エレキギターが巧く聴こえるかどうかはチョーキング次第

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誰もが使うチョーキングだからこそ、巧いヒトはみな自分のスタイルを確立

エディ・ヴァン・ヘイレンやジョー・サトリアーニが繰り出すタッピングやライトハンド、イングヴェイ・マルムスティーンがAハーモニックマイナーで繰り出すスウィープピッキング、ヌーノ・ベッテンコートが繰り出すスキッピング。

観る者を驚愕させ感嘆させる超絶技巧、そのワザのすべては80年代に出尽くしたといっても過言ではないでしょう。現代のギタリストは過去の偉人が生み出した超絶技巧を自分なりに昇華するか、レジェンドが自己模倣するかのいずれかとなります。

以前、中級者向けを意識してカッティング、上級者向けを意識してスウィープピッキングについて綴りました。いずれも僕が好きな演奏技法の数々、実際に弾けるようになった経験をもとに綴っておりますので、お役に立てる自負はあります。

〔併せて読んでいただきたい関連記事〕

スウィープピッキングの弾き方~「コレができれば上級者」の高難易度テクニック→コチラ

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しかしながら、飛び道具的な超絶技巧などよりはるかに重要なテクニック、チョーキングについてトコトン追求した記事というものはほとんど見たコトがないという事実に気がつきました。

チョーキングの詳細は後述しますが、ザックリ一言で表現しますと「野球におけるキャッチボール」そのものあります。エレキギターを弾く以上、絶対に使用するテクニックであります。だからこそ、初心者を除けば「チョーキング? なんだよ今さら」と思うコトでしょう。

エレキギター弾きにとってはあまりに身近であるがゆえに軽視されがちなチョーキング。ところが、巧いギタリストはチョーキングの重要性を怖いほどに熟知しています。エレキギターを吠えさせ、泣かせられるかどうかはチョーキングのデキにかかっているからであります。

あるいは、「スゴい! このヒト、めっちゃ巧い!」と思わせられるかどうかは、チョーキングにかかっているといっても過言ではありません。しかも、超絶技巧など1つも使わずに。

 

チョーキングとは、エレキギター弾きの感情表現そのものである

エレキギターを弾かない読者への合理的配慮として、まずはチョーキングについてご説明します。チョーキングとは、弦を押さえる指で、弦を押さえたまま弦を持ち上げるコトによって自在に音程を変えるテクニックです。

「持ち上げる」といっても、弦をつまんで引っ張り上げるワケではありません。弦を指板に指先で押さえつけたまま、弦を上方に滑らせるようにずらすのです。こうするコトによって、音程が高くなります。

チョーキングする弦は1弦や2弦などの高音域を司る細い弦です。他の低音弦をチョーキングするコトもありますが、特にギターソロでチョーキングを使う際は細い弦が中心になります。

音程をどこまで上げるかについてですが、理論上は弦を持ち上げた分だけ上がるコトになります。しかしながら、おそらく4音以上までいけば弦がブツッと切れてしまいますので、1音上げるのが基本です。つまり、フレット2つ分です。

普通に弦を押さえて弾いた直後、基本は中指か、人差し指+中指か、中指+薬指で弦を持ち上げてチョーキングします。すると、音程がクンと上がります。これがチョーキングの基本中の基本です。

しかしながら、チョーキングの真骨頂は上げた音程を元に戻したり上下させたりするコトによって音のうねりや揺らぎを起こすコトです。また、同じ上げるにしても、ゆっくりと音程を上げていく方法もあれば、瞬時に音程を上げる方法もあります。

エレキギターの音程をあえて変化させる。その意義について、身近な判りやすい例を挙げるなら、それはカラオケのテクニックにおける「しゃくり」や「1/Fの揺らぎ」であります。

カラオケで、同じ音程をそのまま同じ音で引っ張るのではなく、あえて低い音程から正しい音程に上げる「しゃくり」や、歌の語尾を延ばす際に同じ波形で「1/Fの揺らぎ」を行うコトによって聴く側に「ウマい!」と思わせ、高得点を叩き出せるのは周知の事実。

エレキギターも同じ理論がそのまま当てはまるワケでして、チョーキングを駆使するコトによって感情表現が豊かな演奏に昇華させるコトができるのです。逆にチョーキングを使わなければ、実に間の抜けた、あるいは味気のないチープな演奏に成り下がってしまうのです。

 

心地よい揺らぎを極めたいなら、プロのチョーキングをトコトン研究せよ

チョーキングのやり方は上記でご紹介したとおりですが、単純だからこそ、エレキギター弾きの数だけ個性が如実に現れます。欧米のロックギタリストは、大きく、素早く手首と指先を上下させてチョーキングさせるヒトが多い。

これらは、怒涛の怒りや激しさを表現するのに最適なチョーキングの方法です。ハードロックにはうってつけのアプローチといえるでしょう。

ゴリゴリのメタル系さえ除けば、欧米でもチョーキングの真骨頂、泣きのギターを存分に堪能するコトができます。例えば、ツインギターの泣きのチョーキングが印象的なイーグルスの「ホテル・カリフォルニア」、エンディングのギターソロはオススメです。

一方、日本人の美意識のひとつ「わび・さび(侘・寂)」を表現するチョーキングをこなす場合、同じ怒りや激しさを表現するにしても、単調な一本調子で弦を上下させるのではなく、指先の力を微妙に駆使しながら速さや揺らぎを操るギタリストが多い。

完全に僕の独断と偏見ですが、こうした「味のあるチョーキング」を堪能できる凄腕ギタリストといえば、B’zの松本孝弘さんと、L’Arc〜en〜Cielのkenさんです。

この2人の凄さは、いくら楽譜やライヴ映像を見て研究して練習しても、決して本人たちの音にはならないという点です。速弾きフレーズなら練習すればどうにか弾けるようになりますが(完成度はさておき)、チョーキングだけはどうしても再現できないのです。

特に「あのチョーキングのうねりは一体どうやって弾いてるんだろう?」と、未だに再現できずに困っているのがkenさんです。「Driver’s High」や「winter fall」のギターソロ、フレーズの最後に音が延びるところで繰り出すチョーキングの揺らぎがどうしても再現できません。

ラルクをコピーした際、最もテンションが上がって自分ひとりで盛り上がる「Driver’s High」、一応最初から最後まで弾き切るコトはできるのですが、カラオケでいう「歌の語尾における揺らぎ」に相当するチョーキングが目下の課題です。

おそらくコツは、チョーキングの上下のうねりを最初はゆっくり、最後の数回を素早くこなすコト、最後のチョーキングを上下させる際は完全に弦を元に戻さず、ある程度持ち上げ気味にキープしたまま素早く上下させて独特の揺らぎを作り出しているのではないかと見ています。

ところがkenさん独特の間、というものがありまして、ロジックで理解してもギターアンプから鳴る音が「なんか違う?」という繰り返しであります。こういうところがプロたる所以なのだなと思い知る次第であります。

いずれにせよ、エレキギターとはギタリストの感情を存分に発散する素晴らしい楽器であります。曲ごとに泣きまくるか怒りで攻めるかを解釈し、自在にチョーキングを使いこなせるようになれば名実ともに「巧いギタリスト」の仲間入りです。