バンドのギタリスト、あえてエレキギターを駆使する弾き語り

バンドのギタリスト、あえてエレキギターを駆使する弾き語り

バリバリの歪みサウンドでステージを盛り上げるのがライヴの醍醐味の1つですが、セットリストにバラードも加え、静寂を前面に押し出した曲を披露するのもオツなものであります。

その際、エレキギターからエレクトリック・アコースティックギター(以下「エレアコ」)に持ち換えて弾き語りをするのが定番です。

しかしながら今回は、あえてエレキギターのままで弾き語りを行う意義や、サウンドメイクの考え方について綴りたいと思います。

経済的な事情によって複数ギターを所有できないヒトや、エレアコとは違う方向性での弾き語りをバンドスタイルで行いたいヒト向けの内容ですので、参考にしていただければ幸いです。

 

エレアコを使わず、エレキギターで弾き語りをする意義

エレアコっぽく鳴らすなら、機材で疑似的に表現する手もある

今回のテーマは「バンドのスタイルで弾き語りをするケース」を中心に綴っていきます。

しかしながら、エレキギターのクリーンサウンドで弾き語りを1曲やってみるという場合は特殊系エフェクターを駆使し、エレアコのようなサウンドを鳴らす手もあります。

それにうってつけなのが「アコースティック・シミュレーター」と呼ばれるエフェクターです。

実際、僕も一時期、BOSSの「AC-3」というエフェクターを使っていました。エレキギターの音をアコースティックギターっぽく変換するものです。

僕のセッティングが甘かったコトもあるでしょうが、あくまでも疑似的なものであり、ホンモノのエレアコには音質的に及びません。「なんちゃってエレアコ」で割り切って使えるヒト向けです。

たった1曲のためにエレアコまで用意していられないという場合は重宝します。

エレキギターの弾き語りは、リズム隊が揃ってこそ成立

「小さなオーケストラ」とも呼ばれるアコースティックギターは、エレアコも含め、ギター1本で伴奏が成立する音が鳴らせます。

ところが、エレキギターはドラムやベースなどのリズム隊がいなければ成立しません。

逆にいえば、リズム隊さえ揃っていれば、セッティング次第で充分にエレキギターでの弾き語りを成立させるコトができます。

ただし、その方向性や基本的な考え方が間違っていないコトが大前提となります。

 

エレキギターの弾き語りに効果的なエフェクターとセッティング

エレキギターの弾き語りを効果的に行うためのセッティング、その方向性や基本的な考え方とは、「ヴォーカルを引き立たせるコトを最優先に」という点であります。

通常ではバンドの花形として、いかに個性を際立たせるか苦心するのが本来のエレキギターですが、弾き語りの際だけはエレキギターが主役になってはいけません。

ヴォーカルを引き立たせるため、場合によってはヴォーカルの声質を考慮したサウンドメイクが求められます。

なお、エレキギターはいくらでも増幅できる一方、ヴォーカルの肉声には限界があります。エレキギターの音が「強く」なりすぎないコトを前提にセッティングを煮詰める必要があります。

ヴォーカルの声質や声量を考慮しながら、以下の3種類のエフェクターを使いこなすコトによって、エレキギターを駆使した弾き語りを追求してみましょう。

たとえピッキングやフィンガリングを普段よりも簡素化し、極力シンプルな演奏に終始したとしても、歌いながらエレキギターを鳴らすのは想像以上の難易度だと気付くハズです。

このように、弾き語りは普段の練習メニューではなかなか経験できない、テクニックを磨くためのよい練習になると思います。

歪み系エフェクター

歪み系エフェクターを使うかどうか? それがエレアコとエレキギターの最大の違いとなります。試してみれば判りますが、エレアコで歪み系エフェクターを使うと音が割れてしまいます。

エレアコでは破綻するだけの歪み系エフェクターですが、エレキギターで使えば絶妙なアクセントになります。

ゲインを抑え目にクランチでセッティングし、実際に弾き語りしてヴォーカルより強くならないようレベルを調整しましょう。

歪み系エフェクターの効き具合を左右するのが搭載されているピックアップの特性です。ハムバッカーは分厚く高出力傾向にあるため歪みも強くなりがちです。

弾き語りにはシングルコイルの方がヴォーカルとの親和性が高いです。

また、同じシングルコイルでもヴィンテージの低出力モデルからディマジオやダンカンなどのメーカーがリリースする高出力モデルまでさまざまです。

所持するエレキギターの特性を勘案し、理想のクランチを見つけてください。

空間系エフェクター

弾き語りでは、エコー系ではなくディレイ系のエフェクターを使ってみましょう。カッティングがとても心地よく響きます。音がキレイに分離するよう、レベルの上げすぎには要注意です。

セッティングのコツは、料理でいうところの「隠し味」的な効果を狙います。

ディレイのタイムを短くセッティングし、デプス・フィードバッグともに抑え目にしながらヴォーカルと合わせてみましょう。

なお、弾き語りをアルペジオ中心で展開する場合、ディレイが強すぎると音が重複し、1つ1つの単音がキレイに分離して聴こえなくなるので絶妙なセッティングを心がけます。

モジュレーション系エフェクター

ローランドの傑作ギターアンプ、ジャズコーラスを使うコトができればエフェクターは不要ですが、そうでない場合はコーラスやトレモロといったモジュレーション系エフェクターを使います。

音にツヤがでて、角が取れた、鈴なりのまろやかな音質にもなります。

カッティングでも心地よいサウンドが楽しめますが、特にモジュレーション系エフェクターが本領を発揮するのはアルペジオで演奏すると、極上の鈴鳴りサウンドが楽しめます。

具体的には、Spitzの「ロビンソン」「君が思い出になる前に」「冷たい頬」あたりの名曲を思い出していただければ音のイメージがしやすいと思います。

特に「君が思い出になる前に」のイントロはモジュレーション系エフェクターを強調したサウンドメイクになっています。セッティングのヒントとして、ぜひともご参考に。