脱中級を目指すロックギタリストに挑戦してほしいJUDY AND MARY

脱中級を目指すロックギタリストに挑戦してほしいJUDY AND MARY

女性ヴォーカルを要した2大人気バンド、ジュディマリとリンドバーグ

キャッチーなメロディと親しみやすいキャラクターで、90年代に人気を博したバンドの1つとして挙げられるのがJUDY AND MARY(ジュディマリ)です。

現在も第一線で活躍するヴォーカルYUKIさんのお茶目な可愛らしさに魅了された男性ファンは当時、数多くいたコトと思います。

YUKIさんの魅力を前面に押し出した歌詞の世界観やルックス同様、可愛らしい声で響く歌声は男性ファンだけでなく女性ファンをも魅了していました。

僕と同年代の方はピンとくるかも知れませんが、ジュディマリと同時期に女性ヴォーカルを売りにしたロックバンド「LINDBERG(リンドバーグ)」も当時のミュージックシーンを席巻する人気バンドでした。

双方のバンドで共通するのは、女性ヴォーカルの可愛らしいルックスをウリにしながら、実は2人とも実力に裏打ちされた歌唱力を誇っていたというコトであります。

YOU-TUBEで視聴すればすぐ気付きますが、YUKIさんも渡瀬マキさんも、ライヴ映像でピッチや音程がズレたり狂ったりせず、つねに安定したヴォーカルを披露しています。

では、女性ヴォーカルを従えたバンド編成はどうかといいますと、どちらもエレキギター・ベース・ドラムという3ピース編成で共通しています。

腕利きのプロ集団ですから、当然ですが双方、演奏は巧いに決まっています。

プロのミュージシャンを比較するなどシロウトの僕には到底できるものではありません(ある程度のレベルに到達するコトによって初めて気付く凄さがあるコトだけは知っていますが)。

しかしながら、コピーバンドとして取り組む際の難易度を比較するのは実に容易いのです。他のパートについては専門外ながら、エレキギターに関してはいくらでも語れる。

結論ですが、中級者がマジメに練習すれば絶対にサマになるのがリンドバーグ、ウデに覚えがある上級者を満足させる難解きわまりない技巧を要求されるのがジュディマリであります。

 

異彩を放つ変則的超絶技巧の数々~コピーするには相当な覚悟と執念が必要

僕が所属しているバンドはコピー主体ですが、ミョーに腕利きが揃っているせいで、ジャンルの取り決めはありません。バンドスコアが入手できなければフンイキでコピーしてしまうくらいです。

メンバーが演奏したいと思う曲候補を出し合い、実際に演奏してみて試しながらセットリストを組んでいくのですが、加入して間もない頃、「コレどうでしょう?」と提示されたのがジュディマリでした。

ちなみに曲は「そばかす」。テレビアニメの主題歌にもなり、ジュディマリの代表曲の1つとして広く認知されている名曲の1つであります。

冒頭で綴ったように、YUKIさんの声質を活かし、親しみやすさを前面に打ち出したアレンジがジュディマリの魅力。

ところが、ミドルテンポでYUKIさんのイメージが強すぎて気づかないのですが、ギターパートが超絶かつ絶望的に難解なのでした。

気持ちよさそうに歌うヴォーカルを尻目に「こんなもん弾けるか!」と早々にギブアップ。すぐにあきらめるのもシャクなので持ち帰り、自宅練習で何度も挑戦してみたのですが、とても弾ける気にはなれず。

そして、いつしかお蔵入りに。

X JAPANの「紅」の速弾きが100倍ラクに弾けるといえば、ジュディマリの元ギタリスト、TAKUYAさんがどれほどムチャクチャ難解なプレイを展開しているかイメージできるでしょうか。

どんなにテンポが速くとも、16分音符の連続であろうとも、運指が規則的であれば難易度は決して高くはなく、誰でも練習次第で必ず弾けるようになります。

X JAPANの曲は、バラードを除けばハードかつハイテンポなのですが、エレキギターは美しい旋律を基調としたユニゾンプレイが魅力ですので、息の合ったツインギターを実現するのが難しい一方、個々のプレイはそれほど難解な運指はありません。

