Simple is the Best~ライヴで使えるエフェクターの選び方

Simple is the Best~ライヴで使えるエフェクターの選び方

何をどう揃えるべきか~いつになってもギタリストの悩みの種、エフェクター選び

エレキギター弾きであれば、誰もが必ず1個は持っているエフェクター。1つの筐体に1つの音を作り出せるコンパクトエフェクターと、掌サイズからA3版ほどのサイズの筐体に複数の音が内蔵されているマルチエフェクターに大別されます。

エフェクターの使い方は、演奏する前にサウンドメイクを行っておき、演奏中は足で操作します。エフェクターを起動させるかオフにするかの切り換えはペダルを踏んで操作します。1回踏んだらスイッチオン、2回踏んだらスイッチオフという繰り返し構造です。

エフェクターの操作方法は、コンパクトエフェクターもマルチエフェクターも同じです。音源の数が単一か複数かという違い以外に、アナログ構造かデジタル構造かという違いがあります。

基本、コンパクトエフェクターはアナログ構造ですが、デジタル化されたモデルもリリースされています。一方、マルチエフェクターはデジタル構造が大勢を占めています。

コンパクトエフェクターは音色の系列ごとに連結する順番が決まっています。僕の手持ちでいいますと、ギターからアンプに向かって、フィルター系→歪み系→モジュレーション系→空間系の順番になります。

 

コンパクトエフェクターを最低限の数しか使わない理由

かつてはコンパクトエフェクターもマルチエフェクターも所有してきましたが、現在はコンパクトエフェクターを3個のみ。歪み系・空間系・モジュレーション系という最低限の仕様であります。あとはフィルター系としてジム・ダンロップ製のクライベイビーをたまに使用するのみ。

プロのギタリストの仕様が「ヤングギター」や「ギター・マガジン」などで紹介されている写真と比べると、ずいぶんと淡泊な仕様であります。また、コストパフォーマンスで比較するならマルチエフェクターの方がずっとお買い得でもあります。

にもかかわらず、なぜこのような仕様で済ませているのか。結論としては、僕にとってこの仕様がライヴに最も適した仕様だからです。今回は、その理由について綴っていきたいと思います。

エフェクターの数が多いほど、ライヴ中の操作も事前のサウンドメイクも難しくなる

エフェクターの数が多ければ多いほどサウンドメイクの幅は広がりますが、同時に起動させる数が多過ぎると音が潰れたりノイズを拾ったりするコトになるので、当然センスが問われますし、演奏しながらエフェクト操作をする機会が多くなります。

例えば、歪み系エフェクターも空間系エフェクターもモジュレーション系エフェクターも同時に使う場合、優先的にレベルを上げるのは1つのみとし、残り2つは控えめに調整します。

また、ギターソロでフィードバックなど空間系エフェクターを強調したい場合は、さらに1つ追加してソロのみオンにするか、追加しないのであればレベルを上げて調整しておき、ソロ以外はオフにしておく割り切りが必要になるのです。

タダでさえ演奏するのが精一杯の中で、その状況に応じてペダルを踏みながらスイッチのオンオフを繰り返さなければならない。しかも、演奏曲によって音色を変える必要すらある。数が多ければ多いほど演奏以外の作業が膨大になります。

コンパクトエフェクターの多数連結やマルチエフェクターのトラブルの怖さ

コンパクトエフェクターの数が多くなれば多くなるほど筐体をつなぐケーブルの数が多くなります。その状況に応じてスイッチをオンオフしておけば問題ないと思われがちですが、つなぐ個所が多くなればなるほど音の劣化や接触不良等のトラブルに見舞われるリスクが高くなります。

僕自身もバンド仲間も経験したコトですが、本番直前のリハで「音が出ない!」というトラブルは意外とあるものです。このような場合、コンパクトエフェクターの数が多いほどトラブルの原因を発見するのが遅くなります。

