ギタリスト必見! ギターソロのサウンドメイクについて
- 2019.05.02
- エレキギター

ギターソロには、地道な反復練習と一発本番に耐え得る勝負度胸の2つが欠かせない
バンドの顔といえば当然ヴォーカリストですが、バンドの花形といえばギタリストです。それも、リードギター担当はギターソロという重責を一手に引き受け、その瞬間はヴォーカリストでさえも引き立て役としてギタリストを後押しします。
ちょっと気の利いたヴォーカリストであればギターソロに入る直前のギタリストの名前を高らかに叫びながら指差し、イヤでもオーディエンスの注目を引き付けてくれたりもします。
そんなギターソロですが、ステージでキッチリ大役を果たすには最後まで弾き切るワザを習得するための地道な反復練習と、これは性格によるところも大きいですが、一発本番で重圧を弾き返してフレーズを奏でる勝負度胸が欠かせません。
そういう意味では、ステージに上がる前のギタリストの日常は煌びやかさとは無縁ともいえます。それはアスリートの世界と共通するもので、試合で真新しいユニフォームを着て颯爽とプレイするプロ野球の選手が、ファンの見ていないところで汗みどろの基礎練習を反復するのと同様に。
きらびやかなギターソロをさらに彩るサウンドメイク、その演出方法について
一発本番のライヴでオーディエンスが注目する中、ギタリストが引き受けたギターソロという大役を無事にやり遂げるには以上の2点が必要不可欠なのですが、ギタリストにはプレイヤーとしての役割の他にもうひとつ重要な役割があります。それは、サウンドメイカーとしての役割です。
会場の広さや音響機材の性質を鑑み、その状況下でハウリングを起こさず最高の音質を求め、他のパートとの音量バランスを最適にミキシングするのはPAの仕事ですが、ギターサウンドそのものを演出するのは他でもない、ギタリストの役割です。
僕のように適当かつズボラなタイプのギタリストはマイナー路線を突っ走るごく一部でして、世の中のギタリストといえば、手持ちのエフェクターを駆使して多様なサウンドメイクに苦心します。
そんな僕ですが、10代の頃はBOSSのアナログマルチエフェクターから始まり、王道の歪み系やちょっとマニアックなイロモノ系まで、コンパクトエフェクターを入手してはすぐ手放す繰り返しをしてきました。
そして当ブログで何度か綴ってきたように現在シンプルなセッティングに至るのですが、今回は、オーソドックスな基本論理としてギターソロに特化したサウンドメイクの考え方について綴りたいと思います。
最もオーソドックス:歪み系エフェクターとヴォリュームコントロール
ギターソロがあるコピー曲を演奏する際に必ずといって良いほど僕が行うオーソドックスな手段、歪み系エフェクターでギターソロに使うサウンドメイクをセッティングしておき、ギターソロ以外ではエレキギター本体のヴォリュームを絞っておくプレイスタイルです。
僕が良く使う手段だからというワケではないですが、どんな機材を使おうが対応するコトができるサウンドメイクの考え方として、最もオススメな方法だと断言します。
ギターアンプですが、ソリッドステートであればクリーントーンでヴォリュームやトーンを調整し、歪みはエフェクターでサウンドメイクします。これがマーシャルなどのチューブであればクランチサウンドにセッティングし、必要な歪みをエフェクターで加算します。
歪み系エフェクターを2個使ってサウンドメイクする方法もあるのですが、ノイズを拾ったり音が濁ったりするので、そのあたりが気になるギタリストは「歪み系は1つ」と決めた方がイイです。複数を使いたいなら同時使用をせず、曲によってそれぞれ使い分けるべきです。
重要なのは「ヴォリューム・サウンドメイクともにギターソロに照準を合わせる」というコトです。特に歪みの強さはギターソロで100%のポテンシャルを発揮するようセッティングします。
具体的には、エフェクターの歪みはギターソロのためだけにセッティングし、エレキギター本体のヴォリュームをギターソロでフルにして弾くセッティングをするのです。
このようなセッティングをしますとギターソロ以外、つまりヴォーカルが歌っている間は強すぎるサウンドになります。そこで、エレキギター本体のヴォリュームを絞って演奏するのです。
歪みの強さや曲のキャラクターによってヴォリューム調整は異なりますが、ギターソロのメリハリをつけたい曲を演奏する場合、ギターソロを「10」でサウンドメイクした場合、それ以外は「5」あたりまで下げて弾くとバランスが取れます。
エレキギターを選ぶ際、こうした細かなヴォリュームのマネジメントが必要な弾き方をするコトを想定するとフェンダーのストラトキャスターやギブソンのレスポールなどのように、ノブに数字が刻印されたタイプを選んだ方が絶対に使いやすいです。
以前、使用していたアイバニーズのモデルは刻印なしのタイプでしたので「ヴォリューム、いくつだっけ?」と判らなくなったり、ステージで瞬時にノブを動かした際に目印がなくて困ったりしたコトがありました。