冒頭で紹介したリンドバーグは王道のエイトビートを基調とした正統派ロックンロールで、エレキギターもコレといった難しいテクニックは使っていません。

なお、誤解がないよう繰り返しますが、「使えない」のではなく「使わない」のです。

一方、ジュディマリは「コレでもか」というほど複雑怪奇な運指を用います。

大抵のロックバンドはギタリストがバンドの花形、その見せ場としてギターソロを披露するものですが、TAKUYAさんは最初から最後までギターソロを展開するのです。

通常はコード進行に合わせてリフやバッキングを刻むモノであります。

しかしながら、ジュディマリの曲はエレキギターが最初から最後までギターソロを展開し、しかもそれがヴォーカルを邪魔しないというアレンジの巧さで魅せるのです。

だからこそ、TAKUYAさんのギタープレイがあまりにも難しすぎる現実に気付きづらいのです。

まるで、打者の狙いを読んで打球のコースにポジションを合わせ、いとも容易く捕球する内野手の超絶技巧が、一見シロウトには何の変哲もなく映るような自然さで。

ジュディマリの「そばかす」もそうですが、「Over Drive」や「Motto」もまた、一聴するとグチャグチャに弾いているようですが、エレキギターのパートとしてキッチリ成立している。

特に、「Motto」など最初から最後まで複雑怪奇なギターソロの応酬であります。

TAKUYAさんのプレイの難しさは「ややこしい」の一言に尽きます。リズムも譜割も超変則、運指はそれ以上に変則という超絶技巧の凝縮を、グチャグチャでありながら耳障り良く弾き切ってしまう。

ところで、エレキギターの運指には一定の法則というものがあります。

チョーキング(弦を持ち上げて音程を上げるテクニック)やスライド(弦を抑えたままで指板上を滑らせて音程を変えるテクニック)をする際は右から左とか上から下という自然の流れです。

ところが、TAKUYAさんは、こうした基本原則を平然と無視してしまうのであります。

本来、スライドではなくピッキング(ピックで弦を弾くフツウの弾き方)すべきところをスライドだけで音を出すとか、1弦をヨコに動いていくべきポジションを1弦→2弦→3弦と縦に飛ぶとか。

また、カッティング(空ピッキングと実音を織り交ぜて歯切れ良く鳴らすテクニック)の譜割りも変則的。

例えば「Over Drive」のバッキングでは16部音符の中に不規則な8分音符を入れたり休符を入れたりする箇所が随所にみられます。

こんなややこしい運指をスローテンポでやるならともかく、エイトビートながらエレキギターは16分音符でつねに素早く動かなければならない。

動画サイトで確認すれば一目瞭然ですが、「そばかす」を弾くギタリストの指先は実に忙しない。運指が難しくリズムが取りにくい。

そんな曲を、時にグチャグチャに、時に荒々しく、時に切れ味良く、軽めの歪み(クランチ)という誤魔化しが利かないサウンドメイクで、縦横無尽にステージを駆け巡りながらプレイする。

まさしく、TAKUYAさんは異端の天才であります。

 

練習を始めて3ヶ月、少しずつ全体像がカタチになりつつある

次の演奏まで2ヶ月ほど期間があるのですが、今回例に挙げたリンドバーグとジュディマリの曲をセットリストに加えるコトになりました。

集まるメンバーは最低限なのですが、週1回ペースでコツコツ練習を繰り返しています。

課題曲の1つ、リンドバーグ「今すぐKiss me」はアップテンポのロックンロールの定番曲なのですが、それほど難しい曲ではなく、ギターソロも至極シンプルで、僕でもすぐに弾けるようになりました。

問題なのはもう1つの課題曲、ジュディマリ「Over Drive」です。

エレキギターの難易度で比較するなら「そばかす」や「Motto」よりも演奏しやすい曲なのですが、リフもソロも例外なく凝ったアレンジになっています。

そんなジュディマリですが、いつまでも弾けないのもシャクなので執念深く長期間にわたって練習し、ようやく全体像を習得しつつあります。

曲のイメージさえ一度カラダで覚えれば、あとは独特の運指を反復練習するのみ。

そして努力の甲斐あって、ようやく最近、本当の意味でグチャグチャながら、ギターパートらしくなってきました。周りを見渡す余裕など皆無な僕とは裏腹に、演奏に自信があるメンバーは実に楽しそうでした。

多少のグチ話を容認いただけるのなら、せっかくココまで苦労を重ねて習得しつつある曲ですから、バンドの定番曲として末永くセットリストの1曲にしてほしいものであります。

他のパートも相応の腕利きが揃っていなければコピーバンドとして成立しないジュディマリですが、脱中級者の課題曲としてぜひオススメしたいと思います。

ジュディマリの曲がモノになれば、エレキギターのパートに限っていえば、グレイだろうがラルクだろうが、決してラクではないものの、必ず弾けるようになります。

ギタープレイのスキルアップに最適な選択の1つと、ジュディマリのコピー経験者として断言します。

ジュディマリはエレキギター以外のパートも難解とされています。特にベースは難しいと評判。

非常に俗っぽい話で恐縮ですが、コピーバンドとして成立できるのであれば、まず間違いなくバンド仲間やツウなお客さん方からの尊敬と称賛を得られるコトでしょう。