100%正しいとは限らない? バンドスコアの正しい読み方

100%正しいとは限らない? バンドスコアの正しい読み方

好きなミュージシャンの曲をコピーしたコトがあるヒト(逆にしたコトがないギタリストにお目にかかったコトなどありませんが)や、コピーバンドを体験したコトがあるヒトなら誰もがお世話になっているバンドスコア。

オリジナル曲で勝負するギタリストであれば関係ない話ですが、僕のように100%コピーバンドとして音楽を楽しむギタリストにとっては、よほど易しい曲でない限りはバンドスコアをもとに練習するのが通例です。

ところが、実際にバンドスコアどおりに練習しても、原曲の音と同じ演奏にはならないと悩んだり、困ったりしたコトはないでしょうか?

あるいは、鳴っている音階が違うとかリズムが違うとか、絶対この運指でやっているハズがないと、自分の未熟さを棚に上げてバンドスコアの採譜が違うと責任転嫁したくなるコトも少なくない。

ところが、こうした違和感はあながちギタリスト側の責任転嫁ばかりとは言い切れない場合もあります。バンドスコアを妄信し、バンドスコアだけを頼りにした結果、弾けずに終わるというコトもあるからです。

そこで今回は、正しいバンドスコアとの付き合い方について綴っていきたいと思います。

 

バンドスコアどおりに弾いてもオリジナルと一致しない理由

エレキギターを始めた中学生の頃から現在に至るまで、ゆうに100曲を超えるコピーをしてきた中で(結局、弾けなかった曲を含めて)、バンドスコアに従って弾いても、実際に聴こえるフレーズどおりにはならない。そういった経験が少なくありませんでした。

エレキギターに限定した話ですが、バンドスコアが原曲と違ったアプローチになる理由については、以下のものが考えられます。

譜面を正しく読み取るコトができていない

まさしく、僕自身を指している理由の1つです。バンドスコアには全く責任はありません。音楽の授業で挫折して以来、正しい音楽理論が全く身についていないギタリストが陥るワナです。

正しく譜面が読めるギタリストは原曲を知らずとも、スコアだけで脳内ミュージックが流せます。

よほど興味関心があって勉強が好きなギタリストでない限り、正しくスコアを読むコトができるメンバーに頼んで代わりに解釈してもらうか、独力でオリジナル曲から再現するしかありません。

特に、JUDY & MARYのような難解なバンドのコピーに挑戦する場合、トリッキーなリズムの取り方やカッティングの空ピッキングの入れ方などについて、実際に聴こえてくる音を何度も聴き直して記憶に焼きつけます。

そして、暗唱できるほど焼きつけた記憶を再現するためにスコアを読み込み、どのように弾くかを探りながら弾くしか手はないでしょう。記憶ありきでスコアを辿る方法です。

音階は正しいが、押さえる箇所が一致していない

エレキギターやエレキベースの採譜は、通常の五線譜とは別に、弦に見立てた六線譜「タブ譜」と呼ばれる独特なスコアとなっています。ちなみに、クラシックギターにはタブ譜はありません。

クラシックギターの場合、五線譜をもとにギタリストが自分で識別して演奏しなければなりません。その音を出すためにどの弦を押さえるか、どのフレットで押さえるかを自分で探さねばなりません。

一方、エレキギターはタブ譜があり、押さえる箇所を教えてくれるワケです。

ところが、このタブ譜が曲者でして、バンドスコアに表記された押さえる箇所が本人と違う場合があるのです。つまり、同じ音になるけれど、例えば本人は1~3弦にまたがって演奏しているハズなのに、スコアどおり弾くと2~3弦で弾くように採譜されているという話になります。

同じ音だからイイじゃないかといいたくなりますが、採譜どおりにやると難しくて弾けないとか、弾きづらくて仕方がないという場合もあるのです。こうなると僕のような楽譜オンチはお手上げで、本人と同じ奏法でしか弾けないような難しいギターソロの前では絶望的になります。

このような場合に有効なのは、同じ曲が収録されているバンドスコアを出版社別に購入する手段であります。なぜなら、同じ曲であっても、出版社が違えば採譜者が違うため、見比べてみると全く違うアプローチで弾くよう指示されているからです。

余計な出費がかさんでしまうのが難点ですが、「いま使っているバンドスコアどおりに弾いても、どうしてもオリジナルのフレーズどおりにならない」と思う場合は、複数の楽譜を取り寄せて試奏してみましょう。その上で、正しい音が出る方や弾きやすい方のスコアで練習するのです。

音階の取り方は正しくても演奏方法が正しく採譜されていないバンドスコアを使用する場合、自分なりに弾き易いポジションがどこか、実際に弾きながら探す苦労を強いられるコトになります。

しかしながら悪いコトばかりではありません。1つ1つ音を拾い出していくという苦労をした分、長期的に記憶に残るというメリットがあります。

確か大学生の頃だったでしょうか、BOOWY「わがままジュリエット」のギターソロを耳コピで覚えたコトがありました。当時、自分で探り当てた運指を現在でも再現するコトができます。多分、一生モノで弾き続けるコトができるでしょう。

