エレキギターが巧く弾けるようになりたいヒトへ
- 2019.01.07
- エレキギター

こんなに練習しているのに(泣)~その悔しい気持ち、痛いほど判ります
今の若い方にとってはもはや懐メロ同然の扱いでしょうが、1990年代の後半といえば猫も杓子もバンドを組み、ストリート系のアマチュアが次々にメジャーデビューを飾るという空前のバンドブームでした。
そして2020年代を目前とした現在、一過性のバンドブームではないものの、たまに楽器店を訪れてみれば必ず一定数の来客がある様子。エレキギターをこよなく愛するのは僕だけでないと実感する次第であります。
というコトは、ティーンネイジャーだった頃の僕のように(実際は現在も同じですが)、他人と比べて劣等感に駆られたり、イヤになってエレキギターを手放すヒトも少なくないのではないかと推察したりします。
「どんなに練習しても全然弾ける気がしない」「なんでこんな難しい曲が弾けるんだ?」「あのバンドのギタリストは凄すぎる」等々。
上達のペースはヒトそれぞれでして、残酷なようですが天賦の才がモノをいいます。持って生まれたセンスの良さや優れた講師に教わる環境にあるといった要因で相当、習得までの期間が短縮されるコトでしょう。
では、持って生まれたセンスや優れた講師に恵まれなければエレキギターが上達しないかと問われれば、そこはハッキリ違うと断言できます。
確かにプロにはなれないかも知れませんが、万人を楽しませ、納得させ、「スゴイね!」「巧いじゃん!」といわせるレベルの演奏であれば絶対に到達できます。
以前のブログ「雨垂れ石を穿つ~エレキギター上達の極意とは」では、単に時間さえかければ必ず弾けるようになると抽象的かつ無責任なアドバイスだったという反省もあります。
そこで今回は、自称「永遠の中級者」の僕が実際に経験した実績をもとに、具体的にエレキギターが巧く弾けるようになるための心得や練習法についてご紹介したいと思います。
僕はコレでエレキギターが上達~効果があった実践メニュー
時々、自分のプレイを録音して聴き直す
「もう、けっこう弾けるようになったし…」と、ある程度の自信がついた段階で充分ですので、映像や録音で練習の様子を振り返ってみてください。この振り返りこそが上達の最短コースです。
僕も最近はバンドメンバーの誰かがケータイで録画したものをLINE共有で振り返ったりしますが、ティーンネイジャーの頃はウォークマンのマイクでカセットテープに録音し、聴き返しては「何だコレ?」とガッカリし、また練習の繰り返しでした。
自分よりも巧いギタリストに聴いてもらってアドバイスを受けるのも上達手段のひとつですが、「相手のアドバイスを正しく理解できる知性とセンス」が求められます。
つまり、「何を指摘されてるのかサッパリ判らん」という悲劇を生むコトに。
その時点では判らなくとも、上達した後になって「ああ、あの時のアドバイスはこういうコトか」と気付けばそれで良いのです。それまでの間、自分が鳴らした音を聴き返すのが最良の振り返りになります。
まさに、「百聞は一聴に如かず」なのであります。
巧いヒトのギタープレイを直接、視聴する
僕は高校を卒業するまで「北の国から」を彷彿させる辺境の地で暮らしていたので、ハッキリいって音楽を習える環境はどこにもありませんでした。
しかしながら、高校時代には腕利きのギタリストが数人いて、そのうちの1人と仲良くなったコトから優れたプレイを目の当たりにする機会だけはありました。
天性のセンスに恵まれているヒトでない限り、音楽学校に通おうが通うまいが上達のペースはほとんど変わらないと思います。僕も音楽の授業で楽器を習いましたが全然上達しませんでした。
唯一、上達するとすれば、まずは独学でエレキギターを練習し、それで行き詰まった時に「それ、こうやって弾けばイイんじゃない?」と、デキる友人にサラッと手本を見せてもらう。コレが最も僕に合っていました。
布袋寅泰さんのカッティングは彼の代名詞ともいえるプレイスタイルですが、スコアやビデオ(当時はDVDなどありませんでしたので)を何度観ても判らない。それを一発、見本をみせてもらうコトで弾けるように。
何も手取り足取り教わるコトばかりがレッスンではありません。見本をキッチリ示してもらうだけでも充分、エレキギターの上達につながります。
あこがれのプロのライヴを観に行くのもヨシ、同級生や先輩方のアマチュアライヴに足を運ぶのもヨシ。自分より優れたギタリストのプレイを直接視聴する機会を設けて下さい。
巧いヒトのプレイに触れるコトで得られるもうひとつの大きなメリットは「自分にもできるかも!?」と未来の自分への期待が膨らみ、精神的に大きくプラスに作用する瞬間を味わうコトができる点にあります。
音源だけでは「どうやって弾いてるんだよコレ?」と絶望しか思い浮かばない気分になりがちですが、そのプレイを目の当たりにすると「あれ、なんか弾けそうじゃね?」と良い意味で錯覚できるのです。
僕が愛してやまない超絶速弾きギタリスト、イングヴェイ・マルムスティーンのプレイは音源だけだと絶対に弾けないとしか思えないのですが、本人がプレイしている様子を視覚的にとらえると別な印象を抱きます。
これは僕だけの感想かも知れませんが、弦を弾く右手の動きは繰り出す連弾以上にスローに映り、左手の動きはまるで指板を撫でるが如くの軽やかさなのです。そして「なんかデキるかも?」とポジティヴな錯覚を。
バンドを組んで他の楽器と音を合わせる
「バンドを組むのはエレキギターが巧くなってから。それまでは個人練習を徹底するべき」
