エレキギターのピックアップセレクターを徹底的に使いこなす

エレキギターのピックアップセレクターを徹底的に使いこなす

どのピックアップを使うか~プロのギタリストが使い分けるのは理由がある

僕が好きなロックギタリストの1人、イングヴェイ・マルムスティーンは、愛用するフェンダーのストラトキャスターをトコトン使いこなすギタリストの1人でもあります。あれほどの超絶技巧で速弾きを繰り出す中、頻繁にスイッチ類をバチバチ切り換えるのです。

当ブログでスウィープピッキングの弾き方をご紹介した際、2弦スウィープの課題曲で引用した「トリロジー・OP5」をイングヴェイが弾く際、その場ごとのインスピレーションで使い分けているのでしょうが、本人はフロント・リアを頻繁に切り換えながら弾いています。

ピックアップの音質の差を聴き分けられない頃は、プロのギタリストがピックアップセレクターを上下させる行為に特段の意味を見出せませんでしたし、元々リアピックアップ以外の音が好きではなかったので、スイッチを切り換える行動とは無縁でした。

ところが、しばらくぶりにバンド活動を始め、ジャンルを問わず数々の曲をコピーしているうちに、それぞれのピックアップでしか表現しえないサウンドがあると気付くようになりました。

というか、そのピックアップを使わなければ絶対に出せないサウンドを模索せざるを得ない状況になったのです。独りで好きな曲だけを練習していた頃のように、リアピックアップ一辺倒では通用しなくなったと換言してもイイでしょう。

過去、シングルコイルとハムバッカーの2大ピックアップ、それぞれの特性や両者の違いについて僕自身の独断と偏見と経験をふまえて言及してきましたが、今回はピックアップレイアウトごとにピックアップの使い方をご紹介したいと思います。

 

代表的なピックアップレイアウトはフェンダー系とギブソン系に集約される

エレキギターのピックアップには、シングルコイルとハムバッカーの2つがあります。それぞれの特徴や両者の違いについては下記で詳しく綴ってありますので、併せてご参照ねがいます。

・シングルコイル、その魅力をマニアックかつ徹底的に語り尽くす→コチラ

・シングルコイルとハムバッカー、2大ピックアップに迷ったらどちらを選ぶべきか?

コチラ

エレキギターのピックアップのレイアウトは、一見、メーカーごと多種多様な独自性があるように思われますが、そのルーツをみればフェンダー系とギブソン系の2種類に集約されます。

すなわち、ピックアップ3基をフロント・センター・リアに搭載するフェンダー系レイアウトと、ピックアップ2基をフロント・リアに搭載するギブソン系レイアウトの2つです。

以上の他に、ギブソンのレスポールジュニアのようにリアピックアップ1基のみ搭載するモデルがありますが、全エレキギターの中でもマイナーな存在であります。

1ピックアップという例外を除けば、フェンダー系かギブソン系のいずれかのレイアウトとされ、搭載するのがシングルコイルか、ハムバッカーか、あるいはその両方か、といった選択がなされて多種多様なエレキギターが製造されています。

参考までに、ピックアップレイアウトで製造された代表的なメーカーやモデルをご紹介しますと、以下のとおりとなります。

フェンダー系:3ピックアップレイアウトの代表例

シングルコイル3基(いわずと知れたフェンダーのストラトキャスター)

フロントとリアにハムバッカー、センターにシングルコイル(アイバニーズの代名詞)

フロントとセンターにシングルコイル、リアにハムバッカー(メーカー多数、ハードロック系のギタリストが好んで使うタイプのモデルに多いレイアウト)

ギブソン系:2ピックアップレイアウトの代表例

フロントとリアにハムバッカー(ギブソンのレスポール、エクスプローラー、フライングⅤ、SG、ES-335、フェンダーのテレキャスターシンライン)

フロントとリアにシングルコイル(フェンダーのジャズマスターやマスタング、ギブソンの初期型レスポールなど)

フロントとリア、それぞれ異なるシングルコイル1基ずつ(フェンダーのテレキャスター)

以上の他、フロントにハムバッカーを搭載したテレキャスターやレスポールといった亜流モデルも多数存在します。

 