また、Spitzのギターリフやギターソロは、複雑なアルペジオ以外であれば耳コピ可能です。

例えば「空も飛べるはず」のイントロ。バンドスコアでは3~5弦、ローフレット上を縦に跨いで弾くよう採譜されていますが、僕は耳コピの結果、4~5弦をローフレットからミドルフレットへ横に動く弾き方をするコトにしました。

単弦で弾く場合、フレーズの要所でスライド(弦を押さえたままの指先を指板上で滑らせるテク)させるコトができます。複数弦を縦に跨いで音がブツブツ途切れるより、スライドで音を引きずるアプローチで演奏した方が、この曲のフンイキに合うからです。

正しく採譜されたスコアが必要な場合、洋楽中心の超絶技巧に偏りますが、迷わず「ヤングギター」を購入してください。映像解析まで取り入れていると思われる正確無比な採譜は、押さえる指まで完全指定してみせる精密さを誇ります。

なお、押さえる指まで指定しているギタースコアは、恐らくヤングギター以外に存在しません。

あえて原曲とは違う採譜がなされている

超絶技巧を繰り出すロックギタリストによっては、その場限りのインスピレーションでアプローチしたうちの1つが収録された曲というものがあります。当のギタリスト本人でさえ再現不能だろうと思われるほどの奇跡の1曲であります。

例えばL’Arc~en~Cielの代表曲、「Honey」のギターソロ。ファズ系エフェクターとワウペダルを使っているコトは判別できますが、あのフレーズは「その場のノリで勢い一発!」という緊張感がそのまま凝縮された印象があります。

あるいは、かろうじて再現可能ではあるもの、それを知らないヒトにとって聴覚だけでは再現不能と思えるような裏ワザを駆使して収録されたフレーズというものもあります。

例えばGLAYの名曲「Winter,again」のイントロのフレーズ。ディレイなど空間系エフェクトをかけ、フェルナンデス御用達のサスティナーによるフィードバック奏法をしていると想像しますが、どのように弾いているのかは皆目見当もつきません(※注)。

(※注)HISASIさんがテレビ番組でこの曲を再現しているところを拝見しましたが、まるで地吹雪が湧き上がるような最後の音はアーミングで思い切り弦を緩めておき、中指で6弦を弾いてアーミングを戻していく方法で弾いておられました。

このような曲のギターフレーズやギターソロについては、さすがの採譜者も謎なのでしょう。波線が上方あるいは下方に向けて五線譜あるいはタブ譜を横切るような表記や、「♪」の代わりに「×」で表記されているのを見かけます。

要は「バンドスコアで再現不能なギターフレーズやギターソロにつき、あとは自力で何とかしろ」というコトに他なりません。

このような場合は残念ながらマニアックかつコアなファンが運営しているサイトを探してヒントを得るか、ギタリスト本人が演奏している様子が収録された映像をもとに分析するしかありません。

具体的には、聴覚上だけでは演奏方法が不明な場合は映像をスロー再生して手元を確認するとか、再生速度を遅らせてフレーズを確認したりして再現するのです。

このような場合、意図的あるいは不可抗力的に原曲とは違う採譜がなされたバンドスコアを頼って再現するコトは事実上、不可能であります。

映像をもとに視覚を頼りにするか、あるいは耳コピで正しい演奏方法を探るしかありません。

 

スコアどおりに弾いて「違う」と思ったら、その直感を信じよ

今回、「バンドスコアが不正確だからコピーバンドのギタリストは苦労するんだ」という論旨ではないので誤解なきようお願いしたいのですが、音源をもとに第三者が採譜してバンドスコアが作成されるという工程を辿る以上、完璧を求める方が酷であります。

そのため、バンドスコアに違和感を覚えた場合、まずはその直感を信じるところから始めましょう。別な出版社が発行しているバンドスコアを入手したり、ギタリスト本人の映像を研究したりと試行錯誤を繰り返し、ようやくモノにできるプレイだってあるのです。

実際に弾けるようになって、やはり自分の違和感は正しかったと思える場合もあるでしょうし、逆にある程度弾けるようになって違和感を覚え、もう一度練習をやり直したらバンドスコアの採譜が正しかったというコトもあります。

しかしながら、いきなり正解に辿りつけるとは限りませんので、まずは自分の直感を信じ、未完成ではあるもののフンイキだけは再現できるように努めるコトが先決です。

いずれウデも上がってチエもついてきて、「もういちど、あのスコアを読み直してみようかな」と再挑戦し、その当時は再現不能だったフレーズが採譜されたとおりに弾けるようになる。

最初は楽譜オンチだった僕ですが、以上の繰り返しによって相当バンドスコアを正しく読み解けるようになってきました。そうするコトによって、かつて弾けなかったハズの曲をモノにできる確率が上がってきたのを実感しています。

つまり、難しいフレーズやリズムを習得するにあたり、以前のように耳コピだけに頼るのではなく、バンドスコアを頼りにして練習するコトができるようになってきたのです。

それでも現在もなお、バンドスコアと実際に聴こえるメロディが違うと思った場合、まずは直感を信じるコトにしています。

そして、上記のアプローチを繰り返すコトによって、弾けるようになるまで練習するのです。