緊急対応で最重要なのは広範囲からの情報収集
- 2019.04.13
- 社会福祉士

諸事情により緊急的に導入される計画相談支援
事業所を立ち上げてから6ヶ月目となる今月は、当初の予定に加えて想定外のご依頼をいただき、過去最高の新規相談者のサービス等利用計画を作成させていただくコトになりました。
仕事をこなした分だけ収益が上がるワケでして、事業所にとっては大変ありがたいお話なのですが、当然のごとく仕事が大変になるワケでもありまして、平成最後の月は僕のキャパシティが試される月にもなりました。
想定外というくらいですから、事前にご紹介をいただいていた相談者の計画相談支援をできるだけ早めに進めて時間を空けながらスケジュール調整に追われる毎日なのですが、ケースによっては、肝心の相談者本人とお会いする前に、速攻で準備に取りかかる場合があります。
今回の緊急的な支援を導入するコトになった理由はいくつかありまして、前任の障害者ケアマネが退職するコトになったので引き継いでほしいとの依頼や、本人の世話をしていた親族がケガで入院してしまったコトによる緊急対応の要請もありました。
これは高齢者福祉の業界も同じでしょうが、こうした緊急的対応でSOSを送ってくるのは大抵、当事者やその家族ではなく、彼ら彼女らの支援者であります。
皮肉な表現になるかも知れませんが、自らSOSを出せる相談者やその家族はそもそも、緊急対応が必要になるようなコトがありません。逆もまた真なりで、緊急的対応が必要な世帯は僕ら障害者ケアマネが真に支援すべきクライアントでもあるといえます。
なお、僕の場合は「一緒に仕事をしたいと思う相手とだけ仕事をする」コトを半独立型社会福祉士としてやっていく最優先事項に掲げております。そのため、既知のスタッフあるいはその方からの紹介を通じて仕事が依頼されるコトになります。
緊急だからこそ、通常のプロセスとは違う手順で話が進む場合も
本来であれば、まずは本人ならびに家族とインテーク面談を行い、利用契約を締結したのちに初回アセスメントを行うというプロセスを経て計画相談支援を行うのですが、緊急的な対応となれば、本来の順序を変更しながら対応しなければなりません。
今回のケースでは、諸事情により本人とのインテーク面談を後回しにしなければなりませんでした。緊急依頼をしたスタッフと同行し、まずはキーパーソンとなる家族との面会を優先したのです。
というのも、その家族が介護中の不慮のケガによって手術を受けなければならなくなるほど重症で、本人と家族が一緒に会えない事情にありました。そのため、インフォーマル支援で自宅から離れて過ごしている本人より先に面会しなければならない事情があったからです。
僕に支援依頼をしたスタッフ、インフォーマル支援を行っている事業所、そして本人の日中活動の各自スケジュール調整が難航したコトもあり、本人とインテーク面談を行ったのは入院先で家族と会ってから1週間後のコトでした。
緊急的な依頼をかけてきた理由が、来月から新サービスを利用できるよう計画相談支援を導入して申請してほしいというものでしたので、時間的余裕など皆無。こうして、肝心の本人と会う前から、計画相談支援を見切り発進せざるを得ない状況に。
通常の手順とは異なる場合、本人以外からの情報収集がキモに
「相談者を知らずして計画相談支援をできるワケがない」というのが僕の持論ですが、中には今回のようなイレギュラーな対応をせざるを得ない場合もあります。
もちろん、本人の意向を確認するコトもなくサービス等利用計画案を作成するワケにはいきませんので、肝心の計画案は最後に仕上げるコトになりますが、それ以外の定例様式、基本情報や現在の生活、週間計画案のたたき台くらいは作成できます。
そして、それらの様式を作成するためには、いつも以上に詳細かつ広範囲にわたるアセスメント、すなわち情報収集がキモになるのです。
障害福祉サービスを利用するコトによって、どのような生活を望んでいるかは本人に確認するしかありませんが、本人の成育歴・病歴・職歴などの生活歴、障害名や病名、障害特性や合理的配慮を要する点などの支援課題は、家族や支援者から確認できます。
また、個人情報使用同意書を根拠に医療機関や行政機関に打診し、可能な限り情報収集を行います。障害福祉サービス提供事業所が作成する個別支援計画やアセスメントシートなどの情報提供書や、前任の障害者ケアマネが作成したサービス等利用計画は必須です。
今回のケースは重度の知的障害がある相談者でしたので、こうした場合はかかりつけ医からの情報提供書、障害年金申請時に主治医が記載した医師意見書を取り寄せます。
療育手帳を持っている相談者にとって最も重要な情報源とは
障害の程度はさておき、知的障害がある相談者に係る情報源の中で最重要なのは、心身障害者総合相談所が行う巡回相談の検査結果です。なぜなら、そこに記載されている事項が支援方針を決めるための最大の根拠となるからです。
検査結果には、知能指数、生活年齢や精神年齢、略歴から検査項目ごとの結果が詳細に記載されており、本人の障害特性を知る上での正確無比な最高のデータバンクです。
検査結果は、委任状があれば親族でなくとも行政窓口で情報開示が可能です。その際、情報開示を希望する者の身分証明(僕の場合は運転免許)を提示し、コピーを取らせることを了承しなければなりません。以上、参考まで。
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