「独立」という選択肢、フリーランスのリアルについて

「独立」という選択肢、フリーランスのリアルについて

半独立型社会福祉士として再出発してから6ヶ月を経過して

社会人デビューを果たした平成一桁代の頃は想像もしなかった人生3度の転職を果たし、かつてのお得意先だった仲間たちの協力のもと、独りケアマネになってから半年が過ぎました。

社会人として20年以上、わがマチにやってきて多種多様な職種の皆さんと交流してきた知見から、半民半官の雇われの身とは真逆な立場になった際にどのような社会人ライフを送るかについては、ある程度まで的確に洞察しておりました。

実際、やはりコレは予想どおりだったという展開が大半なのですが、逆に、半独立型社会福祉士になってはじめて気づいた新発見も少なくありません。

そこで今回は僕の実体験をもとに、当初の想定どおりだったコトとそうではなかったコトを綴っていきたいと思います。

現時点で転職を検討しているヒトや、すぐにではないものの僕のような準フリーランス的な転職の可能性について脳内シミュレーションをしてみたいヒトを対象にしていますので、ぜひとも参考にしていただければ幸いです。

独りケアマネになった後、予想どおりに変わったコト

僕は障害者総合支援法に規定される計画相談支援事業を実施しています。事業所の管理者と「障害者ケアマネ」こと相談支援専門員を兼務している社会福祉士であり、介護保険でいうところのケアプランこと「サービス等利用計画」の作成が主な業務です。

当ブログでは半独立型社会福祉士という表現を多用しておりますが、その理由は、僕が特定非営利活動法人に所属し、その傘下にあるからです。僕が所属する法人では計画相談支援を含めて3つの障害福祉サービス提供事業所を運営しており、財務上はすべて法人本部に一任しています。

本来的なフリーランスであれば、経理や庶務などのすべてを僕(あるいは僕が雇ったスタッフ)が実施するコトになるでしょう。そのあたりをすべて一任し、純粋に障害者ケアマネとしての業務にのみ没頭できる立場から半独立型社会福祉士と表記しています。

いわゆる「カイシャ」としてではなく、ウデ一本で喰っていくというフリーランスとしての立場で、まずは「やはりこうなるよな」と大方の予想どおりだった点について綴っていきます。なお、以下のカッコ内は偽らざる僕のホンネです。

一緒に仕事をするヒトを選べる(=キライなヒトと仕事をしなくていい)

本当にやりたい仕事だけを徹底できる(=やりたくない仕事をしなくていい)

正当な評価だけが自分に返ってくる(=評判の悪い連中の巻き添えを食わずに済む)

結果はすべて自己責任(=誰かの尻拭いをしなくていいし、させなくてもいい)

稼ぎはすべて自分次第(=巨大資本の後ろ盾がなく、プラスアルファは望めない)

独りケアマネになって判った想定外なコト

以上につきましては良くも悪くも半独立型社会福祉士になる前に想像できたコトであり、あるいは僕を仲間に入れてくれた法人側から事前説明があって先刻承知の上で身を任せたコトなので、何も後悔はありませんし、むしろ精神的な満足度がはるかに高い。

その意味では、僕にとっては準フリーランスになったコトに何のデメリットもありません。現時点からどこまで昇りつめるコトができるか? 僕自身の限界点がどのあたりなのか? 年甲斐もなく、先が見えない未来にゾクゾクしています。

しかしながら、やはり実際に体験してみないと判らないコトもあるもんだなという新たな気づきがいくつかありました。僕にとってはそう大きなデメリットではないのですが、これから転職を検討するヒトには重要なポイントになるかも知れませんので、以下のとおり列記しておきます。

予想していなかったヒトと一緒に仕事をするコトも(=敵を作らない生き方こそ最上)

部外者となって情報収集が制限される場面も(=かつての所属とは完全に切れない関係性)

後ろ盾をなくしても変わらず接してくれる(=意外に過去の職歴を評価してもらえる?)

 

転職後、独立して成功するかどうかはこれまでの自分次第

手前味噌で誠に恐縮ですが、前職の相談支援事業所に所属していた数年間、僕なりに死力を尽くし、かつてお世話になった先輩、ノリさんの助言どおり「1人でも多くのヒトを味方につける」コトをつねに意識しながら仕事をしてきました。

振り返って考えてみますと、ここまでトントン拍子に契約者を増やし、月別決算ではつねに黒字を叩き出せているコトは準フリーランスとしては大成功の部類でしょう。現時点ではかつての年収を大幅に割っているものの、それも僕の働き次第でどうにかなりそうです。

よく転職系のビジネス書で「あなたにペコペコ頭を下げているワケではない。あなたのカイシャに頭を下げているのだ。かつては管理職だったとふんぞり返るなど論外。そのあたりの真実が判っていなければ転職後に必ず痛い目に遭う」といった啓発があります。

