ギタリストがライヴの重圧に打ち克つ唯一の方法

ギタリストがライヴの重圧に打ち克つ唯一の方法

どんなに練習しても、ミスするときはミスをするのが一発本番の怖さ

90年代あたりまで日本やヨーロッパで人気を博したハードロックやメタルのような美しい旋律に乗せられた速弾きや、JUDY&MARYや東京事変のようにカンタンで実は難解極まりないトリッキーなプレイの数々。

こうした超絶技巧を必死に練習して習得し、ステージで披露するコトはギタリストにとって至福の喜びであり、ヴォーカルに次ぐ見せ場をつねにライヴで与えられる宿命を負ったパートの醍醐味でもあります。

ところが、プロはともかく、こうした見せ場でいつもキッチリ役割を全うできるギタリストばかりとは限りません。

僕のように本番で記憶が飛んでリカバリーできず硬直したまま動けなくなり、バンドメンバーから妙な気を遣われたり、いつも聴きにきてくれる知人から「ゼロさん、あの時どうしたんですか?」などと、実に返答に困る質問をされたりする残念なギタリストだっています。

バンド練習であれば何度でも演奏のやり直しができますし、「ここんとこ合わないから、その手前のあたりからもう1回合わせてみよう」など、苦手なフレーズの反復練習もできます。

ところが聴衆が大勢訪れてくれたステージで一発本番となると、その時の気分や体調にもよりますが、例えばギターソロ後にサビを2回繰り返すところを1回で次に走ってしまうなど、いつもなら絶対にしないミスをしてしまうものであります。

すべては、「緊張」という一発本番のステージに棲む魔物の仕業によって。

 

「緊張」というライヴの魔物に打ち克つ唯一の方法

「才能の差は努力で埋められる」とはいうけれど…

緊張のあまり記憶が飛んで直前になってフレーズが全然思い出せないといった精神状況であれば、恐らくそのステージで手痛いミスを起こしてしまうコトでしょう(何度も経験済み)。

こうしたミスによって被るコトになる精神的ダメージはけっこうなもので、完璧主義かつ責任感が強いギタリストほどこうしたミスを引きずり、後々まで苦しめられるコトになります。

かれこれ5年前になりますが、バンド加入当初の頃は何をするのも初めてという無知がゆえに無我の心境でした。そのためミスをするのが当たり前、「やっぱりあそこ弾けなかったよ」と、精神的ダメージは案外それほどでもなかったものでした。

ところが、年数を重ねてバンドの知名度が上がっているにつれて固定ファンがつき、特定の知人が何度も観に来てくれるようになると、「ミスりたくない」と欲が出てきます。

ヒトが欲を抱くコトそのものは決して悪いコトではなく、その欲望を正しい方向で満たせば良い話であります。つまり、マジメに自宅での自主練習に励み、週1回のバンド練習にサボらず参加して鍛錬を積めば、上記の欲を満たし得るコトになります。

しかしながら、努力で超えられるカベはヒトそれぞれでありまして、冒頭に挙げた超絶技巧の曲をステージで最後まで弾き切るという、高いハードルを軽々と飛び越える跳躍力を持つギタリストがいる一方で、僕のように残念なギタリストもいます。

これは持って生まれた天賦の才というべき領域の話でして、それができるヒトたちは練習時間さえあれば可能だと口をそろえてそう言いますが、その練習時間を捻出するのも骨が折れる。

われわれアマチュアは本業との掛け持ち生活になります。独りケアマネとして日中は仕事に追われ、すっかり精魂が尽き果てて帰宅し、そこから夕食の支度や入浴を済ませ、「じゃあ練習するか」と長時間にわたる練習を毎晩続けるのは相当厳しいものがあります。

僕は独身ですので自分のコトだけやっていれば練習の時間などいくらでも捻出できますが、子育てや親の介護など、勤労以外で役割を果たさねばならないアマチュアギタリストは僕以上に長時間にわたる練習時間の確保が困難になるコトでしょう。

場数を踏む以外で本番の緊張を乗り越える方法

練習という長時間にわたる拘束に縛られず、そして緊張という魔物がいつも狙っているステージで、コピーバンドが相応のパフォーマンスを発揮できるための唯一の方法…。

それは、「自分の技量を超える曲をやらない」というコトです。

振り返って考えてみれば一目瞭然でして、僕が緊張で演奏をミスしたり記憶が飛んだりするのは、自分の演奏力を超える曲をコピーした時のみ起こっていました。

すなわち、ミスをしたり記憶が飛んだりする時、必ずといっていいほど「最後まで弾き切れる自信がない」と精神の奥底で敗北を認めてしまっている心理状態なのです。

だったら、どうしたら良いか? もうお判りかと思います。いちど練習してみて「とても弾ける気がしない」とか「いつになったら弾けるようになるか判らない」と思った曲のコピーは断固拒否し、バンドメンバーの理解を得ましょう。