それも一理ありますが、音源を伴奏に最初から最後まで弾けるようになったら、誰かと一緒に音を鳴らす機会を積極的に設けてください。
バンドを組んでコンスタントに活動するのがしんどいとか、一緒にバンドを組めそうな仲間がいないのであれば、単発のライヴやコンサートに1曲だけで一緒に共演させてもらうので充分です。重要なのは「ヒトに聴かせる」コトです。
実際に僕のまわりにもいましたが、個人でプレイする分には凄まじい超絶技巧を奏でる凄腕なのに、バンドを組むと「なんか残念な感じ」というギタリストがいます。「巧いんだけどなんか違う?」という。
音響の関係で特定の音しか聴こえないとか(聴衆にはちょうど良くても、ステージでは全然聴こえないという状況はよくあるのです)、リズムやタイミングの揺らぎにピッタリ呼吸を合わせる練習をしていないからです。
カラダを動かすという意味において楽器の演奏はスポーツのチームプレイと全く同じでして、いずれもメンバーの呼吸を合わせなければならない法則が働きます。
バンドで演奏すると、ギタリストとしての弱点や欠点がモロに浮き彫りになります。いざバンドで演奏をしてみると、ここのタイミングがどうしても合わないとか、ここだけ弾けないといったように。
また、個人で練習していると、どうしてもイントロやギターソロばかり練習してしまい、曲を最初から最後まで練習するコトがおろそかになりがちです。バンド演奏するというコトになれば、一曲を完全に弾き切る練習の動機になります。
人前で演奏する機会を設ける
アコースティックギターの弾き語りでもバンド演奏でもOKなのですが、お手軽なところでOKですので、上達したいのであれば、人前で演奏する機会を設けるコトを前提に。
あなたのマチのライヴハウスや楽器店が主催する各種イベント、学生であれば学園祭のステージ、社会人であれば職場の余興やお得意先の慰問など、その気になれば機会はどこにでもあるハズ。
僕が所属するバンドでも年に数回、人前で演奏する機会を設けています。というか、それがないと練習でヒトが集まりませんし、エレキギターを鳴らすモチベーションが維持できません。
「人生に生き甲斐と彩りを~エレキギター編」でも触れましたが、夏は仕事がらみでお世話になっている障害福祉サービス提供事業所の夏祭りイベントでお呼ばれしたり、わがマチの公共施設でのイベントに参加したりとステージに立つ機会を設けています。
さらには数年に1回ですが、わがマチのライヴハウスを借りてコンサートを開くなど大掛かりなイベントを行うコトもありました。公共施設に自前の機材を持ち込んで行う小規模ライヴでは味わえない醍醐味があります。
本番での勝負度胸といいましょうか。練習ばかりでは上達ペースが滞るものですが、大きな目的を目の前にすると、普段は絶対に有り得ないペースでメキメキとスキルが上がったりします。
楽しくてプレイするのがエレキギター~ときには存分に休むのも上達の手段
「楽しくないエレキギター」なんてウソ
以上、やっぱり抽象的だなと思いつつも上達方法の数々をご紹介してきました。いずれも実際に僕が試してみて効果があったのでどれもオススメなのですが、それらとは別に覚えておいていただきたいコトがあります。
それは、「楽しくプレイできないエレキギターなんてウソだ」というコトです。
だから、「辛いな」とか「面白くないな」とか「全然弾く気がしないな」と思うのであれば、エレキギターから一切遠ざかる時期があってもイイのです。
仕事が忙しい、思うように弾けずに嫌気がさした、コレといった理由はないけと弾く気をなくした、さまざまな理由で僕も年単位でエレキギターに見向きもしない時期がありました。
でも、本当にエレキギターが好きならば、いつかまたエレキギターに帰ってきます。
そして、これもまたフシギなコトに、全然練習もしていないのに、超久々にフラッと立ち寄った楽器店でエレキギターを弾かせてもらって自分にビックリ。
あの頃は絶対に弾けなかったフレーズが弾けるではありませんか!
エレキギターから遠ざかっている期間にウデが育つ
常識で考えたら有り得ないとしか思えないコトですが、「全然弾けない」とフテくされつつ、一生懸命練習を積み重ねてきた努力の積み重ねが、時間をかけて自分自身の中で醸成するのです。
こうして僕は、わがマチに転職してから5年ほどエレキギターと無縁な生活をしてきたのですが、フト弾いてみたくなってフラリと寄った楽器店へ。
そこで、「なんか弾ける気がする」と根拠のない自信で適当にお気に入りのフレーズを弾いてみると、予想以上に指が動く。調子に乗って、指運だけは記憶にある弾けないハズの速弾きフレーズをやってみると、「アレ、なんか弾けてる気がする?」
これですっかり再びエレキギター熱が高まり、今でも所有しているフジゲン製のミディアムスケールのテレキャスターモデルを購入。それから数ヶ月後、現在所属しているバンドのお誘いがあり…。
スポーツでも同じですが、巧くなるためには休むコトも必要なのです。上達するために練習をしないという何とも矛盾するアドバイスですが、酷使した手指を休ませるのは長期間にわたってエレキギターを愉しむためのプロセスなのかも知れません。
もっとも以上のことがらは、僕のように集中力が続かないヒト向けのアドバイスでもあります。エレキギターを弾くのが楽しくて仕方がないというヒトは遠慮なく弾きまくってください。
ただし、練習のやり過ぎによる腱鞘炎にだけはくれぐれもご注意を。
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