エレキギター、理想のピッキングを追い求め行き着く先は

エレキギター、理想のピッキングを追い求め行き着く先は

エレキギターを鳴らす根幹、ピッキングについて~まずは最適なピック選びから

中にはジェフ・ベックのような指弾きプレイヤーもいますが、エレキギターで弦を弾く方法として圧倒的多数を占めるのはピック弾きであります。ハードロックで指弾きや爪弾きするギタリストは皆無でして、無限ともいえる多種多様なピックの中から理想の1枚を選ぶワケであります。

ピックとは、弦を弾く側の指(右利きは右手)の親指と人差し指に挟んで使う三角形の道具です。主に、「おにぎり型」と呼ばれる正三角形と、「ティアドロップ型」に代表される二等辺三角形のデザインに大別されます。

僕が使っているのは小さめの二等辺三角形ピックで、完全平面ですと汗で滑って落とすコトがあるので、両面がザラついた手触りのピックを愛用しています。なお、僕は手が小さく指も短いので、大型になりがちな「おにぎり型」は使いません。

ちなみに現在の愛用モデルはアイバニーズ製「SAND GRIP」のミディアム(硬さによってハード・ミディアム・ソフトに大別)、1枚100円と安価なので大量買いしています。

ピックの硬さやデザインも千差万別で、使いやすさには個人差があるので一概に「コレだ!」とはいえません。いろいろ試してみて、最良の1枚を選ぶ必要があります。ひとつだけ注意すべき点を綴っておきますと、柔らかすぎるピックは避けた方が無難です。

なぜなら、弦を弾いた瞬間に先端がグニャリと曲がるピックでは強いアタックができないからです。柔らかいピックを使うのではなく、硬めのピックでゴリゴリ攻めるハードピッキングと、ソフトなピッキングを使い分けるテクニックを習得するべきです。

 

ピッキングのスタイルは十人十色、ギタリストによってサウンドが全然違う

速弾きといえばフィンガリング、すなわち指板を押さえる側のテクニックが重視されがちですが(巧緻がモロに人目につくのは右利きギタリストでいう左手の動きなので)、ロックギタリストにとって重要なのはやはり速弾きのキモといえる右手の動きなのであります。

ただ弦を弾くだけと思うなかれ。例えば、野球のバッターを想起してみてください。同じバットをスイングするという一連の動作は誰もが同じですが、そのスタイルはまったく違うハズです。

同じバッターでもクリーンナップで長打あるいは本塁打を狙うバッターと、イチロー選手のように確実にヒットを飛ばして塁に出るコトを狙うバッターでは全く違うのは当然としても、同じタイプのバッターでもモーションは千差万別であります。

エレキギターのピッキングもまた同じ。ピックを上下させて弦を弾く動きは万国共通ですが、そのスタイルやサウンドキャラクターは十人十色となります。

個性的なピッキングで唯一無二の魅力を放つプロのギタリストは世界各地に存在しますが、今回は日本人で異彩を放つ凄腕ギタリストに目を向けてみましょう。

単に「巧い」プロのギタリストはそれこそ星の数ほどいますが、そのサウンドを聴いた瞬間「このヒトだ!」と判らせる個性的な日本人ギタリストといえば、やはりB‘zの松本孝弘さんでしょう。

たとえ松本さんの名前を知らずとも、「ミュージックステーション」のオープニングを飾るあの曲といえば、恐らく知らないヒトはいないほどです。

松本さんの凄いところは、どんなギターを弾いても「アノ音」が出せるコトであります。ギブソンのシグネチャーモデルのレスポールやフライングⅤ、実にさまざまなエレキギターを使いこなしながらも、何を使っても絶対に同じサウンドを繰り出す。

ただ速いだけとか巧いだけのギタリストは、残念ながら同業者の間でしか評価されないものです。プロだけでなくアマチュアを含めて。ところが松本さんは、巧さや速さを兼ね備えつつも個性までキッチリ演出してみせるのです。

 

