会議の成否を大きく左右する事前準備~当日までに何をしておくべきか

会議の成否を大きく左右する事前準備~当日までに何をしておくべきか

会議を制する者はケアマネジメントを制する

ケアマネジャーに求められる「会議の手腕」

世の中には実に多種多様な仕事があるが、どんな職に就こうが絶対に不可避なもの、あるいは必ずついて回るものがある。それは何か? そう問われたら、皆さんは何を連想するでしょうか。

答えは「会議」です。これまでの社会人生活の中で数百人の社会人と知り合ってきましたが、一度も会議に参加したコトがないというヒトは皆無でした。

頻度や回数は職業によって大きく異なるでしょうが、自ら企画したコトはなくても、会議の案内をもらって参加したコトなら誰もが必ず経験しているものであります。

ところで、僕ら障害者ケアマネの仕事は会議とは切っても切れない宿命を負っています。職務上、会議を主催する側として月に何度も開催しなければなりません。

つまり、会議をマトモに取り仕切るコトができなければ、ケアマネジャーとしての仕事ができないというコトであります。

サービス担当者会議を仕切るコトができて、はじめてケアマネとして一人前に

障害者総合支援法では、サービス等利用計画案に本人からの承諾を得てサインをもらい、市町村に提出した後、障害者ケアマネが関係者を招集して、計画案について協議するサービス担当者会議を開催するよう規定されています。

サービス担当者会議の対象となるのは本人が利用する予定の障害福祉サービス提供事業所ですが、必要に応じて多岐にわたるメンバーを招集します。本人や家族、かかりつけ病院の医療ソーシャルワーカー、担当ケースワーカーなどが挙げられます。

以上の他に、レアケースではありますが、執行猶予中や保護観察中の相談者の場合は保護観察官や保護司に参加してもらうコトがありますし、精神疾患や障害特性を詳しく知る必要がある相談者の場合は主治医や臨床心理士に同席を願うコトも。

このように、歴史も文化もまるで異なる関係者が一堂に会して話し合いを行うケースが想定されるサービス担当者会議を成立させる場合は、相当入念な事前準備と会議を取り仕切る司会進行能力が求められるワケであります。

成立が困難な会議を取り仕切り、無事にまとめ上げるのがケアマネジメントの真骨頂であります。それを実現するためには、ケアマネごとに独自の方法論を確立しなければなりません。

すなわち、いちどサービス担当者会議をみれば「このケアマネはどのくらい仕事ができるんだろ?」といった疑問など瞬時に判別できるワケであります。

サービス担当者会議に限らず、障害者ケアマネは必要に応じた個別支援会議を開催する機会が多数あります。僕も過去に数百回を下らない会議を開催してきましたが、事前準備のポイントは同じ。以下、僕が実践している事前準備を幾つかご紹介します。

 

たった1枚のレジュメを準備するだけで、会議の成功率が飛躍的に

サービス担当者会議は開催する義務が法律で規定されているものの、その方法までは問われません。なので、やり方は障害者ケアマネごとに多種多様であります。あるいは障害者ケアマネごとに自ら模索しなければなりません。

僕のソーシャルネットワーカーとしての最初のキャリアはデスクワーカーだったので、主な仕事は個別相談よりも社会福祉法人の理事会や評議員会、福祉団体の総会や部会などの会議で占められていました。

こうしたキャリアだからこそ自然とそうなったのかも知れませんが、サービス担当者会議に限らず、会議を開催するにあたっては必ずレジュメを作成しています。A4版で1枚、片面のみか両面印刷する程度のものですが、レジュメを作成するメリットは多数あります。

レジュメに記載するのは会議名(例:〇〇様に係るサービス担当者会議)、開催日時と場所、参加メンバーといった基本的な項目の他、以下のとおりであります。

・計画相談支援を導入してから会議当日までの経過、今後の予定

・サービス等利用計画案についての説明、質疑応答

・情報共有、意見交換

まず、僕が障害者ケアマネとして関わってきた経緯を説明し、今後の予定を伝える。次に、原本をコピーしたサービス等利用計画案について説明し、質疑応答を行う。最後に、関係者からの発言を求め、それぞれの情報を持ち寄り、今後の支援ポイントを共有する。

僕の進め方は以上の流れですが、レジュメがあるコトによって会議の目的や趣旨、参加メンバーに求める役割が明確化されます。たった1枚のレジュメを用意するかどうかで雲泥の差が生まれるのです。

主催する側は当然、最も良く判っていますが、招集された側にとっては、口頭だけで伝えるよりも活字化された情報と口頭による説明を受けた方が、より深い理解を得るコトができます。

また、司会進行する障害者ケアマネにとっても、レジュメの存在は力強い味方になります。不要な質問を受けるタイムロスが排除され、会議の方向性がブレたり軌道修正したりせずに済み、伝えるべきポイントを確実に伝えるための備忘録にもなるからです。

誰もが多忙を極める中で、限られた時間内で効率的に会議を遂行する。そのためには、会議の方向性をいち早く共有できるコトが求められます。

 