マルチエフェクターはさらに最悪でして、コンパクトエフェクターならトラブルの原因と思われる筐体を取り外し、使える筐体のみでつなぎ直すという応急処置ができますが、すべてが一体化しているマルチエフェクターがトラブルを起こした場合、正直なところお手上げになります。

エフェクター本体が故障しているコトもありますし、ケーブルの端子が接触不良を起こしていたとかACアダプターがきちんと挿入されていないというケアレスミスも。こうした些細な原因ならば、最低限のエフェクターのセッティングは容易に気付くのです。

コンパクトエフェクターは、直感で瞬時にサウンドリメイクができる

バンド結成当初、小型かつ軽量で高音質なマルチエフェクターに定評がある気鋭の国産メーカー、ZOOM製を使っていました。楽器店で試奏した際、あまりにナチュラルな歪みに驚かされました。デジタル臭い、いかにもシミュレーター的な音など今は昔というワケです。

ところがこのマルチエフェクター、音質は最高なのですがライヴでの使い勝手が実によろしくない。多種多様な音源が入っているのですが、調整する際は個々の音源をプリセットから呼び出し、1~100単位という詳細なレベルでの設定が必要なのです。

自宅でじっくり時間をかけてサウンドメイクする分には問題ないのですが、練習中に作っておいた音がステージで鳴らしてみると全然ダメで、もういちど会場の音響等を勘案して再調整しなければならない。

そんな場面で、時間が限られている中で何度もプリセットを呼び出してカチカチ調整を繰り返す。僕にはとても使いこなせませんでした。いずれお蔵入りとなり、ステージでマルチエフェクターを使用する機会は皆無に。

一方、コンパクトエフェクターはノブ(つまみ)によるレベル調整が1~10単位という大雑把なもので、マルチエフェクターのような詳細な調整はできません。しかしながら、この大雑把さがライヴ本番直前で瞬時に再調整するのに適しているのです。

また、マルチエフェクターのように1つずつプリセットを呼び出してレベル(エフェクターの音量)やゲイン(エフェクト効果の効き具合)を調整していくといった複数のプロセスを経る必要がなく、「だいたいコレくらいかな?」と直感で調整できる。

技術革新によって、その気になればいくらでもアナログサウンドを再現できるにも関わらず、洋の東西を問わずコンパクトエフェクターを使い続けるプロのギタリストが一定数で存在する。それは、以上に挙げたメリットを重宝しているからこそではないかと思っています。

 

音の好みだけでなく、ライヴ本番での使い勝手の良さを考慮して選ぶコトが重要

以上、基本的なエフェクター選びについてご紹介しましたが、あくまで1つの考え方であります。僕はなるべくエフェクターを使いたくない派でして、上質の歪み音が出せるチューブアンプだけでギターにシールドを直結して弾くのが最良です。

ところがイングヴェイ・マルムスティーンやハロウィンといったメタルバンドの様相は一切なく、ポップなものからちょっとハードなものまで多種多様なコピー曲を演奏しなければならない事情があるコトから、最低限で使っているに過ぎません。

僕が所属するバンドのコピー曲の定番には「Spitz(スピッツ)」がありますが、三輪テツヤさんのギター、「ロビンソン」のアルペジオや「チェリー」のカッティングをキレイに鳴らすにはクランチ(軽い歪み)だけでなく、コーラスとディレイが必要になります。

コピー・オリジナルを問わず、多種多様な音源が必要な場合は、相応のコンパクトエフェクターを使ったりマルチエフェクターを駆使したりすればイイですし、「オレらはモンパチ(Mongol800)しかコピーしないぜ!」というバンドなら歪み系のみでOKです。

いずれにせよ、音質の好みも重要ですが、それ以上に、ライヴ本番で確実に鳴らせるための仕様を各自で試行錯誤していただきたいと思います。揃え方も使い方も「シンプル・イズ・ベスト」、この理念は重要です。

ライヴ直前、「音が出ない!」というムダなスリルを味わうコトがありませんように。