なんでもござれのコピーバンドに相応しいピッキングを追求した結果

僕が所属しているバンドはオリジナル皆無のコピーバンドなのですが、ジャンルに一貫性がなく、多岐にわたります。お客さんに喜んでもらえるよう、誰もが知るメジャーな曲を選ぼうという基本方針を打ち出し、多種多様なジャンルから選曲しています。

そうなるとヴォーカルやドラムといった一種の生楽器は力の加減でどうにでも調整できるのですが、エフェクターやギターアンプで生音を加工あるいは増幅するエレキギターはその性質上、一定以上の調整ができません。

そこで、ギタリスト泣かせのわがバンドの中で、サウンドメイクには非常に苦心させられるという話は以前の当ブログで綴りました。

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その調整と連動する話になるのですが、さまざまなジャンルのコピーを同じステージで弾き分けるコトになるワケであります。バンド結成後の数年間、どんな曲にも対応し得るようなピッキングを研究したものでした。

その結果、自分の個性や嗜好を存分に取り入れつつも違和感なく弾き分けられるように編み出したのが、「ピッキングをやや強めに、その分ディストーション(歪み)のレベルを控えめにする」という方法でした。

僕が所属するバンドでは、例えば「X JAPAN」のようなハードロックはほとんど採用されず、最近コピーしているのはスピッツ、リンドバーグやジュディマリといったJ-popが主流です。となれば、ゴリゴリの歪みサウンドは不要となります。

以上のコピーで比較すれば、リンドバーグはディストーション強め、ジュディマリはクランチ強め、スピッツはクランチ軽めのサウンドメイクになります(クランチとは軽めの歪み)。

当ブログで以前綴ったように、ライヴの最中に基本的なサウンドセッティングは変更できません。歪みレベルのみ上下させ、あとはエレキギター本体のヴォリュームで調整し、最後にピッキングのニュアンスを弾き分けるコトで対応します。

スピッツは「ロビンソン」や「チェリー」をよくコピーしますが、これらの曲はピックの先端のみ弦に触れさせるイメージでピッキングします。深めにピックを抉らせるような弾き方だと強すぎてエレキギターが不要に尖ってしまうからです。

スピッツに限りませんが、ソフトな曲調のバラードを弾く際は、弦に平行に、そしてピック先端で弦を滑らせるような意識でピッキングをしています。

リンドバーグは「今すぐkiss Me」をコピーしていますが、単純明快かつストレートな曲調ですので、ピッキングは存分に強めに弾きます。

なお、速弾きの場合は弦に平行してピッキングするのではなく、弦に斜めにピッキングしています。平行にピッキングすると音圧が強くなりすぎ、好みでないからです。斜めに弾くコトで音圧よりも切れ味を重視、いわゆる「エッジが立ったサウンド」にしたいからです。

ジュディマリは「OVER DRIVE」や「そばかす」を練習中ですが、いずれもカッティング主体の切れ味重視のギターサウンドがウリの曲ですので、スピッツとリンドバーグの中間といった強さでピッキングを心がけています。

相当ハイペースでトリッキーなカッティングを連発するのがTAKUYAさんの持ち味ですので、強めに弦を抉るようなピッキングですと、モタついてしまいリズムについていけません。スピッツほど力を抜かず、軽めのタッチで素早くピッキングをします。

このように、僕は3つのパターンでピッキングを使い分けています。ただし、すべてのピッキングに共通するのはスポーツと同じ、とにかくムダな力を抜き、リラックスしてピッキングの瞬間のみ必要なだけ力を加えるというコトであります。

今回ご紹介した松本さんに限らず、プロ・アマを問わず巧いギタリストはおしなべて、リラックススタイルを貫いたピッキングをこなしているものです。

ムダな力を加えずに強いピッキングをする。とても分かりづらい表現ですが、ピッキングの神髄はココにあります。

力んだり乱暴だったりするピッキングは弦を切ってしまいます。1つの例を挙げるとすれば、弦もピックも傷めないピッキングこそがリラックス・ピッキングの理想であります。