スウィープピッキングの弾き方~「コレができれば上級者」のハイテクニック

スウィープピッキングの弾き方~「コレができれば上級者」のハイテクニック

「あのフレーズを弾きたい!」と憧れてから30余年、ようやくモノに

ポール・ギルバートの超高速ライトハンド(左手プリングまたはハンマリングと右手人差し指または中指で叩く)やジョー・サトリアーニの左手タッピング(親指以外の4本指で弦を叩く)。

いずれも、80~90年代を代表する超絶技巧であります。

日本が誇る超絶技巧のレジェンド、ラウドネスの高崎晃さんもライトハンド&タッピングの名手。

まるでピアノを連弾するかのように、指板を両手の指先で叩きながら高速タッピングを繰り出す高崎さんの映像を溜息モノで観ていたものです。

しかしながら今回、取り上げるのはライトハンドやタッピングではありません。

これらのようにステージ映えするハデさはないものの、一見とてもカンタンそうでありながら難易度が高い、エレキギター弾き泣かせの超絶技巧の1つ、スウィープピッキングであります。

スウィープは、高校時代のバンド仲間に紹介されて以来、聴き続けている速弾きギタリストのレジェンド、イングヴェイ・マルムスティーンの代名詞。上級者向けのテクニックです。

スウィープピッキングが多用されるジャンルはジャズであり、ロックではむしろ少数派であります。

それでも「ネオ・クラシカル」と呼ばれるジャンルでは多用され、イングヴェイ本人がスウィープピッキングをしない代表曲は皆無といえるほどです。

マイケル・ロメオのように1~5弦をまたいで行われる多弦スウィープもありますが(弦が多くなるほど難しくなります)、今回はイングヴェイの定番の1つ、2弦スウィープについて綴ります。

 

速弾きで怒涛の3連符をピタリと合わせるリズムキープの難しさ~2弦スウィープ

そもそもスウィープピッキングとはどのようなテクニックといいますと、複数弦にわたって一度にピッキングのアップダウンを行うというものであります。

ピックを持つ側の手で(右利きの場合は右手)弦を弾く動作をピッキングといいます。上から下へ向かって弦を弾く動作をダウン、その逆をアップといいます。

仮に5弦スウィープを行うと、1弦アップ→2弦アップ→3弦アップ→4弦アップ→5弦アップ→4弦ダウン→3弦ダウン→2弦ダウン→1弦ダウン、という動きになります。

ちなみに、複数弦にまたがってアップダウンを繰り返す動作が掃き掃除の動作を連想させるというコトから、スウィープ(掃除)と呼ばれるようになったそうです。

スウィープピッキングは、速弾きでありながら複数弦の音をそれぞれ分離させて鳴らすテクニックです。

イングヴェイといえば3連符が定番ですので、1拍あたり3つの音階が同じリズムで、かつキレイに音が分離して聴こえるコトが条件となります。このリズムキープが実に難しい。

2弦スウィープの事例として紹介するのはイングヴェイの初期3部作のソロアルバム「トリロジー」の最後を飾るインストゥルメンタル「トリロジー:op5」のフレーズです。

シンコーミュージック出版「ヤングギター」2014年7月号で掲載されたスコアで練習を始めてから5年目、僕の場合はこう弾きますといった具体的なポイントを綴ります。

スウィープピッキングにおける両手の動きは通常パターン化されておりますので(つまり同じ動作の繰り返し)、最初のフレーズをもとに説明します。

ちなみに、イングヴェイは全曲とも半音下げチューニングで演奏しています。

以下、両手の動きを説明しますが、指版を押さえる指の使い方が本人と違います。僕は手が小さいので止むを得ず小指を使っていますが、イングヴェイ本人は薬指を使って弾いています。

【2弦スウィープのやり方~最初のポジション】

1.中指で2弦10フレットを押さえてダウンピッキング

2.人差し指で1弦8フレットを押さえてダウンピッキング

3.小指で1弦12フレットを押さえてアップピッキング

以上のパターンを2回ずつ繰り返しながら3連符ごとに素早くポジションを切り換えていくのですが、ポジションチェンジしたら音が鳴らないという苦難の道が始まります。

苦節5年、反復練習の末につかんだ2弦スウィープのコツを紹介します。

 

指板を押さえる側のコツ(右利きの場合は左手)

