困っているヒトたちの役に立ちたい~氷室京介さんの生きざまと心意気に学ぶ

困っているヒトたちの役に立ちたい~氷室京介さんの生きざまと心意気に学ぶ

伝説は終わらない~「復興支援」という新たな生きざまで魅せた氷室さん

多感かつ新しい音楽に飢えていたティーンエイジャーだった頃。当時の僕が貪るように聴いていたヴォーカリストの1人が氷室京介さんでした。数いる日本人ミュージシャンの中で、「カリスマ」という言葉がこれほど似つかわしいヒトを他に知りません。

ヴォーカリストとしての実力だけでなく、ワイルドでありながら端正な容貌、軽やかでありクールさもシュールさも併せ持った作詞センス、ステージで誰かがマネすればチープなものに成り下がる氷室さんだけに許されるMCやアクションの数々。

フィクション的要素も含まれているのでしょうが、メンバー4人のバイオグラフィーとBOOWY結成までの物語を綴った小説「大きなビートの木の下で」に書かれているように、若い頃の氷室さんは多分に尖った生き方をしていたとのコトです。

実際、新宿ロフトでステージに立っていた初期の頃、盛り上がる客に向かって「ステージに上がるなバカヤロー! 演奏できねえだろ!」と凄むシーンがあり、MCでも「アタマ足りなくてバカやっておまわりさんに捕まって…」と話すシーンも。

かつては尖った生き方をしていた若き日の氷室さんですが、それから20余年後、東日本大震災の被災者支援のために、2011年6月11~12日に東京ドームでチャリティーライヴを敢行したコトは記憶に新しいところであります。

演奏曲(セットリスト)をソロ時代からではなく、伝説のロックバンドBOOWYからセレクトしたのは本当に意外でした。そのライヴでは11万人もの観客を動員、収益金の6億6900万円を復興義援金として全額寄付したとのコト。

ちなみに、ライヴ開催の翌年、その映像を市販化したDVDの収益金2億1136万円を新たに全額寄付したそうです。なお、チャリティーライヴ関連の寄付金総額は実に8億8058万円を超えたとのコトであります。

 

なぜ、氷室さんはここまで復興支援に尽力するのか? その理由を考察してみると…

震災被災者支援のために義援金を寄付したミュージシャンは他にも数多くいるでしょうが(あえて名前を一切未公開にしている方もいるでしょう)、ここまでくると、もはや売名行為と揶揄したり陰口を叩いたりする者など皆無でありましょう。

それでは、なぜ氷室さんはそこまでして壮大な義援活動をする気になったのでしょうか? 氷室さんは群馬県の出身ですから「故郷の復興を願う」という理由には該当しませんし、被災した3県と特段のつながりがあるとの情報もありません。

コレといった動機が思いつかないのですが、氷室さんの復興支援は2デイズのチャリティーライヴで終わりません。ソロデビュー25周年の全国ツアーの出発点を仙台とし、チャリティーライヴを敢行するのです。

「震災を風化させないためにも仙台でチャリティーライヴを行いたい」という氷室さんの強い意向によるもので決定されたものだったそうです。オフィシャル・ファンクラブでも「復興応援ツアー」と銘打ち、グッズ販売の収益金を寄付したとのコト。

震災被災者支援のために義援金を寄付したミュージシャンは他にもいるでしょうが(あえて名前を一切未公開にしている方もいるでしょう)、その規模も金額もここまでくると、もはや売名行為と揶揄したり陰口を叩いたりする者など皆無でありましょう。

凡人に過ぎない僕が推論するなど実におこがましい話なのですが、氷室さんに心酔する1ファンとして、その心境を考察してみると、ひとえに「人の役に立ちたい」という気持ちが原動力になっているのではないかと思えてなりません。

人気絶頂にもかかわらずBOOWYを解散した後、いちはやくソロ活動を開始した氷室さんがリリースしたファースト・アルバム「FLOWERS for ALGERNON」では日本レコード大賞のアルバム大賞を獲得。

そのテレビ中継で、受賞挨拶に臨んだ氷室さんが「オレの実力だと思ってます」とコメントしたのが強く記憶に残っているのですが、この頃に震災が起こったとしたら、今回のような長期的かつ大規模な復興支援を敢行したでしょうか。

その答えは誰にも判りませんが、自分の力で富も名声も思うままに獲得した成功者が最後の高みに到達したその境地こそが「人の役に立ちたい」という気持ちなのではないでしょうか。

 

福祉の仕事を続ける~その最大の動機は「困っているヒトたちの力になりたい」でなければ

もちろん、さらなる富や名声を求めるヒトもいるでしょうし、それらを極めたとしても誰かの役に立ちたいとは思わないヒトもいるでしょう。いずれも合法であれば非難される謂れはありません。正当な手段で得られた富や名声をどう使おうが個人の自由です。

しかしながら、人生を何度でも繰り返してもお釣りがくるであろう巨万の富を得て、誰もが認める大成したミュージシャンとしての名声を得た氷室さんを突き動かしたのは「人の役に立ちたい」という純粋な思いに違いありません。

チャリティーライヴを敢行したのもミュージシャンとしての実力を誇示するためのものではなく、このたびの震災から復興できるために最も必要なものが何よりもカネだと判断したに過ぎません。「ライヴで寄付」という手段で復興支援を決意したのだろうと。

すなわち「音楽で人の役に立ちたい」という強い思いが氷室さんの行動動機だったのだと推論して間違いありません。

振り返って自分はどうなのだと考えた時、僕には富も名声もありません。だから、それらを求めて日々奮闘している毎日を送っております。とても氷室さんのように労働の対価をすべて寄付できるような生き方はできません。

これまで積んできた経験や前職からの人脈のおかげで、開設3ヶ月で黒字計上という目標をクリアできました。最初の2ヶ月のみ赤字でしたが、その分を取り返すのは時間の問題。今後は法人運営をよりスムーズにできるだけの収益を上げるコトが現在の行動動機であります。

わがマチにおける計画相談支援のニーズは増える一方であります。障害福祉サービスを利用するためにはサービス等利用計画の作成が必要ですし、担当の障害者ケアマネがついておらず困っている支援者は数知れずといった状況です。

独りケアマネという制約がある以上、オーバーワークで仕事がパンクしたら多大な迷惑がかかる。その思いから、多分に余裕を持たせたセルフマネジメントをしてきました。つまり、依頼をセーブしてきた事情があります。

しかしながら、言葉にすると実にチープな響きになってしまいますが、僕も「困っているヒトたちの役に立ちたい」という思いが心の奥底に必ずあります。

氷室さんのように華々しい自己実現は叶いませんが、障害者ケアマネとして1件でも多くの担当に就くコトによって人の役に立ちたい。

もちろん、ホンネでは「あのゼロってヤツは仕事がデキる」と実力を認められたいという名誉欲もあります。また、正当なケアマネジメントで件数を増やし、多額の報酬を得て新年度から基本給を昇給してほしいという金銭的欲求も。

こうした俗な根源的欲求に振り回されるうちは小物でしかないのですが、いつかは大物と呼ばれるようになりたい。そして、そのように認められるためには「人の役に立ちたい」という思いこそが最大の行動動機でなければなりません。

氷室さんのような生き方はとてもできませんが(生まれ変わったら是非ともあんな熱いクールなオトコになりたい)、その生きざまを見習うコトであれば僕にもできます。

この仕事をしている限り、困っているヒトたちの役に立ちたいという思いをいつまでも大切にしながら、せめて心意気だけでも、憧れの氷室さんに少しでも近づけたらと思います。