ケアマネジメントで最も重要なのは、信頼関係の構築

ケアマネジメントで最も重要なのは、信頼関係の構築

元相談者たちの記憶の中にいる「過去の自分」

かつての相談者たちが語る「過去の自分」

光陰矢の如しとはよくいったもので、僕がおよそ半年のブランクを経て、半独立型社会福祉士として前職と同じ障害者ケアマネに復帰してから4ヶ月が経過しました。

独りケアマネとして自らの仕事をマネジメントできる立場になり、過去の経歴はすべて置いてきたつもりだったのですが(最近は元〇〇といった自己紹介をしなくとも認知されるように)、過去の僕を知るヒトたちからすればそうはならないようであります。

というのも、前職の元部下に引き継ぎをした、かつて僕が担当していた相談者の一部がコトあるごとに僕の話をよくしているとの報告を受けるからであります。

大変ありがたいコトに僕の退職後の動向が心配なようで、「ゼロさん、元気でやってるんですか?」とモニタリング訪問のたびに聞かれるとの話。そのたびに「ゼロさんは元気でやってるよ」と伝えてくれているそうですが。

また、障害福祉サービス提供事業所のスタッフとサービス担当者会議などで集まった際にも、かつて僕が相談支援を担当していた一部の利用者が僕の名前を出し、「ゼロさんにはホントに世話になった」との話をしている件も聞きます。

かつての相談者が、退職後のコトを僕を心配してくれたり懐かしんでくれたりしている。まさにケアマネ冥利に尽きる話ではありますが、本人から直接聞いた話ではありませんので、あくまで同業者からの僕に対するリップサービスとして聞いています。

「過去の自分」が良い思い出ばかりとは限らない

しかしながら、逆もまた真なりで、仮に僕の前職時代の言動を快く思っていない相談者がいたとすれば、そのエピソードがいつまでも消えていないというコトでもあります。

実際、「ゼロさんは怖いから担当を変えてほしい」との話があったので「怖くなさそうなケアマネ」に変更したケースがありましたし、前職の相談支援事業所とは一切関わりたくないというケースもありました。

また、相談者だけではなく、同業者や関係機関からも「一体何なんだ、あのゼロって奴は?」と、かつての僕の言動に不快感を抱かれている可能性もあります。

数字や文字の羅列といった記号の記憶は忘れやすい一方で、他人の言動に関する記憶というものは長期間にわたってヒトの記憶に残るものであります。特に、忘れたい不快な記憶ほど強く残るものです。

 

相談支援において最も重要なのは信頼関係の構築

肝心なのは、「何を言うか」ではなく「誰が言うか」というコト

これは僕自身の経験でも多々あるコトですが、指導や叱責など、できれば避けてとおりたい話を聞かされる際に、それを誰に言われるかというコトがとても重要ではないでしょうか?

「このヒトが言うなら納得せざるを得ない」と思えるヒトと、「少なくともアンタにだけは言われたくない」とか「なんでアンタにそんなコトいわれなきゃならないんだ?」としか思えないヒトがいるというコトです。

両者の違いはどこにあるのかといえば、指導や叱責をするに相応しい人物であるかどうかとか、誰に対しても公正かつ平等であるかとか、威厳や貫禄があるかどうかとか、要因はいろいろ考えられます。

しかしながら、最も重要なのは、やはり信頼関係が構築できているかどうかという一点にかかっているものと思います。上記で列挙した、まるで三国志演義で登場する劉備玄徳のような聖人君子である必要はないのです。

その意味においては、たとえ正鵠を射た正論で叱責しても、双方の信頼関係が構築できていない場合は、せっかくの忠言であっても、相手の中で不信感や怒り憎しみに転嫁されるだけという残念な結果にしかなりません。

相手への諫言を伝えて良いのは信頼関係を築き上げたヒトだけ

キレイゴトをいうつもりは決してありませんが、僕は信頼していない他人からの意見を素直に聞き入れるタイプの人間ではありません。たとえ組織機構上は僕の上司に相当する人間であっても。

別に誰とはいいませんが、信頼するに値しない人間からの口うるさい小言であれば、「管理職としての仕事を部下に丸投げしてるアンタに説教する資格あんのかよ?」と、独り静かにキレるタイプです。

ところが、信頼関係が構築できている相手から発せられる正論であれば、納得する確率は格段に高まるコトになります。かつての僕が尊敬していた当時の先輩ノリさんから諭された時のように。

