バンドアンサンブルをキッチリこなして最高のパフォーマンスを

バンドアンサンブルをキッチリこなして最高のパフォーマンスを

それぞれのメンバーの演奏力はフツウ、普段からつねに一緒に演奏している気心が知れたバンドと、それぞれのメンバーがズバ抜けた演奏力を持っていても「今日、いきなり合わせます」という突貫工事的なバンドがあったとします。あくまでアマチュアと仮定しての話です。

さて、ここで問題ですが、楽器など全然弾けませんといったシロウトのお客さんが上記のバンドを聴き比べた時に、どちらの演奏を高く評価すると思うでしょうか?

その答えは意外と思われるかも知れませんが、実は前者のバンドです。その秘密はアンサンブルの良し悪しにあります。なぜなら、バンド演奏というものは、すべてのパートの息がピッタリ合ってはじめて「聴いていて気持ちいい演奏」になるのです。

アコースティックギターやピアノなどをソロで演奏したり、歌いながら弾き語る場合は別ですが、バンドの場合はアンサンブルがすべて。誰か突出して巧いメンバーがいても、アンサンブルが成立していなければ、決して気持ちいい演奏にはならないのです。

その意味では、普段からバンド活動をしていて他のパートと合わせるコトに慣れているメンバーであれば、いきなり合わせてみても、ある程度は対応できるものです。逆に、個人ではどんなに楽器が巧くても、普段バンド活動をしていなければ絶対に良い演奏ができないものです。

「このバンドはこのヒトのためにある!」的なバンドも魅力的ですが、あくまでもアンサンブルが成立していての話。かくいう僕も、若かりし頃はその時点でできもしない無謀なコピーに挑戦していました。汗顔の至りであります。

 

ギタリスト向け・バンドアンサンブルのスキルアップ

バンドなんだから合わせるのが当たり前だと思われるかもしれませんが、最初からアンサンブルを正確にこなすワケにはいきません。個々には相応に演奏力があるメンバーであっても、結成当時は満足にアンサンブルすらできないところからバンド活動は始まるのです。

若いうちはそれで良いと思いますし(実はコレが最も上達する達成動機に)、音楽で生計を立てるプロではありませんので、あくまで自分たちのやりたいコトを追求していれば良いのがアマチュアバンドの醍醐味でもあります。

しかしながら、やっている自分たちが「なんか合わないな?」とイライラしはじめ、他のパートへ責任転嫁するのでは、せっかくのバンド活動がギスギスして居心地のよくないものになります。

そこで今回はギタリスト向けとして、バンドアンサンブルの技量を高めるために大切なことがらを、実践をもとに綴っていきたいと思います。

「個人技よりもチームワーク重視」と思われがちだが、まずは個人技から

バンドアンサンブルについては野球の守備、それも打撃や盗塁などの攻撃を受けた際の対応に喩えると判りやすいと思います。

例えば1塁にランナーがいる場合、当然ですがピッチャーはランナーを牽制しながら投球します。ファーストは牽制球を受けるために1塁に密着し、その分、セカンドの守備範囲は広くなります。キャッチャーは盗塁された場合にアウトを狙える体制で捕球します。

投手と内野手だけでもこれだけ役割が細分化され、当然ですが外野手もまたそれぞれの役割があり、ランナーの有無や打順(クリーンナップは一歩下がる、バックホーム体制は前進守備)、左打者はライト側に寄るなどの動きがあります。

言葉でいってしまうのは簡単ですが、これらをソツなく行うためには、無意識にカラダが動くほどポジションの一連の動作を練習しなければなりません。そして、確実にポジションごと与えられた仕事をするコトが求められる。

こうした野球ならではの定番の動きはチームワークを構成する要素の最たるものですが、それ以上に大切なのは「個の力」、つまり個人技の高さです。例えばキャッチャーには正確にセカンドまで送球できる制球力が必要です。暴投してはチームワーク以前の問題なので。

バンドアンサンブルも全く同じ論理が働きます。いくらドラムとベースのリズム隊がしっかり仕事をしても、そのリズムに乗せてリフを刻めなければ意味がない。

そして、リズム隊に乗るためにはしっかりリズムを聴かねばなりませんが、最低限の演奏力が備わっていなければ自分の演奏だけに気を取られ、とても落ち着いてリズムなど聴いていられません。チームワーク確立のためにはまず、個人技を磨きましょう。

