ツインギターはバンドの2枚看板~その魅力に迫る

ツインギターはバンドの2枚看板~その魅力に迫る

挙げるとキリがない~バンドにおけるツインギターのメリット

僕が所属するバンドはヴォーカル層が厚く、複数のヴォーカルをステージに立たせるコトができる恵まれた面がある一方で、弦楽器のメンバー層が非常に薄いという悩みがあります。

もちろん、フルメンバーで活動できればこのような杞憂は一気に吹き飛ぶのですが、仕事や私生活に忙しいメンバー各位のプライベートを尊重しなければならない以上、僕のように仕事もソコソコ、時間に余裕を持たせやすい者は特に練習に参加しなければなりません。

バンドにおいて最重要なのはエレキギターよりもベースでして、エレキギターなしにアンサンブルは成立しますが、リズム隊のキモにしてメロディラインの要であるベースなしには成立しません。

そのため、貴重な弦楽器メンバーのひとりはベーシスト専任(弦楽器なら何でもこなせるヒト)、スラップなど絶対に弾けない僕がエレキギター専任という役割分担で活動しています。

それぞれが相応の腕利きにつき、あらゆるジャンルからステージで喜ばれそうなコピー曲を習得し、何かの機会でお誘いいただいて演奏しているところですが、「もし、もうひとりギタリストが加入してくれたらどんなにイイか」と思う機会は少なくありません。

ギタリストが増えようとも僕の立ち位置はまず変わらないところですが、ギタリストが追加され、ツインギターになるコトによってバンドが得られる恩恵は計り知れないものがあります。

ツインギターがもたらす恩恵についての事例を、以下のとおりご紹介したいと思います。

その効果は2倍どころか2乗に相当~バンドサウンドが分厚くなる

たった1本のギターが加わるだけで、オーディエンスの聴覚上は本数以上の音圧に響く

メンバーが多い方が視覚的に優位~ステージ映えするツインギター

ステージが広くなればなるほど、ギタリストの人数が多い方がバンドとして見栄えがする

バッキングとソロの役割分担~ギタリストの仕事が1/2で済む

複数の曲を演奏しなければならない場合、ギターソロを分担すれば負担が軽減される

ツインギターが奏でる美しい旋律、ユニゾンが生み出す圧巻プレイ

ユニゾンで速弾きを奏でるロックバンド、Ⅹ JAPAN

ツインギターがもたらす恩恵は上記のとおりですが、特筆すべきは「ツインギターだからこそ表現できる極上のサウンド」であります。その代表的なものが、ユニゾン(同じメロディラインを2つの音階でハモらせる)で演奏されるギターサウンドです。

今さら解説不要ですが、Ⅹ JAPANといえばツインギターならではの怒涛のユニゾンが圧巻です。奇抜なファッションや過激なパフォーマンスだけでない、卓越したテクに裏打ちされた美しい旋律。当時は高校生でしたが、あの時の衝撃は今でも鮮明に残っています。

Ⅹ JAPANは怒涛の16連符を基本とした高速リフで構成された曲が多いですが、ツインギターによる速弾きユニゾンのギターソロを堪能できる曲も多く発表されています。「WEEK END」や「紅」あたりが有名でしょう。

リードギターを担当していたHIDEさんがギターソロを披露する曲もまた名作揃いなのですが、ギタリスト目線でユニゾンによるギターソロ傑作を1つを挙げるなら、「SILENT JEALOUSY」をイチオシしたいと思います。

速すぎも遅すぎもしない絶妙なリズムキープ、速さよりもメロディアスな展開を重視したアレンジ、そして、当時のXには珍しかった、フルピッキングではなくチョーキングを多用したユニゾン構成。初期アルバム「BLUE BLOOD」の鬼気迫る怒涛の速弾きとは一味違う傑作です。

ちなみに僕が所属するバンドでは以前、当時の担当だった相談者が一緒に弾きたいというコトで、バンドメンバー2名と相談者による3人編成でⅩ JAPANの傑作バラード「ENDLESS RAIN」をコピーしたコトがありました。

ミドルテンポで構成されたユニゾンによるギターソロが印象的な一曲でしたが、「ツインギターの息をピッタリ合わせるのがこれほど難しいのか?」と嘆息した思い出がありました。

邦楽ロックバンドでは意外と少ない? ツインギターのユニゾン

洋楽のメタルシーンでは「ハロウィン」や「ドラゴンフォース」など、ツインギターによる速弾きユニゾンが多用された超絶技巧をウリにしているロックバンドが多数あります。僕も高校生の頃、ハロウィンのコピーを必死に取り組んでいました。

