ギターリフの最高傑作「Every Breath You Take(見つめていたい)」

ギターリフの最高傑作「Every Breath You Take(見つめていたい)」

「見つめていたい」~至高かつ唯一無二のメロディライン

コマーシャルや番組のBGMで起用されたコトがあるので、聴けば判るヒトも多いと思うのですが、80年代を代表する奇跡のロックバンド、THE POLICE(ポリス)の代表曲、「見つめていたい」を超えるギターリフを初めて聴いた瞬間は今でも忘れられません。

英文学科の洋楽好きな先輩が、カセットテープに手持ちのレコードから選曲したベストアルバムを友人に提供していた際、一緒に聴かせてもらった曲が「見つめていたい」でした。

英語がサッパリ判らない僕にとっては何とも甘く切ないオトナのラヴソングとして、あのイントロを何時間もリプレイしても飽きないほど強く惹きつけられたものでしたが、実際にはベース担当にしてバンドの中心人物だったスティングいわく「苦くよじれた束縛の歌」とのコト。

つまり、「見つめていたい(原題:Every Breath You Take)」は和訳を見れば一目瞭然、まさしくストーカーそのものの歌詞なのであります。僕のように英語がサッパリというヒトはあえて和訳を知らないままアンディ・サマーズが奏でるリフを味わうのが最良です。

余談ですが、ソロ活動を始めたスティングがリリースしたファーストアルバム「ブルー・タートルの夢」のオープニングを飾る曲が「If You Love Somebody Set Them Free(自由にしてやんな)」、「見つめていたい」の解毒剤として書いた曲とのコトであります。

 

カンタンそうに聴こえて、キッチリ弾きこなすのは難しい

シンプルなアルペジオの繰り返しで構成された印象的なギターリフが「見つめていたい」の最大の魅力なのですが、エレキギターを弾き込んでいるヒトは「すぐ弾けそうじゃん」と思いがちですが、実際にスコアどおり弾いてみると「なんだコレ?」と当惑するのであります。

「見つめていたい」のイントロをはじめとしたギターリフはアルペジオで構成されています。実は、運指の難解さについてはSpitz(スピッツ)の三輪テツヤさんの方が上でして、「ロビンソン」や「冷たい頬」のギターアレンジ本当に凝ったものとなっています。

一方、アンディ・サマーズが奏でるアルペジオは単純明快で、指板を押さえっぱなしで低音弦から高音弦へアップダウンを繰り返すのみ。ピッキングしながら素早くスライドやポジションチェンジをしなければならない三輪さんに比べるとあまりに単純明快。

ところが、「こういうところが外人なんだよな」と僕のような人間を当惑させるのが、4本の指をガバッと開かなければ押さえられないストレッチを強要されるポジションなのです。

最初のポジションを解説しますと、6弦5フレット(人差し指)→5弦7フレット(中指)→4弦9フレット(小指)をすべて押さえっぱなしでブリッジミュートでアルペジオを弾き、中指と小指はそのままで人差し指を3弦6フレットに移動し、アルペジオで弾くのです。

フツウの手の大きさがあれば問題ないですが、僕のような手が小さいギタリストにとっては速弾き以上にストレッチを押さえるのは苦労します。手首に負担がかかる演奏になるからです。

以上のポジションを押さえるコトそのものは僕でも充分可能です。ところが、あくまで座って弾く場合に限ります。ストラップを肩にかけて立って弾く場合は指が届かず、相当苦労するのです。

エレキギターは6弦あるので、多彩な音階を駆使できる利点を活かし、アンディ・サマーズが使うポジションとは別な、自分にとって弾きやすいポジションを探すコトも可能です。

例えば上記と同じ音階を別なポジションで弾くとすれば、5弦開放弦(どこも押さえずに鳴らす)→4弦2フレット(人差し指)→3弦4フレット(薬指)をアルペジオで弾き、3弦6フレットの代わりに2弦2フレットを鳴らして後半を弾くのです。

この弾き方であれば人差し指で2・3・4弦をまとめて押さえ(セーハといいます)、薬指も3弦4フレットを押さえっぱなしで一切動かさずにアルペジオを弾くコトができます。

音階上では以上の2つのポジションは全く同じであります。ところがエレキギターはビミョーかつセンシティヴな楽器でもありまして、同じ音階でも弦によって響きが変わるコトがあります。

特に、開放弦の音といずれかのポジションを押さえて鳴らす音を聴き比べると、明らかに音の響きに違いが現れます。憶測ですが、アンディ・サマーズがあえてストレッチでポジションを押さえているのは、開放弦の音の響きを嫌ってのコトかも知れません。

いずれにせよ、シンプルとカンタンは同義語ではないという典型の一曲であります。

 

シンプルなアルペジオが深く印象に残る、もう1つの傑作ギターリフ

「個性が強すぎる実力派が一瞬だけ集結して別な道へ」というのが、ポリスが辿った、あまりにも短命な軌跡だったと思います。僕が「見つめていたい」を含めてポリスを知ったのは大学時代の話で、20代はポリスだけでなくスティングのソロアルバムも買い集めていました。

しかしながら、「見つめていたい」がなければ、アルバムを買い集めるコトはなかったでしょう。もちろんポリスには他にも「ロクサーヌ」「メッセージ・イン・ア・ボトル」「ドゥ・ドゥ・ドゥ・デ・ダ・ダ・ダ」等々、ヒット曲は数多くあります。

それでも、僕にとって至高のギターリフは「見つめていたい」であります。

印象に強く残る名曲という観点で選ぶなら、エレキギターにおける最高のギターリフは「見つめていたい」と思っていますが、アコースティックギターでのアルペジオで奏でられた曲で選ぶなら、スティングのもう1つの傑作をオススメします。

それは、ジャン・レノとナタリー・ポートマンが主演した大ヒット映画「レオン」のエンディング曲となった哀愁と荒涼さが漂う名曲、「Shape of My Heart」です。