なお、歪み系エフェクターですが、ギタリスト各位が好みで選んだもので問題ありません。コレでなければダメというものはありません。肝心なのはセッティングです。
エレキギター本体のヴォリュームを駆使するお話については、当ブログで以前に取り上げています。併せて読んでいただければ幸いです。
〔参考記事〕 エレキギター演奏の必須項目、ヴォリューム操作について徹底考察→コチラ
差別化ができ、なおかつ耳障りがイイ:歪み系エフェクターとコーラスの併用
最近はあまりやらなくなりましたが、かつての布袋寅泰さんがGIGS(BOOWYライヴの一般的な呼称)で多用していたサウンドメイクに触発され、しょっちゅう模倣させていただきました。
サウンドメイクと呼ぶにはあまりに単純ですが、要はギターソロを演奏する時のみ、コーラス系のエフェクターをオンにするという方法です。
コーラス系エフェクターとは、いわゆる「鈴鳴りサウンド」というキレイな響きをもたらす、モジュレーション系エフェクターの総称であります。
なお、コーラス系エフェクターの効果が最も判りやすい名曲を生み出しているバンドは、当ブログでもたびたび登場するSpitz(スピッツ)がその代表格です。完全に独断と偏見ですが。
例えば、Spitzの代名詞といえる名曲「ロビンソン」。あの印象的なリフはコーラスなしには成立しません。また、「君が思い出になる前に」「ホタル」のイントロでは深めのコーラスが効果的に使われています。
余談ですが、同じSpitzの代表曲でクランチサウンドを前面にサウンドメイクされた「空も飛べるはず」「メモリーズ」「冷たい頬」はコーラスを一切絡めずにアレンジされています。聴き比べてみると面白いです。
最も有名なのは、BOSSの親会社であるローランドが開発したソリッドステートギターアンプの最高傑作の1つ「ジャズコーラス」のテクノロジーをもとに開発されたコーラス系エフェクターでしょう。僕もそのうちの1つ「CE-5」を愛用しています。
このサウンドメイクでは、歪み系エフェクターのセッティングで特段配慮すべき点はありません。いつもどおりのセッティングで問題なし。唯一、配慮すべき点といえば、コーラスのデプスを深くかけすぎないくらいのものでしょう。
デプスとは、コーラス系エフェクトのかかり具合を調整するノブのコトです。MAXに回すほど、コーラスのかかりが「深く」なります。
適度なデプスは奥行きが深まり音にツヤが出て耳障りがイイのですが、あまりかけすぎると音質がデロデロとしてきてフレーズが聴き取りづらくなってしまいます。ステージによっては自然に反響音も加わりますので、デプスが深くなりすぎない程度に留めておきましょう。
あえて王道の逆を行くコトによって意表を突く:クリーン系エフェクターやブースター
ファンにしか知られていない名曲の1つですが、 L’Arc~en~Cielのアルバム「REAL」に収録されている「ROUTE 666」のギターソロはクリーンサウンドで弾かれています。普段は歪み系エフェクターを駆使するkenさんには珍しい、実にクールな1曲です。
数ある名曲の中でも唯一、歪み系エフェクトを使っていないコトが逆に新鮮かつ意表を突かれたという印象深い曲なのですが、サウンドメイクは逆に難しいものがあります。
最も単純なセッティングとして考えられるのは、曲を構成する歪み系を抑えたクランチサウンドでサウンドメイクをしておき、ギターソロで歪み系エフェクターをオフにする方法です。
しかしながら、エフェクトをオフにするとヴォリュームが下がってしまい(エフェクターには音量を増幅させるブースター効果もあります)、せっかくのギターソロなのに迫力が半減してしまうコトになります。
このような音ヤセ防止のために考えられる方法は、エレキギター本体のヴォリューム操作によってギターソロで音量を上げる方法と、クリーン系エフェクターやブースターを使う方法です。
仮に僕がライヴで実践するとすれば前者の手段を採用します。なぜなら後者の場合、まずは歪み系エフェクターをオフにし、続けてクリーン系エフェクターをオンにする。これら一連の操作を瞬時に行う必要があるからです。
もうひとつ覚えておかねばならないのは、クリーン系のサウンドメイクになればなるほど、それに比例するようにギタリストの技量が赤裸々になってしまうという点です。クリーンサウンド主体のジャズギターが死ぬほど難解なのも、そのあたりにあります。
つまり、歪み系サウンドではソコソコ聴かせられたハズなのに、クリーン系サウンドになった瞬間、「あれ? なんかヘタじゃね?」と思われるリスクが高まるというコトです。
クリーン系でキッチリ聴かせられるほど弾くのは難しいというコトでして、よっぽどウデに自信がなければ僕のように、ただひたすら王道コースを邁進するのが無難であります。
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