モニタリング訪問で行う「もうひとつのアウトプット」

モニタリング訪問で行う「もうひとつのアウトプット」

計画相談支援が主たる業務でなかった前職ではできなかった仕事を存分にやろうと思い、支給決定を受けた分のモニタリングはもれなく実施しています。入院や体調不良など本人からのキャンセルがない限り、自宅訪問して相談者やその家族と会う機会を設けています。

モニタリングは作成したサービス等利用計画の振り返りや見直しを行うために実施するものでして、換言するならケアマネジメントサイクルにおける「評価」を司るものであります。

評価を行うためには然るべき情報が必要でして、そのために担当ケアマネは本人やその家族と会い、そして障害福祉サービス提供事業所からのヒアリングを行います。場合によってはサービス利用の様子を視察し、あるいは支援者に直接会って詳細な情報収集を行うコトもあります。

なお、その際に配慮すべき点については過去ブログで詳しく綴っておりますので、併せてご参考に。

〔参考記事〕相談者に心待ちにしてもらえるモニタリングについて→コチラ

モニタリングの流れは、まず情報収集という入力処理(インプット)を行い、そのデータをもとに評価し、最後にモニタリング報告書を作成して行政に提出するという出力処理(アウトプット)を行います。

以上、ここまでがモニタリングの流れなのですが、前職以上に数多くのモニタリング訪問を行い、そこから得た教訓をもとに、通常のアウトプットとは別に「もうひとつのアウトプット」実施するよう心掛けるようになりました。

ここでいうところの「もうひとつのアウトプット」とは「家族への報告」です。

 

知っているようで実は知らない、通所先での相談者の様子

よくあるパターンは「横着者の息子と心配症の母」

コレは相談者の性別によるところが大きいと思われますが、ざっくばらんな会話が絶えない母と娘の関係とは違い、母と息子の関係は一方方向の関係になりがちであります。母から「今日はどんな仕事をしたの?」と聞いても返事がない。せいぜい頷くか、一言二言を口にするのみ。

モニタリングにおけるヒアリングの際、特に日中系と呼ばれる福祉就労所での通所サービスを利用している相談者から通所先での作業メニューの詳細や提供されるサービスの満足度について確認をしなければなりませんが、本人が答えなければ確認のしようがありません。

通所していない時間帯に相談者がどのように過ごしているのかについては、本人からの返答が充分得られない場合に家族から代わりに答えてもらうコトもありますが、通所している間のエピソードは本人からの自己申告がなければ家族も返答のしようがありません。

相談者の性格も十人十色でして、今日どんな作業をしてきたとコト細かに報告するヒトもいれば、いくら家族が訊ねてもまったく答えてくれないというヒトもいます。

きちんと統計を取っているワケではありませんのであくまでも僕の感触ですが、この傾向は上記で綴ったとおり、相談者が男性でキーパーソンが母親の場合に最も顕著であります。何を訊いても、息子はウンともスンともいわない嘆くお母さまのいかに多いコトか。

「いちいち答える必要はないだろ?」と横着をしているヒトも中にはいるでしょうが、障害特性によってこうした会話が家族間でさえ苦手に感じる相談者もいます。知的障害があるヒトや自閉症の診断を受けているヒトに多く見られる傾向です。

また、あくまで相談者が息子でキーパーソンが母親の場合が多いというコトであり、例えば娘でも「昨日と同じ」としか返事が返ってこないと嘆くお母さまもおられます。

苦手なコトをムリヤリやってくださいというのも酷な話ですし、そこでわれわれ障害者ケアマネの出番となります。通所先での相談者の様子をしっかり視察し、その結果をキッチリ報告するのです。モニタリング訪問の際に同席しているキーパーソンに対して。

「現場に行かなければ絶対に知り得ない相談者のリアル」を伝える

つい先日、新規契約させていただいて間もないコウサクさん(もちろん仮名)のモニタリング訪問を実施しました。新規相談というコトで連続3ヶ月モニタリングの2回目でした。キーパーソンはお母さまです。

コウサクさんは20代後半の男性相談者で軽度の知的障害があり、機械の取り扱いがとても上手なヒトなのですが、対人コミュニケーションに強い苦手意識があるヒトでもあります。質問した僕に対して、ジッと一瞥して黙ってしまうコトが多々ありました。

このように非常にシャイなコウサクさんですので、「うちの子、ホントにちゃんと仕事できてるの?」といった心配を抱えておられました。コウサクさん宅はご両親が共働きですので、なかなか見学に行く時間が取れないとのコト。

1回目のモニタリング訪問でそのような懸念を口にしておられたので、「だったら次回は手土産を持ってお邪魔しよう」と思った次第です。2回目となるモニタリング訪問の数日前、コウサクさんの作業の様子を視察するコトにしました。

母親としては息子がきちんと指示された作業をこなしているのか知りたい。でも、訊いても返答がないし、あっても要領を得ないところがあって良く判らない。このような母親のモヤモヤした思いを払拭したいと思ったのした。

僕が視察に出向いた日は施設外就労というコトで建築会社の産業廃棄物として収集したゴミ袋からすべてのゴミを取り出して10種類以上に分別する作業をしていました。

屋根のない炎天下、コウサクさんは一心不乱に作業に取り組んでいます。ゴミ分別がひと段落した後はリサイクル回収してきた家具の分解作業を始めました。

コウサクさんの様子を確認するコトができたのは、その解体作業でのコトでした。電動ドライバーを使って化粧板を剥がし、ネジ止めされた本体を解体する途中で社員に「コレ、どうやったらイイんですか?」と自分から質問していたのです。

それまで、僕の前では一切口を開くコトはなく、質問に無言のまま頷くだけだったコウサクさんが、誰から指示されるでもなく、自発的に社員に質問し(大変失礼ながら、しかも敬語で)、やり方を教わっていたのです。

しっかりお土産を持ち帰るコトができた僕は、2回目のモニタリング訪問をした際、事前に視察をした件を前置きし、コウサクさんのリアルをできる限り詳細にお母さまへご報告申し上げました。「きちんとできてるんですね。安心しました」とのご感想をいただきました。

ご家族に話を聴きっぱなしで終わるのではなく、こちらからもご家族に知っていただくコトもまたモニタリング訪問を行う意義があるというもの。そんな都合のイイ解釈で視察したのですが、僕も収穫がありました。想定外のリアルを知るコトができたので。

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僕は現時点において、今回ご紹介したコウサクさんだけでなく、その必要があると判断すれば他の相談者につきましてもまったく同様の取り組みを行っています。視察したり支援者からヒアリングしたりするコトで得られた情報を家族に伝える取り組みを。

せっかく双方が一定の時間を割いてモニタリングを実施するのですから、得られるモノは1つでも多い方がイイに決まっています。

「もうひとつのアウトプット」は家族にとって貴重なオプションになる。そう信じて。