塗装はエレキギター自作の最難関~素人でもうまくいくコツ

塗装はエレキギター自作の最難関~素人でもうまくいくコツ

購入とも演奏とも一味違う、自作という愉しみ方

かれこれ3年前になりますが、僕がエレキギターを自作するキッカケになったのは身近に自作派ギタリストがいたワケではなく(出会ったコトすらありません)、単なる思いつきでした。

浮気性な僕はすぐに買い換えしたくなる悪癖があるのですが、既製品のエレキギターというのは、手放す際の費用対効果が非常に悪いのです。

バイクなら最高1/2近い査定がつきますが(YZF-R1の03モデルは信じられない高値で売れました)、エレキギターはせいぜい1/4程度です。

それに、手が小さく指が短い僕が弾きやすいギターというのもあまりない。フジゲン製のギターは高品質ではありますが、画一的なサイズ設定であります。

「だったら、好きに加工して理想の1本を作れないか?」と浅はかに考えた次第であります。

また、費用対効果でも非常に損がないのも魅力的でした。

キットであれば、どのモデルを選んでも2~3万円程度で買えます。たとえ失敗しても高額なエレキギターを二束三文で手放すより懐が痛みません。

ちなみに、最も高額なギブソンES-335タイプでも3万円です。なんと本物の1/10以下。。

「だったらやってみようじゃないか。うまく完成しても、鳴らしてみて使い物にならなければ部屋のオブジェにすればイイ」というワケで、さっそく通販で購入。

購入したのは株式会社ホスコの製品でした。ネットのレビューで高評価だったので選んだのですが、これが大正解。

きっちり作れば新品5~6万クラスの既製品と遜色なく、弾き心地も大変よろしい。

以来、すっかりハマってしまい、ホスコ製のキットを年2~3本のペースで製作し続けています。

 

コレができれば一人前~塗装のノウハウ

今回は、数あるエレキギター製作工程の中で最も難易度が高い塗装作業について詳しく綴ってみたいと思います。とにかく難しい塗装でこれまでの苦労が水の泡といった失敗が何度もありました。

過去に手掛けたコトがある塗装方法と、その方法について参考になれば幸いです。

難易度☆ 絶対に失敗しないナチュラルフィニッシュ+水性ウレタンニス

初めて組み立てたのが、トラ目が美しいメイプルボディのレスポールモデルでした。せっかくのトラ目なのだから活かそうと思い、マニュアル通りに細目のサンドペーパーで研磨してから透明色のウレタンニスを塗装しました。

以来、すべてのギター製作で水性ウレタンニスを使っているのですが、スプレー以外で僕が愛用しているのは、いずれも和信ペイント株式会社の製品です。

和信ペイントには水性ウレタンニスと水性ニスがあり、水性ニスの方が安いのですが、塗装が柔らかいのでエレキギターには不向きです。高価ですが、水性ウレタンニスを使いましょう。

ニスを一度に塗りすぎると垂れてしまうので、薄く塗っては乾燥させて重ね塗りする繰り返し。少なくとも5回以上は重ね塗りし、1500~2000番の細目の耐水ペーパーで表面の凸凹を鳴らして完成です。

コンパウンドで最後に磨いて光沢を出すとさらにキレイな仕上がりになりますが、あえて荒っぽい仕上がりにしました。オールドモデルっぽいラフな雰囲気を出したかったからです。

難易度☆☆ 木目を活かして着色するならステイン+水性ウレタンニス

次に挑戦したのが、木目を活かしつつ色を付ける塗装でした。そこで和信のポアーステインを購入して挑戦。まずは布に塗料を染み込ませてボディトップに塗り込みます。

そして、濡らした布で表面を擦るように拭き取ります。

そうするコトで着色が均一になり、木目がクッキリ浮き上がってくるのです。そのままですとステインが付着してしまいますので、ボディ全体を包み込むように水性ウレタンニスでコーティングします。

ここまではそう難しい作業ではありませんが、僕はサンバーストフィニッシュを表現しようとしてボディ中心部をイエロー、その周りをダークブラウンで仕上げようと挑戦。

そこで失敗したのが、色の調合と塗る順番でした。

まず、ステインはいちど濃い色を塗ってしまうと取り返しがつきません。つまり、ボディ全体をイエローで着色し、乾いてからダークブラウンで重ね塗りをしなければなりません。

無知な僕は、その逆をやって大失敗したワケです。

また、別な色のステインを重ね塗りすると色の境界が滲んでしまうという特性がありました。

そのため、人差し指に布を巻き、滲まずに自然にグラデーションに見えるように拭き取って仕上げました。近くで見れば一目瞭然です。

難易度☆☆☆ 木目を完全に塗りつぶすならスプレー+水性ウレタンニス

レスポールモデルを数本、組み立てた後は別なモデルを作ってみたくなり、フライングⅤモデルを購入。

1967年モデルをもとにデザインされていたのですが、1958モデルが好きだったのでネック接合部を削って加工しました。

予定では着色された水性ウレタンニスで仕上げようと思っていたのですが、木片を張り合わせたボディ形状で、木目がバラバラだったので塗りつぶすコトに。

ところが、この選択が、スプレー塗装の難しさとの終わりなき試行錯誤の始まりでした。

スプレー塗装の難しいところは、ステインのように色の濃淡のムラができないのですが、吹き付けにムラが出やすく、均一吹き付けるのが非常に難しいのです。

同じ動きでスプレーしているつもりなのですが、木目が浮き出る箇所が残る。

説明書では2~3回に分けて吹き付けるよう指示があるのですが、5~6回に分けて吹き付けた方が、成功率が上がります。初心者の失敗は、一度に数回スプレーして塗装が垂れてしまうコトです。