自分のパートを最初から最後までキッチリ脳内でリプレイできるほど覚え込む

以前のブログで、「ライヴに棲む魔物」ことステージ独特の緊張感について綴りました。よっぽど慣れた曲でない限り、バンドアンサンブルを行うのはそれなりに緊張するものです。

緊張感を支配するためには、曲を最初から最後まで弾き切るための演奏力が必要ですが、できればさらに譜面なしで弾き切れるよう、まるまる暗記してしまうことをオススメします。

野球の試合でもそうですが、プレッシャーに負けないためには、自分たちの方が強いと思えるコトが肝要です。そこではじめてプレッシャーが心地よいスリルになり、適度なリラックスすら可能になるのです。

では、自分たちの方が強いと思えるにはどうしたら良いか? それを具現化できる実力が備わっているコトを実感できるだけのワザを習得するしかありません。

このレベルに到達した選手はみな自分がなすべき役割を判っています。いちいち復唱しなくとも、瞬時に何をなすべきか暗記できています。そして、どんなに緊張していようとも想起できるほど、心身ともに必須事項が焼きついているのです。

その考え方をバンドアンサンブルに置き換えると、今日このステージで演奏するすべての曲を弾き切れるだけのウデがあり、すべて脳内プレイヤーで正確にリプレイできるほど暗記しているコトが挙げられます。

ギタリストとして、パートごと与えられた自分の役割だけはキッチリ果たせるという自信があってはじめてリズム隊が刻むビートをじっくり聴き、演奏しながらリズムに乗るコトができるのです。

緊張感に対抗しうる唯一の武器はリラックスであり、その武器を使いこなすコトができるために必要なのは「余裕」です。そして、その余裕を生み出すバックボーンになるのが「暗記」なのです。

 

アンサンブルのキモ・リズム隊にうまく乗るためにはどうすればよいか

リズムのキモはドラマーだが、メロディのキモはベーシスト

バンド演奏のために専門の教育を受けたワケではなく、いわば見よう見まねでバンド活動を行い、今にして思えばこういうコトかと思うアンサンブルの秘訣に気づいた次第であります。

それは、バンドアンサンブルの中核となるドラムとベースの役割の違い、そしてそれらをふまえたエレキギターのリズム隊への乗せ方なのですが、この点さえ意識すればギタリストとしてのバンドアンサンブルが俄然巧くなります。

すなわち、リズムキープをするためにはドラマーが刻むビートに合わせ、メロディライン把握するためにはベーシストが弾く音を頼る。これがリズム隊に乗るために知っておくべき原則なのです。

ライヴで安定したバンドアンサンブルをこなすために~リハーサルにおける注意点

自分のパートの音が聴こえやすいか? 聴衆側にどのように聴こえているか? 当然、ギタリストがリハーサル時にチェックすべき点はコレであります。しかしながら、ある意味においてそれ以上に重要なチェック項目があります。

それは、ベースの音が明瞭に聴こえているかという点であります。ここだけは特に入念にチェックし、本番で最良のセッティングを出してもらうよう配慮しましょう。

バンド演奏においては、絶対に聴こえるパートと、ポジション関係やPA環境などによって聴こえづらいパートというものがあります。前者はドラム、後者はそれ以外のパートです。

つまり、ドラムのビートだけは絶対に聴こえてくるものですので(電気増幅する必要がないので)、リズムキープについてはそう神経質になる必要はありません。ドラマーが走りすぎないコトを願うばかりです。

逆に、絶対に音が聴こえるよう調整しておくべきなのはベーシストの音であります。ベースの音が聴こえないとメロディラインを見失い、バンドアンサンブルが乱れるおそれがあります。

ヴォーカルやキーボードが多少、聴き取りづらくても「だいたいこのあたりをやってるな」と把握できる程度で聴こえていれば大丈夫です。返しのモニター(演奏側が聴くために設置されたスピーカー・氷室京介さんがライヴステージで片足を載せるアレです)がなくとも問題ありません。

その代わり、ベースの音だけは絶対にクッキリハッキリ明瞭に聴きとれるよう、リハーサルの段階でしっかりチェックしておきましょう。メロディラインのキモです。

「なんかちょっと聴きとりづらいな」と感じるなど、少しでも不安がある場合はベーシストにその旨を伝え、ベースアンプのヴォリュームを上げるか返しのモニターでバランスを取ってもらうコトが重要であります。