レイアウトごとの特性の基礎理解~それぞれのピックアップを使い分けるために

ピックアップレイアウトについての基礎知識をふまえていただく必要がありましたので前置きが少々長くなってしまいましたが、いよいよ本題に入ります。

たとえ同じピックアップを2基あるいは3基マウントしようが、ピップアップごとの主たる傾向は同じであります。まとめると以下のとおりであります。

ピックアップがブリッジ(リア)に近づくほどシャープな(切れ味が鋭い)音質になる

ほとんどのギタリストがリアピックアップを多用する理由がここにあります。音の輪郭がクッキリ表現できるので、バッキング、ソロともにリアが主役となります。

中でも特に、カッティングはキレの良さが命であります。どんなギタリストであろうが、よほどの理由がない限りはリアピックアップを使います。

ピックアップがフロントに近づくほどメローな(丸みを帯びたまろやかな)音質になる

良くいえばメローな音質なのですが、エレキギター本体のトーンコントロールなど、セッティングによっては非常に籠った音に聞こえます。僕がフロントピップアップを使わなかったのも、こうした特性が好みでなかったからです。

ところが、オーヴァードライヴやディストーションなど歪みを効かせて高音域のフレーズを弾くと、フロントピックアップの甘くまろやかな特性が相まって、最高の聴き心地になるのです。まさに、フロントピックアップによる高音域フレーズは極上かつ至福のサウンドが得られるのです。

一方、これがリアピックアップだとどうなるか? 特にフェンダー系シングルコイル搭載のエレキギターで顕著な現象ですが、キンキン耳障りな耳朶を突き刺すような、思わず顔をしかめたくなるサウンドになりがちなのです。

こうしたフロントピックアップの特性を存分に活かし、クールで美しい旋律を奏でるのがL’Arc~en~Cielのギタリスト、kenさんです。

「Winter fall」のギターソロや「花葬」の最初の間奏(「永遠の恋を写し」に続くフレーズ)を弾く際はフロントピップアップを使い、ときに甘く切なく、ときに魅惑的で危険をはらむ美しさ、ラルクというバンドの本質を弾き切ってみせるのです。

ハーフトーンでは、ハムバッカーよりもシングルコイルの特質がより強くなる

シングルコイル3基、あるいはフロント・センターにシングルコイル2基を搭載したモデルやセンターのみシングルコイル搭載モデルの場合は、ハーフトーンを選ぶとハムバッカーよりもシングルコイルの特性が強く出る傾向があります。

なぜこのように聴こえるのか物理的な特性について解説はできないのですが(理系サッパリの文系人間なので)、聴覚上まちがいなくハーフトーンを選ぶとシングルコイル特有のジャキジャキした金属的な切れ味の鋭いサウンドになるのです。

これは、僕がかつて所有してきたエレキギターのすべてに共通する現象であります。ギブソン系のハムバッカー2基を搭載したモデルでは、残念ながらこのようなハーフトーンになりません。主観ですが、フロントのみ選ぶよりも少々こもったサウンドになります。

フロント・リアのみ使う方が音の輪郭がクッキリ聴き取りやすくなるのですが、曲によってエレキギターが前面に出ずに抑え気味にすべきシチュエーションでは、ギター本体のヴォリュームを少し絞ってハーフトーンを使うのも有効な表現手段です。

 

ストラトキャスターのハーフトーンを有効活用する

イングヴェイ・マルムスティーンのように、ストラトキャスターのセンターピックアップを完全に下げたセッティングにしてしまい、フロントあるいはリアのみピックアップを使うのも1つです。センターピックアップが邪魔にならずピッキングもしやすくなります。

僕もイングヴェイに倣って最初はそのようなセッティングにしていたのですが、「モノは試し」とセンターピックアップをハーフトーンで使ってみたところ、ライヴで充分に使えるコトが判明。

僕がストラトキャスターモデルで実際に使っている選択肢は、リア+センターによるハーフトーン。シングルコイルのジャキッとした切れ味の良さと高音域のまろやかさ、その両方が得られますので重宝しています。

具体的には、まずは疾走感あふれるディストーションでリンドバーグの「今すぐKiss Me」を演奏するときはリアを選択し、次にスピッツの「チェリー」を演奏するときはリア+センターを選択してギター本体のヴォリュームを5に絞る。

特にチェリーはカッティング主体でサビにアルペジオというシングルコイル御用達の1曲なので、ほどよいまろやかさと小気味よさを存分に表現できるというワケです。