相談者へのインフォーマル支援~②シルバー人材センター:家財道具&ゴミ処分

相談者へのインフォーマル支援~②シルバー人材センター:家財道具&ゴミ処分

ガー子さんの引越支援~次の課題は、大量に残された家財道具とゴミの処分

最後まで揉めた大量の家財道具の取り扱い

前回、「保健所:ペットの里親制度」の活用によって亡夫の忘れ形見だった愛犬が里親に無事引き取られていきまして、ようやくガー子さんの本格的な引越に向けた準備に着手するコトになりました。

しかしながら、未だに課題は山積しておりました。グループホームには持っていけない大量の家財道具の扱いです。ひとつ残らず持っていきたいガー子さんの希望とグループホームのキャパシティの折り合いがつかないのです。

ガー子さんを迎えてくれるというグループホームは通常の木造2階建て賃貸アパートを申請したもので、10畳半の広さがありました。他にも数件の空きがあったのですが、「狭い!」という理由で却下。

これだけの広さを誇るグループホームは、わがマチには見当たらないほど恵まれた物件でしたが、ガー子さんにとっては不満でした。希望していたのは、あくまでも一軒家だったからです。

手放す決断をしてもらうための説得の日々

とはいえ、引越は借金返済のための苦肉の策であります。それまでの間は忍耐の日々からは逃れられません。広い家に住みたいのであれば、ガー子さん自身がこしらえた負債を帳消しにするのが先決です。

結論としてはグループホームに持っていける最大限の家財道具を除き、すべて処分するコトでガー子さんを説得したのですが、他に手段がないか模索し、貸倉庫で保管するコトも検討しました。

ところが、ガー子さんが主張する家財道具の量があまりにも多すぎて、とても個人レベルの貸倉庫に収納できる量ではなかったのです。どうみても、コンテナ規模の保管庫が必要でした。

そうなれば、当然ですが高額な経費がかかります。それでは本末転倒、引越する意味がありません。どのみち、ガー子さんにはグループホームに持っていけない家財道具を諦めてもらうしかありませんでした。

こうしてガー子さんへの説得の日々は続き、最終的に「どうしてもコレだけは手放せない!」という数々を厳選してもらうコトで折り合いをつけてもらったのです。

 

最小限の費用で莫大な家財道具の処分をする唯一の手段~シルバー人材センター

シルバー人材センターの精鋭チームに処分を依頼

前回のブログで紹介した職業後見人の鷲津センセイには、ひとつの秘策がありました。それは、シルバー人材センターの活用による家財道具の処分です。

しかも、鷲津センセイにはシルバー人材センターに強力なコネがありました。センターに登録されている活動チームで最も優秀なチームリーダーにガー子さん宅の後始末を要請したのです。

シルバー人材センターとは、「高年齢者が働くことを通じて生きがいを得るとともに、地域社会の活性化に貢献する組織」であります(以上、「全国シルバー人材センター事業協会」のホームページより抜粋)。

わがマチにもシルバー人材センターがあるのですが、鷲津センセイに優秀なチームを率いるリーダーとのコネがあったコトが、後の大作業に貢献したのでした。

というのも、シルバー人材センターの利用料はすべて時間制によるものであります。つまり、作業効率が重視される出来高制でないというコトであります。

オブラートに包まず端的に申しますと、時計と睨めっこしながらダラダラ手抜きをしようが、予定の時間をきっちりフル稼働しようが、作業メンバーがもらえるギャラは同額というコトです。

ところが、鷲津センセイが推薦する作業チームのリーダーは仕事にシビアな方で、「このヒトたちに任せれば最高の仕事をしてくれます」というお墨付きチームだったのです。

引越当日までの間、準備に追われる支援者たち

それからというもの、引越当日までの間、ガー子さん宅で荷造り作業が展開されました。

後にさまざまな対人トラブルを起こしては引越を繰り返すコトになるガー子さんには、その自覚と責任を持ってもらうために相応の支出をしてもらいました。

ところが、この時だけはお金がないという切迫した事情もあり、僕を含め、支援チームのそれぞれが手分けしながら無償でガー子さんの荷造りを手伝ったものでした。当時、支援に入っていたホームヘルパーも業務外で協力してくれたと報告がありました。

ところで、ガー子さんは掃除や整理整頓が一切できないヒトでした。僕も業務上、数々のゴミ屋敷に遭遇してきましたが、ガー子さん宅を超えるゴミ屋敷にお目にかかったコトはありません。

