バインディングを塗装で再現する方法について

バインディングを塗装で再現する方法について

レスポール・スタンダードが最も成功率の高い塗装スタイル

一見とてもカンタンに見えるが、とても難易度が高いスプレー塗装

当ブログの関連記事「エレキギター自作の最難関~素人でもうまくいく塗装のコツ」で存分に紹介させていただいておりますが、自作派泣かせの工程が塗装であります。

スプレーガンやコンプレッサーを使用する以外で考えられる塗装方法を試してみて、最も難易度が高く、何度やっても失敗の繰り返しだったのが市販の缶スプレーを使用したスプレー塗装でした。

まず、ボディやネックに対して均一に塗装を重ねていくのが非常に難しい。次に、気温や湿度など気象条件によるのでしょうが、塗装後すぐ塗装がパキパキとひび割れ、柚子の表面のようなスジが入ったりしてしまう。こうなるとサンドペーパーで研磨してやり直しするしかありません。

上記の関連記事では難易度別に僕の失敗体験を余すコトなく綴っていますが、初心者が確実に成功できる塗装は、レスポール・スタンダードモデルに限定されますが、オリジナル同様にツートンカラーで塗り分けする方法です。

難易度でいえば、僕がいつもお世話になっているHOSCO製は非常にトラ目の木目が美しいので、最も容易な方法としてニス塗りをオススメします。ボディトップをメイプルなどの明色系、バインディング以下及びネック裏側をチークなど暗色系のニスで着色するとソレっぽい仕上がりに。

遠くから見ればソレっぽいという雰囲気イケメン風ですが、ポアーステインを使ってサンバースト風に仕上げる高等テクニックもあります。ボディ中心部をイエロー、それ以外をダークブラウンやオールナット、2色の境界線をグラデーションっぽく仕上げられたら成功です。

成功率が低いのでオススメしませんが、仮にしくじったとしても、上からゴールドでスプレー塗装すれば、渋いゴールドトップの50年代レスポール風に生まれ変わります(過去に何度もそうやってリカバリーしてきました)。

塗装の成否を分けるのはマスキングテープの使い方次第

レスポール・スタンダードモデルはボディエンドにバインディング(セルロイド製の細長い板状の縁取り)加工がなされているので、ちょうどそのあたりを境界線とし、塗装方法を問わず、まずはマスキングテープでバインディングを含めたサイド全体をカバーします。

多少、塗装がバインディング部分に付着してもリカバリーできます(細目のサンドペーパーで磨けばカンタンにキレイに処理可能)が、あらかじめマスキングテープでカバーしておけば余計な作業を省くコトができます。

ボディトップの塗装が乾いたらカバーしたマスキングテープを剥がし、サイドやバックを塗装する前に極細のマスキングテープをうまく使い、バインディング箇所のみカバーします。

ボディトップに向かって多少長さが余っても大丈夫です。むしろ、余らせておいた方が、塗装したニスの水滴がボディトップに溜まらずに済みます。余ったマスキングテープ側面に水滴が溜まり、ボディトップを汚しません。

ニス塗り工程の大敵は塗りすぎです。塗料が垂れ落ちてしまわないよう、薄く塗って乾くのを待ち、また薄く塗って乾くのを待つ工程を繰り返し、時間と手間ヒマを惜しまない根気が求められます。とにかく、焦りは禁物です。

 

バインディング加工がなされていないボディにツートンカラーを施す

ストラトなど、曲線的かつ三次元的なタイプは全面スプレー塗装で

バインディング風の塗装を施す際、それが可能なモデルは限られています。ボディトップとボディサイドが平滑かつ直線的なデザインのエレキギターで、ギブソン系のレスポール全般やフライングⅤ、フェンダー系のテレキャスターが該当します。

一方、ストラトキャスターのように、ボディサイドが曲線的で滑らかなエッジ加工がなされており、しかもエルボー部分が斜めにカットされている複雑なデザインのエレキギターはツートンカラーの塗装はオススメしません。

以下、バインディング風の塗装方法について解説しますが、ストラトキャスターのように曲線的で三次元的カットがなされているエレキギターの場合、作業工程があまりにも高度になりすぎるからです。

フェンダーがリリースする近代的デザインのモデルにバインディング加工を施したものがありますが、プロのクラフトマンの加工技術あってのものです。しかも、エルボーカットを施していませんので(レスポールのようなアーチ加工)、ボディ造形が根本から違います。

というワケで、ストラトモデルのキットを購入した場合は全面スプレー塗装で乗り切りましょう。安価なキットのボディは複数の木材を張り合わせ、しかも木目を整えられていないので、見た目が美しくないためシースルー加工はオススメしません。