若い頃は「それでもこの曲を弾きたいんだ!」とムリを押し通し、演奏ミスをノリで押し通す荒業でステージを乗り切ったものでした。しかしながら、やはり自信をもってステージに立ち、ノリを重視しつつギタリストとしての役割を完遂したい。

マジメなヒトなら「自分のワガママで、せっかくメンバーでコピーしたい曲を出し合っているのに、拒否するのは申し訳ない」と思う気持ちは重々判ります。僕もそうでした。

ところが、本番でギタリストがミスをすれば、それはバンド全体の失態というよりも、ギタリスト個人が恥をかいたと思う心理状況に追い込まれます。

「ミスはしたけど、盛り上がったんだしイイじゃん」と楽天的にとらえられるヒトは良いのですが、得てしてギタリストという人種は、プライドの高さと繊細な神経を持ち合わせた、「ちょっと面倒くさいヒト」が多かったりします。

ステージでミスをした後になっていつまでも引きずるような心理状況で苦しんだ経験があるヒトは、現時点で持ち合わせた演奏力を逆算し、過度の緊張をしないで済む選曲をしましょう。

メンバーに断りを入れる気まずさは判ります。しかしながら、ムリをしてステージに立ち、悔いが残るミスをして劣等感や悔しさを引きずり、せっかくの楽しいバンド活動が苦痛になってしまっては本末転倒であります。

ここはバンドメンバーに理解してもらい、その代わり「やる!」と決めた曲をしっかり仕上げて、ステージで最高のパフォーマンスを発揮して納得してもらうコトにしましょう。

 

プレッシャーに負けないコピー曲かどうかの見極め方

初見でも何となく弾ける曲

コピーする曲のスコアをまずはひととおり演奏してみて、初見の段階で「何となくこんな感じかな」と思えるかどうかが最も重要です。ギターソロや全パートのタイミングを取りづらいフレーズは別として、リフだけでも初見で追えるようなら問題ありません。

ギターソロが難しい曲はリフも相応の難しさが伴うものです。逆にリフがスラスラ弾けるようなら、あとはギターソロを自主練習して習得するのみ。現時点におけるあなたの演奏力に相応しいコピー曲といえるでしょう。

ギターソロがない曲

リフやバッキングのみでギターソロがない曲も難易度が圧倒的に下がります。逆に「リフはそうでもないけどギターソロだけがどうしても弾けない」というコピー曲は意外に多いものです。こうした曲も現時点では除外してもらいましょう。

ただし、JUDY&MARYの名曲「そばかす」のように、リフそのものが最初から最後までギターソロの応酬のような難解曲もあります。上級者が難解さを満喫するためにあるような曲ですので、ライヴで演奏するのなら、それこそ年単位での長期練習が必要です。

好きな曲や何度も聴いたコトがある曲

音楽教師なみに楽譜を読めるヒトは別ですが、そうでないヒトにとって楽譜から音楽を起こすのは非常な精神的苦痛と困難さを伴うものです。

一方で、自分が好きな曲や何度も聴いてきた曲であれば、楽譜があまり読めなくとも記憶を頼りにどうにかコピーできるものです。僕のように楽譜だけで脳内音楽を鳴らせない譜面オンチの場合は、難しめのコピー曲を選ぶ際は好きな曲や知っている曲から選びましょう。

もうひとつ。難しい曲であっても、好きな曲なら弾きこなしたいというモチベーションにつながります。僕はL’Arc〜en〜Cielがとても好きなので、実際はkenさんのギタープレイは僕の演奏力を超えたギターソロなのですが、3曲は弾き切れるようになりました。

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今はまだプレッシャーに押しつぶれそうなコピー曲であっても、たとえ今は演奏ができなくても、いつか必ず過去の自分を乗り越え、その曲を演奏するコトができるようになる日が必ず訪れます。実際、僕にもそのような体験が何度もありました。

もし、その曲が本当に好きならば、そしてバンドメンバーがコピーを望んでいる曲であるならば、決してあきらめず、バンド練習とは別にジックリ時間をかけて自主練習に励みましょう。

具体的にオススメしているギターバンドの参考として、今回のブログと関連がある記事をリンクしておきます。併せてご一読ねがえれば幸いです。

中級ギタリストがコピーするのにオススメなギターバンド→コチラ