シルバー人材センターに処分してもらう家財道具の分を差し引いても、過去十数年にわたって山積してきた家屋内には莫大なゴミが散乱している状況だったのです。

引越準備をする段階になって、ようやくガー子さん宅の全貌を知った僕ら支援チーム一同。「とてもゼロさん達には見せられない」と、これまで通されてこなかった2階の惨状を目の当たりにして思わず絶句したものでした。

僕や養護学校の教諭たちの役割は、家屋内や車庫に散乱するゴミ処分に係る力仕事でした。段ボール箱への荷造りは某法人の施設長にお願いし、ガー子さんに代わって荷造りをお願いしました。

 

シルバー人材センターの精鋭の力を借り、どうにかミッション終了

精鋭チームが小気味よい仕事さばきを披露、でも…

そして引越当日。まずはガー子さんとグループホームへ運び込む家財道具の運搬から作業が始まりました。この作業はガー子さんを受け入れてくれる某法人のスタッフと利用者の皆さんが無償で手伝ってくれました。

ガー子さんはグループホームでの荷ほどき作業があります。そこでガー子さんは住み慣れた我が家に別れを告げるコトに。あとは僕が家の鍵を借り、作業終了後に施錠して管理会社に返却する役割を任されたのです。

ガー子さんを乗せたグループホームの一団が去った後、シルバー人材センターから鷲津センセイ推薦の精鋭チームが到着しました。かなり前の話なので記憶が怪しいところですが、確か8名ほど来られたかと思います。

作業はチームが二手に分かれ、家屋からの運搬チームとゴミ処分のための解体作業チームによる同時進行でした。わがマチのゴミ処理の規則に基づき、その場で分別してから処分場へ運搬するのです。

第三者だから冷静に作業を見守っていられましたが、ガー子さんがその場に居なくて良かったと思いました。家財道具が次から次へと破壊されていく様子を見るのはとても堪えられなかったコトでしょう。

あまりにも甚大すぎた処分量、作業は翌日へ持ち越し

ところが、どうも雲行きが怪しい事態に。いくら作業が進んでも家屋からは家具やゴミが運び出されてくるのです。精鋭チームは粛々と解体作業と分別作業をこなしていくのですが、まったく終わる気配がない。

それが錯覚ではないコトは、時計を見れば一目瞭然でした。やがてチームリーダーが僕のもとを訪れて一言。「今日はここまで。続きは明日に」

鷲津センセイに連絡を入れて事情を伝えると、次に管理会社に連絡して鍵の施錠は僕が責任をもって行うので、家屋を引き払うのは明日に延期してほしいと依頼。快諾を得たところで解散。

そして僕もまた想定外の状況に対応すべく、翌日の業務調整を行ったのでした。

鷲津センセイの想定を超える請求、それでも最安値で収束

そして翌日の午前。再び精鋭チームが集結し、残りの作業に没頭。僕は立会人として最後までゴミ処分の作業を見届けました。チームリーダーの要請を受けて最終チェックを行い、請求は後日、僕宛てに送ってもらうよう確認。

こうして、ガー子さん宅のゴミ処分の作業は想定をはるかに超える時間数をかけて、無事に終焉を迎えたのでした。僕ら支援チームは一区切りがついたと安堵しましたが、ガー子さんはさぞや無念だったと思います。

実際、僕らに望まぬ引越を強要されたとか、命よりも大事な家財道具を処分させられたとか、どんな思いで諦めさせられたのか等、ガー子さんから抗議のグチ話を何十回と聞かされましたので。

翌日、シルバー人材センターから請求書が送られてきました。内訳はチームメンバーの人件費とゴミ処分に係る手数料。金額はかろうじて10万円を超えなかったのですが、鷲津センセイの予算を倍近く超過するものでした。

それでもなお、いつかは手がけなければならなかった大作業を一桁万円で済ませるコトができたのは鷲津センセイのおかげであります。フツウに引越業者に依頼していたら数倍もの請求書が届いたコトでしょう。

*   *   *

こうして、グループホームでの新生活に移行したコトで高額な家賃を支払わずに済み、ガー子さんの借金返済を阻む最大の課題を解決したワケですが、家財道具の処分によって新たな借金をしてしまったコトもまた事実であります。総額で30万円に迫る金額に。

しかしながら、鷲津センセイには、ガー子さんが新たな借金をしてもなお全額返済ができる確信がありました。僕ら福祉的支援しか知らないメンバーには考えもつかない、「借金返済のための借金」という窮余の一策があったのです。

後日、その秘策が僕ら支援チームに授けられ、ガー子さんの借金返済に向けて大きな一歩を踏み出すコトになるのです。ここでもガー子さんが大騒動を引き起こすコトになるのですが、その件につきましては次回に。