ギターボーカル向きのエレキギターについて考察してみると

ギターボーカル向きのエレキギターについて考察してみると

ギターボーカルが好んで使うエレキギターとは

バンド編成における「3人目のギタリスト」といえる存在がギターボーカルです。例えばSpitzの草野マサムネさんは日本を代表するギターボーカルの1人です。

エレキギターを構える時もあれば、アコースティックギターを構える時もあり、曲ごとに多彩なギターを使い分けます。

アコースティックギターやエレアコがボーカルと親和性があるのは当然ですので、どのメーカーの何のモデルを使おうが融通が利きます。

一方、アンプラグドでない場合、以下の関連記事に記載の理由からエレアコが断然有利です。

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一方、エレキギターを使う場合はどうでしょうか。

草野マサムネさんはプロモーションビデオでは実に多彩なエレキギターを使っています。ステージでもギブソン系からフェンダー系まで幅広く使っています。

使用するエレキギターに特にこだわりを持っておられないと思われますが、ライヴ映像を確認する限り、ハムバッカー搭載モデルを多く使っているようです。

しかしながら、それもまた「たまたま」そうなったというくらいの話なのかも知れません。

ギターアンプやエフェクターを駆使するコトによって、いかようにもサウンドメイクが可能なのがエレキギターですので、そのボーカルが使いたいと思う1本を使えばイイ話ではあります。

とはいえ、それはあくまで生粋のボーカリストの思考論理です。エレキギターを複数持つギタリストがボーカルを取る場合、数あるコレクションからどれを選ぶべきか悩むコトも。

そこで今回はエレキギターそのものにこだわり、ギターボーカル向きのエレキギターがあるのか、その判断基準をどのように見据えたら良いのか、綴りたいと思います。

定番なのはストラト・テレキャス・レスポールジュニア・ES-335

草野マサムネさんのような使用メーカーもモデルも多種多様なギターボーカルというのは少数派。

サザンオールスターズの桑田佳祐さんの定番といえばテレキャスター、Charさんならストラトあるいはマスタングというようにフェンダー系が多いです。

日本だけでなく、世界的にもギターボーカルの定番はテレキャスターで、ローリングストーンズのキース・リチャーズやブルース・スプリングティーンといった大御所の御用達でもあります。

一方、ギブソン系でのギターボーカルのイメージといえばレスポールジュニアでしょうか。

あとはES-335が挙げられます。ロックンロールの師父チャック・ベリーや、元オアシスのノエル・ギャラガーが有名です。日本人では福山雅治さんが使用しています。

 

ギターボーカルが好んで使うエレキギターが有する2つの特徴

ギターボーカルの定義を「ギターも弾けるボーカリスト」とするのか、「歌も歌えるギタリスト」とするのかによって、その論点が大きくブレてしまいます。

そこで今回は、あくまで前者に限定して話を進めます。

ギターも弾けるボーカリストであれば、当然ですが歌うことが主たる役割となります。

となれば、イントロのリフやギターソロなど歌っていない場面でない限り、弾き語り的なコード弾きやパワーコードをリフで刻むといった演奏が中心になります。

そうなると、見せ場となるギターソロも担当するというシチュエーションでない限り、エレアコ的アプローチがギターボーカルの主たる演奏になります。

従って、こうした演奏に向いていると思われるエレキギターを選べばイイという話になります。

以上の前提をふまえて、世界的な定番として使われているエレキギターが有する特徴を列挙すると下記のとおりになります。

シングルコイルが搭載されている

ストラトキャスターやテレキャスターは、チューブアンプの温かみがあるクランチサウンドで真価を発揮するシングルコイルが搭載されています。

また、切れ味がよく音の分離にも優れているため、コード弾きにも向いています。

一方、レスポールジュニアには一見ハムバッカーのようなデザインですが、ギブソン独自の技術で進化を遂げたシングルコイル、P-90が搭載されています。

フェンダー系に比べると、パワフルで中音域に特色があります。

高音域に特色があるフェンダー系のエレキギターとは異なるセッティングになりますが、艶やかでまろやかなシングルコイルのサウンドを好むギターボーカルが好んで使っています。

いずれにせよ、生楽器に近い状態で鳴らしてこそ真価を発揮するシングルコイルの特性がボーカルと高い親和性を発揮するのでしょう。そのあたりの特性が好まれているのだと思います。

ハムバッカー搭載だが、ボディがセミホロウ構造

以上のモデルとは異なりフロント・リアともにハムバッカーを搭載しているES-335ですが、好んで使うギターボーカルも少なくありません。

福山雅治さんの他、秦基博さんや斉藤和義さんもES-335使いのギターボーカルです。

パワフルすぎてボーカルより強すぎる特性から、本来であればギターボーカルに不向きと思われるハムバッカー。

しかしながら、ES-335のボディはレスポール系と大きく異なるセミホロウ構造です。コレがギターボーカルと高い親和性を発揮するコトになるのです。

クリーン系サウンドでは無味乾燥、歪ませてこそ真価を発揮するソリッド構造のレスポールと違い、ボディ内部で弦振動を共鳴させてピックアップにフィードバックするセミホロウ構造。

エレアコとエレキギターのハイブリッド版といえます。

その上、ハムバッカーの特性、甘く響く中音域も活かせるというのがES-335の魅力です。

クランチ系でも使えて、空間系エフェクトであっても使えるという実に美味しいギターなのです。だからこそ、あのような高価な価格設定になるのでしょうが。

 

ギターボーカルのサウンドメイクにおけるポイント

少々こじつけではないかと思われる向きもありますが、プロのミュージシャンが好んで使う以上、そこには然るべき理由があると考えるべきでしょう。

流行りや誰かの影響など、イメージ上の理由だけではないハズです。

最後に、ギターボーカルとして使用するエレキギターを最大限に活用するためのサウンドメイクについて、配慮すべきポイントを綴っておきたいと思います。

エレキギター本来の音を重視し、エフェクトは最小限に

ギターボーカルが歪み系エフェクトを使うかどうかについて悩むところがあるでしょうが、ギターアンプがチューブアンプかどうかで使用の是非を決めるのが良いでしょう。

チューブアンプが使えて、ギターアンプだけでクランチサウンドが出せるなら空間系エフェクトを抑え目に使い、ソリッドステートアンプなら歪み系エフェクトを抑え目に使うのが基本です。

エレアコやアコースティックギターの場合は、当然ながら歪み系エフェクトもクランチサウンドも一切使えません。せっかくエレキギターを使うのですからクランチを存分に活かしましょう。

とはいえ、歪みを強くしすぎると肝心のボーカルを打ち消しかねません。あくまでも隠し味で。

ピックアップのポジションはリアのみ使用

独特なこもり特性のあるフロントピックアップは、ギターソロなどボーカル以外で使うべきです。

ギターボーカルに専念するのであれば、リアピックアップ主体で鳴らしましょう。

リアピックアップは、アルペジオで鳴らした場合は音の分離が良く、アコースティックギター的な手首をストロークさせるコード弾きで鳴らした場合も小気味よいサウンドを鳴らしてくれます。

リアピックアップは1基のみ、シンプル・イズ・ベストを絵に描いたようなレスポールジュニアを使うギターボーカルは、その意味で実に理に叶っているというワケです。