どのポジションであろうが、いったん使う指を決めたら同じ指のみ使う

上記のパターンの次は2弦12フレット→1弦10フレット→1弦13フレットに移動しますが、1弦で3フレット分の空きだったのが2フレット分になって間隔が狭くなるため、薬指で押さえるコトもできます。

僕も当初は小指→薬指と使い分けていました。ところが、何度やってもうまくいかない。

そこで、高速でポジションが切り換える中、フレットの間隔に関係なく、すべて同じ指を使うように統一して弾き方を変えたところ、キレイに音が鳴らせるようになりました。

つまり、僕の場合はどのポジションであろうとも2弦を中指、1弦を人差し指と小指というように決めて弾いています。手が大きく指が長いヒトは本人と同じく薬指で弾いて問題ありません。

ポジションチェンジの際、まずは中指から押さえるコトを意識する

最初のポジションチェンジで何度やってもキレイに音が鳴らない。この現象に苦しまされて数年間、悪戦苦闘してきましたが、その元凶であると判明したのが中指の動きでした。

3連符のキモとなる最初の音を出すためには、中指を最優先で移動させねばならないのです。速弾きに気を取られて1弦人差し指のポジションを意識しすぎると、以前の僕のように迷走します。

まず中指を素早く移動させて押さえる→次に人差し指を押さえる→小指で押さえる動作とアップピッキングを同時に行う、この動きを意識すると上達が早いです。

ポジションチェンジを指先に覚え込ませる反復練習をする際は、とにかく中指の移動ありきで覚え、人差し指と小指は中指の動きに付随させて動かしていく。

このように意識すれば、正確かつ素早いポジションチェンジがスムーズに行えます。

 

弦を弾く側のコツ(右利きの場合は右手)

3連符のリズムキープは1弦アップピッキングのタイミング次第

スウィープピッキングの難しさは、素早いポジションチェンジをしながら速弾きを行うだけではありません。

指板を押さえる側の動きに、弦を弾く側の動きを連動させなければならないところにあります。そして両手の動きが正確無比に一致しなければ、決してキレイには鳴らせません。

イングヴェイのスウィープピッキングは3連符がスタンダードですが、1拍の中に3つの音階を、すべて同じリズムで鳴らさなければなりません。

「タタタ、タタタ」が「タタ、タタタ」となったり「タータタ、タタタ」ではいけません。

3連符の正確なリズムキープの成否を握るのが弦を弾く側の手の動き、右利きの場合であれば右手のピッキングの動きにかかっているのです。

3連符をダウンピッキングで行えばラクですが(3弦14フレット→2弦13フレット→1弦12フレットでダウンすれば最初のフレーズと同じ音階に)、2弦スウィープはダウン→ダウン→アップで鳴らします。

スウィープピッキングをしている間、できる限り軽いピッキングを心がける

通常のピッキングの場合はクルマのワイパーと同じく、指先の軌道は手首を支点にしながら弦上を扇状に動くコトになります。一方、スウィープピッキングの場合は弦上を垂直に動かします。

大学時代、「鍵を回すようにピッキングしたら弾きやすい」と凄腕ギタリストだった先輩から教わったコトがあったのですが、イングヴェイをはじめ、スウィープピッキング使いは上下ストロークで弾いています。

この動きの厄介なところは、ピックの角度をどのように調整するかに悩まされる点にあります。

通常、動かす側に向けてピックを寝せるような向きにします。つまり、ダウンピッキングの場合はピックの先端が6弦側に向くのです。逆に、アップピッキングの場合は1弦側に向きます。

ところがスウィープピッキングは垂直方向で素早くピックを上下させなければなりません。

通常のやり方でピックの先端を各弦に深く抉る弾き方をすれば引っ掛かって速弾きできませんし、アップダウンのたびにピックを寝かせるとタイミングがズレます。

したがって、ピックの先端はアップダウンごとに寝かせず垂直に固定し、ピック先端だけで各弦を弾いて音を鳴らすコトになります。

この弾き方をスムーズに行うためには、

ピック先端だけを弦に接触させる感覚

弦を弾くというよりはピック先端で弦を滑らせるという感覚

弦の張力に逆らわず、ピックの先端を受け流すような感覚

すなわち、軽いピッキングを心がける必要があります。

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以上、今回は2弦スウィープの弾き方のコツについてご紹介しました。次回はイングヴェイのもう1つの定番テクニック、3弦スウィープについてご紹介したいと思います。