ところが、日本のロックバンドでツインギター編成のバンドはあっても、X JAPANのようにユニゾン主体によるギターソロをメインにするバンドはほとんどありません。音の厚みや役割分担を明確化する方向性に振っているバンドが圧倒的多数です。

1つ目のタイプは、LUNA SEAのようにリードギター(SUGIZOさん)とサイドギター(INORANさん)というように、役割分担をキッチリ決めているバンドです。

2つ目のタイプはGLAYのように、基本はHISASIさんがソロ担当ですが、「WINTER,AGAIN」はTAKUROさんがソロを弾くなど、曲によって役割を交代するバンドです。

LUNA SEAタイプのロックバンドは完全分業制です。ユニゾンによるギターソロを聴ける機会は少ないのですが、GLAYタイプのロックバンドなら、ギターソロを交代で弾いたりユニゾンで弾いたりするシーンが見られます。

とはいえ、GLAYがユニゾンアレンジしたギターサウンドを存分に楽しめる曲は「彼女のModern…」くらいのものでしょうか。

 

ある時はライバル、ある時はバディ~もうひとりのギタリスト

実力差がありすぎると双方にとって精神的負担になる場合も

バンドが長続きする最大の秘訣は「良好な人間関係が維持できるかどうか」でして、ここで揉めてしまうと「目指す音楽の方向性の違いから、僕らはそれぞれ別な道へ…」となります。

いい歳になった今でこそ、それなりにオトナとして振る舞いながら、スムーズなバンド活動を維持できるようになりましたが(それでも僕が癇癪を起こして迷惑をかける場面が少なからずありますが)、10代の頃はそうはいかず、些細なコトで喧嘩ばかりしていました。

モメたのは、コピーしたい曲が一致しないという不満や、リーダー強権主義による息苦しさによるものでしたが、そのリーダーだったギタリストとの実力差が非常に負担になっていったコトが脱退の最も大きな理由でした。

当時、僕を仲間に入れてくれたのは実力主義の洋楽ハードロックのコピーバンド。ブログの冒頭でジャーマンメタルの雄、ハロウィンのコピーに必死になって取り組んでいたというのはそのバンドに加入していた頃の話でした。

それでも必死に練習してどうにか自分のパートを習得。後日、たまたま同じコンテストに出ていた、ちょっと不良な同級生が「ゼロくんって洋モノ(洋楽)巧かったよね」と認めてくれたのがせめてもの救いでした。

ギタリストにとっては身近で競い合い、切磋琢磨できる関係

僕の高校時代のような我執と我欲の角突き合いにはならなくとも、ツインギターでユニゾンを行う場合、2人の実力が均等であるコトがユニゾンを美しく鳴らせる最低条件になります。

もちろん、機材をある程度は統一化するコトも重要で、例えばX JAPANのギタリストは2人ともハムバッキング搭載のエレキギターを使っていました(ちなみにHIDEさんは彼の代名詞になったモッキンバード、PATAさんはレスポール)。

しかしながら、やはり最後に課題となるのはツインギター2人の実力が同じであるコト、そこまでいかなくとも、特にユニゾンにおいては実力差がかけ離れていないコトが重要になります。

では、双方の実力差があまりにも開きすぎていた場合はどうすれば良いのでしょうか? お互いを尊重し合いながら、それぞれが担うべき役割を全うするしかありません。

巧い方は、そうでない方に弾き方を教え、本番では息を合わせ、巧いからこそ可能な配慮をする。一方で、そうでない側は巧い側に弾き方を実演してもらい、自分のパートを弾き切れるよう必死に個人練習に没頭する。

Ⅹ JAPANのHIDEさんも美しいユニゾンを速弾きでこなすため、必死に練習したそうです。圧巻の超絶技巧を惜しみなく披露するプロでさえそうなのですから、われわれのようなアマチュアが苦慮するのも当然といえましょう。

ある程度の実力差が埋まってくれば双方の精神的負担は軽減していくものですが、そこに到達するまでは地道な反復練習あるのみです。

いずれにせよ、ツインギターが成立するのは、ギタリスト2人の相互理解があってこそのものです。そして、ツインギター編成は、それ自体が非常に恵まれた環境にあります。

時に乗り越えたい身近なライバルとして、時にかけがえのないバディとして、切磋琢磨しながら、ツインギターならではの素晴らしい演奏を披露してほしいと思います。