僕もそのあたりは充分に意識していましたので、小規模法人の独りケアマネという立場に変わった以上、わがマチの委託事業を数多く抱えていた前職の看板はなく、何らかの制約が出てきて当然と覚悟しておりました。特に、行政に対しては。

ところがフタを開けてみれば、わがマチの障害福祉課の皆さんは「まあ、ゼロさんの頼みですから」と露骨に言葉には出さないものの、前職と何ひとつ変わらない配慮をして下さいます。大げさな、と言われるかもしれませんが、担当職員の皆さんには本当に感謝しています。

また、一緒に仕事をするヒトにこだわるというワガママな仕事をしている以上、僕が業界に戻ったコトを知らないかつての関係者はまだまだ多数いらっしゃいますが、逆に、独りケアマネになったからこそ新たなつながりも生まれています。

これからつながっていく相談者や関係各位との良好な関係構築はこれからの僕次第ですが、前職でつながっていた、かつての支援者や同僚たちとの関係につきましては、過去の積み重ね次第です。

かつての僕がどのような仕事をしてきたか? どのような言動だったか? そうした過去の積み重ね次第によって左右されます。仮に何らかの重大な過失と受け取られても仕方がないことがらがあれば、人は知・情・意を備えた感情の動物。リカバリーは利きません。

その意味では、独立という道で再出発を果たした際、かつての仲間や同業者の後押しが得られるか、それとも足元を掬われたり協力を拒まれたりするかどうかは、ひとえに「過去の自分次第」というコトができます。

転職の成功、その第一歩は「立つ鳥跡を濁さず」

そのためにもビジネス書や過去のことわざを意識して、くれぐれも慎重に転職活動をすべきです。そこで今回、僕が最も強く伝えたいのは「立つ鳥跡を濁さず」であります。

とはいえ、何も特別なコトをしろというワケではありません。僕が自分自身への決めごととして、実際に貫いてきたのは下記の3つのルールでした。

退職届が受理されて退職日を迎えるまで、「どうせ仕事辞めるからヤル気ないんでしょ?」などと呆れられたり恨みを買ったりしないよう精いっぱい仕事をこなす

有給消化は当然の権利だが、自分が辞めた後に残る職場の仲間たちに極力負担をかけないよう、できる限り残務を清算した上で有給を取得する

人間関係が理由で退職する場合、つい捨て台詞や過去の遺恨を口にしそうになる気持ちは充分に理解できるが、私怨を晴らす言動は固く慎み、職務上の正当な苦情に留める

以上につきましては僕が前職を辞めるコトになった際に貫いた僕自身の決めごと、譲れないルールでした。過去に見送る立場であった際、以上に掲げたタブーを犯して辞めていった者たちの末路を知っていたからでもあります。

非常に恥ずかしい話ですが10年以上昔の話ですので白状しますと、以上のタブーをすべて犯して遺恨だらけで辞めていった元同僚が数年後、臆面もなく書面で頼みごとをしてきました。しかも、ご丁寧にわざわざ担当の僕でない事務員宛てに。

当然、事務処理上の流れとして事務員の上司である僕へ回ります。「私宛てに届いたんだけどさ、どうしたらいい?」と渡されたので、「では僕が処理しておきます」と受け取り、シュレッダーで「処理」してしまいました。

「ねえ、まだ届かないの?」などクレーム電話があったものなら徹底抗戦してやろうと思っていたところでしたが、その後、二度と頼みごとをしてくるコトはありませんでした。

僕がノリさんのアドバイスを素直に受け取ったのもこうしたエピソードがあったからで、担当者に恨みを買うようなコトがあれば、今こうしてスムーズな職務上の便宜を取り計らってくれるコトはなかったでしょう。

それこそ、「あのねえゼロさん。あなたはもう〇〇の人間じゃないんですから、前みたいには…」となっていたかも知れません。

また、仮に、僕が人間関係の辛さや重責に耐えかねて途中放棄していたとしたら、その前歴は必ず残るコトになります。書面上は削除されたとしても、関係者の記憶には永遠に残ります。

退職日まで全力で仕事に取り組むというルールを厳守したおかげで、「今あのゼロって奴が偉そうなコトいってるけどさ、アイツ実は前の職場で…」と過去の不名誉な経歴の呪縛に遭わずに済んでいます。

人間は、過去に不愉快な思いをさせられたエピソードやそのヒトのコトを決して忘れられない因果な生き物であります。過去との関係を断絶するか否かはあなたの自由ですが、かつての職場を味方にできないまでも、敵に回さない配慮だけは絶対に必要です。

ホンネをいえば死ぬほど苦しくて「カネなんかいらないから今すぐ辞めさせてくれ!」という思いで毎日を乗り切りましたが、「あの時、逃げなくて本当に良かった」と安堵している次第です。

いずれにしても、転職の成功を果たすための第一歩は「立つ鳥跡を濁さず」であります。

あなたの転職キャリアに傷がつかないよう、これだけは厳守していただきたいと思います。