エレキギターのカッティング、その醍醐味が存分に味わえる名曲たち

エレキギターのカッティング、その醍醐味が存分に味わえる名曲たち

そもそも「エレキギターのカッティング」とはどんな演奏技法か

エレキギター初心者が最初に覚えるテクニックはリフ(リフレイン=繰り返しのフレーズ)です。その際、パワーコードと呼ばれる2本の弦(たいていは6弦を人差し指、5弦を薬指)を押さえて鳴らすリフが基本中の基本であります。

最初は2本の弦を押さえてキレイに音を出すだけでも一苦労ですが(ムダに力が入ってしまう)、リフがある程度できるようになれば、例えばMONGOL800の「小さな恋のうた」が最初から最後まで弾きとおせるようになります。

リフさえ弾けるようになれば次の段階へ。チョーキング、ヴィブラート、プリング&ハンマリング、スライド、エレキギターのテクニック、その数々を少しずつ習得していくワケであります。

ところで、エレキギター初心者が最初に躓く必須テクニックの1つに「カッティング」があります。上記に挙げたテクニックは独学で弾けるようになるのですが(中坊だった頃の僕もそうでした)、カッティングだけは弾けるヒトから教わり、コツをつかむまで弾けませんでした。

エレキギターを弾かない方のために説明しますと、カッティングとは、弦を押さえる指と弦を弾く小指球(小指側の掌の側面)で弦をミュートさせて音を切るテクニックであります。

エレキギターに限らず、ギターという楽器は弦を強く押さえると音が鳴りますが、指圧を弱めたり、弦を弾く小指球が弦に触れたりすると音が切れます。この実音でない音を「空ピッキング」と呼びます。

この空ピッキング(楽譜では♪が×で標記)をいかに軽快かつ小気味よく鳴らせるかがカッティングの決め手となります。空ピッキングを16連符に絡めてプレイするのが代表的なカッティングです。

同じミュートでもバッキング(曲のリズムを司るフレーズ)で刻むリフとは違い、カッティングはとにかくムダな力を抜き(特にピッキングする側の手首の動きがキモ)、リラックスして弾くのがコツです。

ロック・ジャズ・ブルース・フュージョンと多種多様なジャンルがある中、すべてのギタリストが速弾きをするワケではありませんが(「できない」のではなく「しない」ギタリストは多数います)、カッティングをしないギタリストは皆無です。

最後に、カッティングの演奏に向いているエレキギターをご紹介します。演奏技法上、歪みが強すぎると音がつぶれてしまうコトや、軽快かつ切れ味が鋭い(あるいは小気味よく)音を鳴らす技法であるコトから、シングルコイル搭載のモデルとなります。

そのため、カッティング重視の曲を演奏する際はフェンダーのテレキャスターやストラトキャスター、あるいはギブソンのp-90搭載モデルが好んで使用されます。

 

カッティングが強烈に印象に残る珠玉のロックナンバー

以上、ギタリストにとっては常識的な話ですが、ギターを弾かない方は文章で説明されても「何が何だかサッパリ判らない」というのがホンネでしょう。

そこで、カッティングが有名な名曲を年代順にご紹介します。選曲が80~90年代に偏っているのは独断と偏見です。「あの曲のあのフレーズがそうか」と知っていただければ幸いです。

山下達郎「SPARKLE」

山下さんの6作目のアルバム「FOR YOU」に収録されている名曲ですが、イントロから歌い出しまでの間、どこか切ない夏の海を連想させる爽やかなコード進行で構成されたカッティングが実に心地よい響きを奏でています。

BOOWY「BAD FEELING」

ロックギタリストにとってはこれぞカッティングという名曲です。布袋寅泰さんはカッティングの名手ですが、この曲はカッティングのテクニックの素晴らしさはもちろんのコト、このイントロを聴けば速攻で曲名が判る、独創的かつ唯一無二の名曲であります。

小田和正「ラブストーリーは突然に」

プロデューサーとしても活躍するスタジオミュージシャン、佐橋佳幸さんが考案したフレーズは、当時、大人気を博したドラマ「東京ラブストーリー」の主題歌、そのイントロで炸裂するコトに。主旋律はキーボードですが、真の主役はエレキギターであります。

スピッツ「チェリー」

誰もが知っている90年代を代表する名曲のひとつ。三輪テツヤさんはライヴではイントロはアルペジオ、歌い出しからサビまでカッティング、サビはアルペジオでプレイしていますが、アルバムには終始カッティングのパートが録音されています。

L’Arc~en~Ciel「HEAVEN‘S DRIVE」

ラルクには珍しい、キレのあるカッティング一辺倒で弾き倒した名曲の1つです。ミュートを荒々しくブラッシング(弦を弾く小指球で弦を激しく摩擦するテクニック)、怒涛の勢いで攻めまくる「READY STEADY GO」も必聴です。

*    *    *

とりあえず思いついた中でカッティングが素晴らしい名曲をご紹介してきましたが、2010年代イチオシのカッティングを奏でる若手バンドがあります。

女性ヴォーカルを据えスリーピースで編成された「ポルカドットスティングレイ」であります。

ポルカドットスティングレイは晩酌をしながらの楽しみの1つ、YOU-TUBE視聴をしているうちに偶然出会ったバンドです。2015年結成の福岡県出身の若手、メンバー全員が90年代の生まれという次世代の気鋭ロックバンドとのコト。

僕の年代では椎名林檎さんが組んでいた凄腕バンド「東京事変」を想起する音楽性と演奏力の高さが印象的なポルカドットスティングレイですが、僕がYOU-TUBEで出会った曲は、公式MVでアップされていた「テレキャスター・ストライプ」でした。

この曲もまたカッティングが存分に楽しめるナンバーで、フェンダー・テレキャスターの切れ味の良さを前面に打ち出した小気味よいシングルコイルサウンドを聴かせてくれます。

「テレキャスター・ストライプ」以外に、ハイペースのリズムでカッティングを駆使するナンバー「パンドラボックス」もオススメです。

最近は若い頃に好きだったバンドばかり繰り返し聴くコトが多いのですが、相当久しぶりに新たに聴きたい音楽に出会うコトができました。今後も注目していきたいバンドです。