アポイントメントの電話から、すでに会議は始まっている

主催者として会議を開催するのですから、参加してもらいたいメンバーへの打診も事前準備の1つになります。呼ばれる側からのリクエストでもない限り、公文書による参加案内はまず行われず、たいていは電話による日程調整が行われます。

その際、ただ漫然と日程上の都合を確認するだけで留まっているケアマネがいるなら、そのヒトは、一人前のケアマネと呼ぶにはちょっと心許ないかなと僕は思います。

なぜなら、アポイントメントを取りつける電話連絡からすでに会議は始まっているからであります。

会議が始まるのは当日ではなく、今この瞬間から始まっている。この意識があるかどうかで、当日、スムーズに会議が進行するか紛糾するかが決まるほど重要なのです。

「なんでまた、そんな大げさな話に?」主催する側はそう思うかも知れませんが、逆に、呼ばれる側の気持ちになって考えれば、その理由は一目瞭然であります。

呼ばれる側の心境としては、その会議がどのようなものか未知のものであります。あらかじめその不安を払拭しておき、逆に、話し合いのテーブルに持ち込みたい課題をヒアリングしておくコトが日程調整に付随して行っておくべきポイントなのです。

具体的にご紹介しますと、まずはサービス担当者会議の開催をするので参加してもらいたいと伝え、招集するメンバーや会議で話し合う内容や大まかな流れを説明します。ただ都合を聞くのではなく、主催する側の考えを知ってもらうのです。

こうするコトによって、連絡を受けた側が会議の全貌をイメージしやすくなります。そうなれば、自分が会議に出席して何を聞かれるのかが明確になりますし、サービス提供にあたってあらかじめ知りたいと思っている点を聞くコトもできます。

また、すでにセルフプラン等でサービス提供が先行している場合(というか、僕が計画相談支援を導入するのは9割方がこのパターンですが)、支援者の所見を報告してもらうコトができますので、当日の準備をヨロシクと依頼しておきます。

このように、アポイントメント1つにしても、事前準備の好機と考えて然るべき行動を起こすか、単に「〇月〇日の〇時、空いてますか? ではお待ちしてます」で終わるか。

順調にサービス利用をしていて、しかも集まるメンバーが全員顔見知り。こうした会議なら当日のアドリブでどうにもできますが、より完璧を期すために入念な事前準備を行うべきであります。

 

困難ケースについて話し合う場合は「会議の前の小会議」を

「収益重視で困難ケースは極力引き受けないというのがゼロさんの考え方とは聞いてます。けど、どうしても引き受けてほしくて…」

名前が売れていくごとに、あるいは前職で僕がどのような障害者ケアマネだったのかというコトを知った上で、自らが抱える困難ケースの計画相談支援を担当してほしいと打診を受ける機会が少しずつ増えてきました。

困難ケースであろうが順調ケースであろうが、厚生労働省が提示する各種加算に該当しなければ、どちらも報酬としてもらえる金額は同じ。とはいえ、困って僕を頼ってきた支援者を無下に扱えず、「次は順調な新規ケースをヨロシク」との条件で引き受けるコトに。

こうした場合、その支援者と僕との話し合いが電話で頻繁に取り交わされ、その上で方針を決めてサービス担当者会議を開催するコトになります。

ところで、困難ケースの相談支援にはよくある話なのですが、そのケースに関わる支援者の数は、困難であるほど多くなっていくという傾向にあります。当然、それぞれの支援者ごとに主義主張が異なる場合も多くなっていきます。

最近のケースでは、精神障害がある30代女性のナスさん(もちろん仮名)の件で数ヶ月にわたり協議が行われてきました。そこで問題になったのは、ナスさんの住まいの場の確保について。

ここで最大の問題となったのは、受け入れる側の内部で意思統一が図られていなかった点でした。居住系サービス提供事業所の管理職と現場職で「受け入れる」「受け入れられない」の応酬があり、その結論が出ないまま会議にもつれ込んだのです。

僕らとしては、そこの事業所にムリヤリ受け入れを強要したワケではありませんし、先方から受け入れるとの打診があったにもかかわらず現場職員からは逆のニュアンスを匂わせる話があり、ナスさんの担当ソーシャルワーカーも困惑しきり。

そこで担当ソーシャルワーカーと「会議の前の小会議」を繰り返し、結論としてはナスさんを受け入れる上で現場職員が懸念している点は医療ケアを駆使するコトで払拭できるものと伝え、あとは事業所に判断を一任するしかないとの話に。

諸事情により詳細を綴るコトは差し控えますが、最終的にナスさんを受け入れるコトで満場一致。話し合いは長時間に及び、二転三転する場面もありましたが、事業所トップの鶴の一声で決定。

そして現在、ナスさんの引っ越しに向けて鋭意準備中であります。

以上の話し合いはサービス担当者会議を行うための緊急会議でしたので、僕が司会進行をする義務はありませんでした。しかしながら、担当ケアマネとしての矜持があります。連絡窓口だった現場職員からの依頼もあり、取り仕切りをさせていただきました。

その際、これまで綴ってきたポイントを踏襲し、話し合いに臨んだのはいうまでもありません。