もうひとつ、これは原因不明でイチかバチかの勝負にもなりますが、乾燥と同時に柑橘類のゆずの表面のような筋状の凸凹ができたり、パキパキのヒビ割れを起こしたりします。

こうなってしまうと、乾燥後にサンドペーパーをかけてやり直しするしかありません。

考えられる原因は気温差と重ね塗りの間隔です。寒い日や、重ね塗りをするまでの時間が短い場合に起こりやすいようです。すぐに次の行程にいきたいのをグッと我慢して数日間、乾燥を待つべきです。

難易度☆☆☆☆ さらに凝ってみるならメタリック塗装+水性ウレタンニス

次に挑戦したのは、ゴールドやメタリックブルーといったキラキラ系の塗装でした。

前者はレスポールで塗装に失敗した上塗りとして、次に2本目のフライングⅤの仕上げ、3本目はストラトキャスターのブルーメタリックです。

手軽で成功率が高いのがゴールド系のスプレーです。絶対に成功すると断言できないのは、ゴールドは他の単色とは違って色の濃淡が出やすいのです。色合いを均一に吹き付けるのは、経験と技術と運が必要です。

難しいのがシルバーやゴールド系の下地塗装とシースルーのメタリック塗装の2本を重ね塗りする方法です。結論からいえば失敗しました。

均一な濃さを保つのが難しく、終わってみれば迷彩塗装のようなありさまに。

しかも、これらの塗装はどちらも高額で(それまではアサヒペンの安価なラッカースプレーでした)、次にうまく塗れる自信もなかったので、ホームセンターでも最も安いブラックで上塗りしてしまいました。

結果として、塗装の経験値が上がっただけの痛い支出でした。

難易度☆☆☆☆☆ 専用の道具が必要不可欠、サンバーストフィニッシュ

サンバーストフィニッシュは、フェンダーのストラトキャスターやテレキャスター、ギブソンのレスポールなどでおなじみの仕上げ塗装です。

サンバースト(日焼け)と表現されますが、いずれもボディトップの中心部をイエローまたはオレンジ系のシースルー塗装とし、それ以外をダークブラウンやブラック系で上塗りする仕上げです。

この仕上げをするためには市販のスプレーでは絶対に不可能です。まず、シースルーの単色スプレーが売っていません。専用の塗料をブレンドして作らなければなりません。

それと、市販のスプレーでは霧の粒子が荒すぎて仕上がりが汚くなります。サンバーストフィニッシュは、明色系と暗色系の境界線がグラデーションに仕上がっていないと美しく見えません。

そのためには、エアーガンと呼ばれる細かい霧の粒子をスプレーできる専用の塗装道具が必要になります。スプレーは缶に密封されたガスの気圧で吹き付けるので、気温などで左右され、均一ではありません。

一方、エアーガンはコンプレッサーで吹き付けますので、吹き付ける塗装の量も吹き付ける強さも均一です。もちろん、イメージ通り仕上げるためには、エアーガンの知識と技術と経験が必要でしょう。

ちなみに、エアーガンは漫画の着色ページのカットにも使用されます。僕らの世代には漫画・アニメともに絶対的な人気を博した「北斗の拳」の作画を担当した原哲夫先生もエアーガンを愛用されていました。

というワケで、非常に魅力的で挑戦したいのですが、費用対効果や成功率の低さから断念しました。

サンバーストだけは塗装を外注するか、市販モデルを購入した方が良さそうです。

 

自作は完成までの苦労を愉しめるヒトのみ

僕は元々こうした趣味がありましたので途中で何度も挫けそうになっても最後までやり遂げ、完成させてきましたが、単に費用対効果を狙うのであれば止めておいた方が無難です。

専門工具を使いこなすプロのクラフトマンでもない限り、市販モデルの美しい仕上がりには及びません。特に塗装は、これまで綴ってきたように失敗するリスクが高いです。

しかしながら、ここまで読んでみて、それでもやってみたいというコトであれば挑戦する価値アリです。購入では決して味わえない満足感が得られますし、ライヴで充分に使えるモデルが何本も用意できます。

たとえ壊れても安いので諦めがつくでしょうし、何より「よし! じゃあ、また作るか」と新たな創作意欲にかられるコト請け合いです。

〔追記〕

塗装の関連記事として、ボディバインディングが施されていないモデルを塗装で再現する方法をアップしました。併せてご一読いただければ幸いです。

「バインディングを塗装で再現する方法について」→コチラ