一見チープだが、決して侮れない末弟~ギブソン:レスポール・スペシャル
- 2019.01.06
- エレキギター

レスポール末弟の1人:レスポール・スペシャル
ギブソン社が誇る代表格のモデルといえば、「エレキギター・初めての1本を選ぶなら」でご紹介したレスポールです。まさにギブソンの代名詞、エレキギター弾きでその存在を知らないヒトなど皆無でしょう。
ところで、レスポールはフェンダー社の代表格モデルのストラトキャスターと違い、同じ名称を冠するモデルが価格帯ごとに複数リリースされています。
最も高価なのは、希少なエボニー材をフィンガーボードに使用し、ボディ表裏ともバインディング加工を施し、ゴールドで統一された金属パーツを驕るなど手が込んだゼイタクな仕上がりを誇るレスポール・カスタムです(今回のアイキャッチ画像)。
次に高価なのがレスポール・スタンダードです。恐らくレスポールの中で最も愛されているポピュラーなモデルで、僕の自作モデルのオリジナルがコレであります。
バインディングはボディ表のみで金属パーツもクローム一色と、とにかくゴージャスなレスポール・カスタムより簡素な造りでありながら、レスポールの王道といえる装備を誇るモデルです。
レスポール・スタンダードの最大の特徴は、メイプルトップの美しさを活かしたサンバースト・フィニッシュ塗装でしょう。白か黒で塗りつぶされたレスポール・カスタムと違い、天然の虎目が画一化されていないところが魅力だったりします。
レスポール・スペシャルの特徴とは
良くいえばシンプル、悪くいえばチープな第一印象
そして今回の主人公のレスポール・スペシャルですが、レスポール末弟の双子ともいえるレスポール・ジュニアと同じ、レスポールの廉価版バージョンとして開発されたモデルです。一見すると兄貴分たちとはチョット何かが違うといったルックス。
長兄レスポール・カスタムや次兄レスポール・スタンダードと末弟レスポール・スペシャルの最大の違いは、ボディ加工にあります。マホガニーだけで構成されているのが末弟の特徴でもあります。
レスポールの代名詞といえば「メイプルトップ・マホガニーバック」と呼ばれる2つの木材の貼り合わせ、「アーチトップ」と呼ばれるなだらかな曲線加工、ボディ輪郭をプラスティック材で縁取るバインディング、これら3つの加工です。
ところが、廉価版のレスポール・スペシャルやレスポール・ジュニアでは以上の3加工が省略されているため、レスポール・スタンダードを見慣れたギタリストからは「いかにも安物」といった印象を抱かれがちであります。
特に残念なポイントはマホガニー1枚板で造られたボディで、メイプルのように鮮やかな木目ではなく、また肌目も粗いため、レスポール・スタンダードのようなシースルー塗装をするとチープな仕上がりに。
自作派がレスポール・スペシャルのコピーモデルを組み立てる際は、しっかりと砥粉やサンディングシーラーで目止めを行い、レスポール・カスタムのように単色で完全に塗りつぶすコトをオススメします。
サイドやバックは水性ウレタンニスで着色するだけでサマになりますが(レスポール・スタンダードと同じ仕上がりに)、トップだけは目止め加工をしっかり行い、最後にスプレー塗装するのがベストです。
また、ボディトップが平面で、バインディング加工もなく、実にチープな仕上がりです。イメージとしては、フェンダー・テレキャスターを全体的に丸く仕上げた感触といったところでしょうか。
ルックスは質素この上ないが、繰り出されるサウンドは侮れない
レスポール・スペシャルの基本構造は兄貴分であるレスポール・カスタムやレスポール・スタンダードと共通で、材質や装飾は簡素化されていますが同じDNAを共有しているコトが伺えます。
マホガニーだけで製造されたボディは兄貴分よりも軽量で扱いやすい反面(メイプル材はマホガニーに比べると堅くて重い)、アーチトップでないため前腕部がモロにボディエッジに接触し、強い違和感があります。
自作派は、フェンダー・ストラトキャスターのように前腕部がボディと接触するポイントを斜めに削る加工(エルボーカット)をすると俄然、弾き易くなります。
バインディング加工のみ省略されたレスポール・スタジオのようなアーチトップ加工ができれば良いのですが、相当な技術が要るので最低限の加工が無難です。
コントロールノブはフロント・リアそれぞれにヴォリュームとトーンが1つずつ、合計4つが装備され、ピックアップセレクターの配置も含めてスイッチ類は兄貴分と共通です。つまり、操作性は全く同じ。
兄貴分と大きく異なるのが、ピックアップがシングルコイルである点です。ギブソンが誇る、中音域が強調されハウリングが少ないピックアップ「P-90」がフロント・リアに搭載されます。
フシギなコトに、実際にアンプにつないで鳴らしてみると、ハムバッカー搭載の兄貴分たちと遜色のないサウンドが。中音域が分厚い武骨な音質なのです。これがストラトキャスターですと、ハムバッカー搭載モデルと持ち換えたら違和感がありまくりのサウンドに。
これは僕が自作したレスポール・スペシャルモデルが特殊なのかも知れませんが、レスポール・スタンダードモデルと同じサウンドメイクで、パンチ力の少なさをフォローする微調整のみでエフェクト類の使い回しができます。
ストラトキャスターのような繊細かつ高音域のキレ味の良さはないのですが、ストラト系の泣き所である歪み系エフェクターとの相性の悪さ(ハウリング・耳をつんざくキンキン音)は皆無。サウンドメイクで神経質にならずに済みます。
ちょっとチープなルックスはさておき、セカンドモデルとしておくにはもったいないほどのポテンシャルを秘めたレスポール・スペシャル。廉価版ではありますが、ライヴでも充分に使える「末弟」です。
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