方、テレキャスターのピックアップセレクターはボディ水平に設置されているため、少し大袈裟な表現をしますと演奏中に手首を直線的に押し出すような不自然な動きになるので、素早い切り換えがしづらいのです。

慣れの問題といえばそれまでですが(レスポールなどはさらに難があり、弦を弾く軌道から完全に外れた個所にセレクターが設置)、手首の動きに沿って取り付けられているストラトキャスターに軍配が上がります。

最大の違いはサウンドキャラクター

正直なところ、操作性や演奏性の違いなど些末なものであります。ストラトキャスターとテレキャスター、両者の最大の違いはサウンドキャラクターです。

両者の特徴を説明するコメントとして「テレキャスターはストラトキャスターよりも切れ味が鋭く、また高音域が鋭い音」と評されているのを見かけますが、実際には正反対です。

リアピックアップの音質特性に限れば、ストラトこそが高音域が鋭くてキンキン耳をつんざくシャープな音であります。一方、テレキャスターのリアピックアップはシングルコイルの切れ味の良さを残しつつ、ストラトよりも武骨で図太い音です。

なぜ、世間では両者の評価が逆転するのかフシギでならないのですが、ストラト使いと思われるレビューでは僕と同様の記事をアップしています。ライヴで使った感想としては、ディストーションでゲイン(歪み)を上げて鳴らす場合、テレキャスターの方がはるかに扱いやすいです。

これは恐らく、ピックアップのコイルの巻き数の違いによるものでしょう。巻き数が多いほど高出力で太い音質になるからです。デメリットとして、ノイズを拾いやすくハウリングを起こすリスクが高まりますが。

そのため、ゴリゴリに歪ませたハードロックを演奏する場合、ストラトキャスターは不向きです。ピーキーなリアを一切使わずフロントのみを使うか、センターとリアのハーフトーンで鳴らす手段もありますが、音がこもりがちになります。

ストラトキャスターはハードロック向きではありません。ピックアップの出力が弱いのです。軽く歪ませたクランチ系、あるいはまったく歪ませないクリーン系で、ディレイやコーラスといった空間系エフェクターと合わせて鳴らすのが正しい使い方です。

ハードロックでストラトキャスターを使うのであれば、リアピックアップがハムバッカー(シングルコイル2つが並列構造になっている)のモデルを選ぶか、僕のように後からシングルコイルサイズのハムバッカーに交換すべきです。そして、ゲインは控え目に設定するのがコツです。

 

個性が魅力のテレキャスター、万能選手のストラトキャスター

テレキャスターはそのルックスやサウンドキャラクターで強い個性を放つモデルです。ただし、個性的であるがゆえにクセが強すぎて、演奏曲によっては浮いてしまう。

そのため、例えばポリスの名曲「見つめていたい」のイントロを刻む際、「この曲はもうテレキャスしかないだろ!」といった場面で持ち換えるのが正しい使い方なのかも知れません。

一方、ストラトキャスターはリアピックアップのピーキーな特性さえうまく操るコトができれば、どんな曲でも鳴らすコトができます。役者で喩えるなら主役も脇役も自由自在にこなせる万能選手です。

こう考えると、なぜストラトキャスターがこれほど売れているのか一目瞭然であります。どう使ってもサマになるのですから、1本持っていれば幾らでも潰しが利く。

長丁場のライヴでは、弦が切れた場合の予備として、ステージの片隅には数本のギタースタンドが置かれているものです。しかしながら、こうした緊急回避の手段だけでなく、曲に合わせてストラトキャスターとテレキャスターを持ち換えるというのも表現方法の1つです。

ドラムやキーボードとは違い、演奏の合間に手軽に楽器を取り換えるコトができるのはエレキギターの利点です。コレを利用しない手はありません。

ただし、シールドケーブルを抜く前に、必ずアンプのヴォリュームを0にするのをお忘れなく。