以上のエピソードをふまえ、僕は障害者ケアマネとしての仕事をこなしていく中で最も重要なのは「相談者との信頼関係の構築」をいかに行っていくかというコトにあると考えています。

僕が相談者とのインテーク面談を行う前に、できる限り支援者から詳細な情報提供を求めるのも、丁寧かつ詳細なアセスメントシートを作成していくのも、ひとえに相談者との信頼関係を壊すようなアプローチを未然に予防するための必須項目だからです。

 

いかにして相談者との信頼関係を築き上げていくか

信頼関係の構築の第一歩、触れられたくない話題には決して触れない

計画相談支援を行うためには、原則としてはまず相談者と利用契約を締結し、個人情報使用同意書にサインをもらうところから始まります。ところが、クローズ(非公式)で事前に支援者との情報共有を行わねばならないケースもあります。

それは、本人が触れられたくないとか知られたくないと思っている話題についての情報であります。

実際にあった事例としては、親族や配偶者に関する話題(折り合いが悪かったとかDVや虐待を受けていたなど)、本人の過去に関する話題(婚姻歴、離婚歴、受刑歴など)、学歴に関する話題などが挙げられます。

そのため、基本情報を作成する際、あらかじめ本人のNGワードを知っていれば、あえてそれに触れずにサービス等利用計画が作成できますし、相談者からも「不快な話題を一切しないヒト」と好印象を抱いてもらえます。

アセスメントの重要性については、単に精度の高い計画相談支援を行うだけでなく、信頼関係の構築の第一歩として相談者が秘密にしておきたい話題に触れないための事前調査の意味合いも含まれているのです。

冒頭でヒトの記憶について触れましたが、インテークの段階でNGワードに抵触してしまい「あの時、いきなりゼロさんに聞かれたくないコト聞かれた」といった最初の躓きがあると、それがいつまでも尾を引くコトになります。

また、利用契約の際に個人情報の使用についての同意を得たとはいえ、本人が一切言及していない内容まで詳細に基本情報に記載したコトで相談者を不快にしてしまうおそれもあります。

このような場合、サービス等利用計画には一切記載しないコトが前提となります。別途アセスメントシートに加筆するなどして、行政に計画案を提出する際に別途資料を作って事情を説明すれば済む話であります。

 

ディープな話題に触れるのは、相談者との信頼関係を深めてから

最初は不慣れな障害者ケアマネを相手に不安や緊張をしていた相談者も(最初からフレンドリーで人懐こい相談者もいますが)、会う回数を重ねるごとに信頼関係がより強く構築されていくコトになります。

そうしていくうちに、こちらから誘い水をかけたりしなくとも、相談者が自分から触れられたくない話を切り出すコトが出てきます。信頼関係が構築できつつあるサインです。

そうなると、相談者が秘密にしておきたいエピソードを本人承諾のもとで支援者に伝えざるを得ない状況でも相談者との信頼関係を壊すコトなく、スムーズに情報提供ができます。

かつて当ブログで何度かご紹介したガー子さんもそのあたりには神経質な相談者で、「〇〇さん(支援者)、あたしに確認しないで勝手にあのコトを喋られた!」と怒って電話してくるコトが多数ありました。

そこで、借金を一括返済するために福祉医療機構の年金担保貸付事業を利用するコトになった際(詳細は過去ブログにて→コチラ)、ガー子さんの知られたくない話をせざるを得ない状況になりました。

ガー子さんが多くの借金や未払金を抱えているコトや療育手帳を取得している知的障害者であるコトを融資担当に伝えざるを得ないので、今ここでそれを伝えても良いか?

以上についてガー子さんに確認したところ、その場では黙って頷きました。ところが帰り道、僕に対し「あたしはゼロさんのコトを信用してるんだから、いちいち確認しなくてもいい」と答えたものでした。

かつて、支援当初は、「あたしが信用してるのは〇〇先生や〇〇先生(いずれもガー子さんをインフォーマルで支援していたキーパーソン)だから。ゼロさんのコトはまだ信用できない」とガー子さんから宣言されていました。

ところが、数々のトラブルを解決すべく、そして毎日のようにかかってくるグチ電話に対応しているうち、ようやくガー子さんの信頼を勝ち取るコトができたようでした。

ちなみに、冒頭で僕を懐かしがっているという元相談者のひとりがガー子さんです。