マスキングテープの使い方がキモ~バインディング風の塗装方法

上記のいずれかの該当モデルのキットを購入したものと仮定して、いよいよ本論に入ります。なお、どのモデルであっても、施す工程やその手順はすべて同じです。

なお、僕が参考にしたのは58年式フライングⅤのスタンダードモデルでした。コントロールノブの個数や配置がレスポール・スタンダードモデルと同じ、50年代ゴールドトップのレスポールをそのままフライングⅤにアレンジしたルックスです。

もちろん、精度はオリジナルと比較するまでもありません。間近で凝視すれば塗装ミスやヒビ割れ、細かな凸凹ばかりが目立ちますが、今でもライヴの相棒として僕に寄り添う1本です。

さて、バインディング風の塗装を行う際に用意する道具は次のとおりです。いずれも100円単位で、身近なホームセンターで購入できます。

ホワイト系の水性エナメル塗料

疑似バインディングの塗装に使います。アイボリーやミルクホワイトなど種類があるので、好みのものを選んでください。レスポール系のキットの場合、ネックにもバインディングが施されているものがあります。同系色で統一した方が見栄えがするので、選ぶ際に考慮すべきです。

細めと太めのマスキングテープ

ボディサイドを大きくカバーするなら太めですが、疑似バインディングを施す前のマスキング作業をするのであれば細めの方がやりやすいです。後述しますが、まずは細めを使ってバインディング塗装を施す箇所を縁取ってから、その下を太めのマスキングテープでカバーします。

水彩画用の平筆(0号~2号あたり)

入手しやすいのは絵の具を塗る際に使う平筆です。丸筆は塗料を塗る際に毛先がグニャリと曲がり、コシがなくて使いづらいので平筆を使います。なお、上記のエナメル塗装は水性を選びましょう。水でサッと筆を洗うだけで後始末が手軽だからです。

 

バインディングを塗装で再現する工程について

最も肝心なのはバインディングの太さ~慎重に検討してから決める

バインディング風の塗装工程をまとめますと、ざっと以下のとおりであります。列挙してみると、これほど多くの工程が必要なるコトにあらためて驚きます。

バインディングの幅を決めて、その幅で塗装できるようマスキングを施す

まずは、細目のマスキングテープでバインディングの境界線をカバーしていきます。次に、太めのマスキングテープでボディサイドをカバーします。これで下準備は完了です。

マスキング上方、ボディサイドに水性エナメル塗料を薄く塗り重ねていく

塗装の原則、塗りすぎによる塗料の垂れに気をつけながら、水で薄めに溶いたエナメル塗料を塗り、乾いてから重ね塗りをする繰り返しを行います。

重ね塗りが終わって塗装が乾いたら、マスキングをゆっくりと剥がしていく

一気に剥がすと、そのはずみで塗装がテープに引っ張られて、剥がれるおそれがあります。剥がし終わった後に塗装をチェックし、欠けた箇所は適宜マスキングテープでカバーして補正します。

ボディサイドとの境界になるように、バインディング塗装の上にマスキング

ボディサイド及びボディバックにニス塗装を施す準備として、バインディングにニスが付着しないようにマスキングでカバーします。ここも細目のマスキングテープを使います。

ボディサイド及びボディバックに水性ウレタンニスを薄く重ね塗りしていく

ここでも塗りすぎて塗料が垂れないよう、薄く塗って乾くのを待つ根気強く繰り返していきます。

重ね塗りが終わって塗装が乾いたら、マスキングをゆっくりと剥がしていく

上記のバインディング塗装後と同様、慎重に剥がします。

ボディサイド全体をマスキングし、ボディトップを塗装

マスキングの前に、ボディトップに付着したバインディング塗装がないかチェックします。サンドペーパーで研磨し、表面をならしてからスプレーまたはニスで塗装します。

ボディトップの塗装が終わって乾いたら、マスキングをゆっくり剥がしていく

最終チェックをして一部修正等を施したら、バインディング塗装の工程は終了となります。

最後に~バインディングの幅は、細すぎよりも太すぎに注意

以上の工程で最も重要なのは最初の工程、バインディングの太さを何ミリにするか決める判断です。ここで判断を見誤ると、塗装を最初からやり直しするコトになります。

僕はフライングⅤモデルで初めてのバインディング塗装を施したのですが、その幅を10ミリで設定して大失敗。非常に違和感がある仕上がりになったので、ちょうど半分の5ミリで再加工。

まずは水性ウレタンニスを5ミリ分で上塗りしたのですが、何度上塗りしても、着色箇所とそうでない箇所で明らかに色が違ったままに。結局、せっかく塗装したボディサイドをサンドペーパーで削り、泣く泣く最初からやり直し。

バインディングの太さですが、計測してみますとHOSCO製のレスポールモデルは約4ミリです。あまり太いと失敗になりますので、5ミリ以下で設定すると自然に仕上がります。

そもそも暗色系のニス塗装にホワイト系のバインディングが縁取るワケですから、反対色の原則によって、実物よりも細めでも充分にその存在感を発揮します。