相談者が分けてくれる元気、それこそが社会福祉士の励み

相談者が分けてくれる元気、それこそが社会福祉士の励み

障害者ケアマネの密かな楽しみ、モニタリング訪問

計画相談支援において、自宅訪問して相談者やその家族から聴き取りし、サービス提供事業所から支援状況を聴き取りしたりしながら、サービス等利用計画の内容が妥当か、見直しを必要とするか、定期的に振り返るコトが義務付けられています。これがモニタリングです。

前職では個別相談以外にもやるべき仕事が山積している中、最低限の申し訳程度にしか実施できていなかったモニタリング訪問やサービス利用状況の視察を可能な限り実施できるようになった現在、ケアマネジメントが本当に奥深い仕事だと改めて気づいた次第であります。

毎月開催が原則となっている介護保険のケアマネジメントとは異なり、障害福祉ではモニタリングが3ヶ月に1回または6ヶ月に1回が原則なのですが(ただし新規で計画相談支援を導入した場合は最初の3ヶ月に限り毎月モニタリングが可能)、それでも相当なペースです。

順調なサービス利用ができている相談者の自宅へ訪問した際はほとんどお茶飲みで雑談に花が咲き、一瞬、何をしに自宅訪問しているのか忘れるほどサービス利用とは関係ない話で盛り上がるコトもしばしば。相談者あるいは家族のどなたかが話好きだった場合は1時間超の滞在に。

そうした中、僕のような少々くたびれた中年ケアマネにとびきり旺盛な生命力を分けてくれるかのように元気いっぱいの相談者宅へモニタリング訪問するのが密かな楽しみになっています。

 

意外と多い、何が何でも仕事は休みたくないヒトたち

統合失調症やうつ病など、精神疾患で定期受診している相談者は非常にナイーヴかつセンシティヴなヒトたちですので、ストレスへの弱さ、気分の浮き沈み、人一倍疲れやすいといった症状があるため、福祉就労所へのコンスタントな通所が難しいところがあります。

一方、統合失調症やうつ症状とは無縁な相談者、特に身体的には健康な知的障害の相談者の中には、福祉就労所への通所が楽しくて仕方ないというヒトや、少々の体調不良では絶対に休まないというヒトや、定期受診ですら仕事に行けないという妨げにしか思えないヒトがいます。

過去ブログ「愛着障害に苦しむ相談者にどう向き合っていくべきか」で登場したポン子さんの他、仕事が休みとなる週末や盆正月がヒマで何もするコトがなくて苦痛に感じるほど、早く仕事に行きたいと思う相談者は前職でも数名いました。

そして現在、ポン子さんとはまるで違うタイプですが、彼女と同じく「仕事は絶対に休みたくない」と福祉就労所に毎日元気に通っている女性相談者がナッツさん(当然ですが仮名)です。

ナッツさんは僕のようなオトナの前ではいつも無言、質問には頷くのみで会話のキャッチボールが難しいヒトですが、福祉就労所のスタッフの話では同年代の利用者や視察に来た母校の進路担当の教諭の前では「ものすごく喋る」らしいヒトでもあります。

ナッツさんは今年3月に高等養護学校を卒業し、4月を待たずに福祉就労所へ通所を開始しました。実質、春休みは1週間程度しかなかった計算になりますが、本人はそれで納得しているようでした。

新規で計画相談支援を導入したのでナッツさん宅へのモニタリング訪問は連続3ヶ月にわたり毎月実施してきたのですが、僕の質問に対する返答を隣に座る母親を経由して伝えるという繰り返しがしばらく続いています。先月、ようやく僕へ返答してくれるようになりました。

その間、ナッツさんの福祉的就労については母親が代わりに答えてくれたのですが、支援者からのヒアリングと同じく、2ヶ月目から腹痛を起こしてしまい、4月は2日、5月は1日で休んだとのコトでした。

しかしながら6月は違いました。お医者さんから処方された腹痛を和らげる薬を飲み、多少の痛みを堪えてでも「仕事は絶対休みたくない!」と、心配する母親をよそに通所したとのコトでした。

もちろん、それだけ楽しく面白く仕事ができる作業メニューを組んでくれるサービス提供事業所の功績は大きいのですが、職場体験で複数の事業所を体験した上で「ココがイイ」と、本人の意向が尊重されたコトもまた大きいと思われます。

母親の話では、元々ナッツさんは学校へ通うのも大好きだったようで、小・中・高と皆勤賞を達成。どちらかといえば学校へ行くのがイヤで仕方がなかった僕の10代とは大違いです。

 

相談者が元気に働く「まっすぐな熱意」が相談員の活力に

わがマチでも特に支援困難な相談者がひっきりなしに舞い込む激戦区で9年間を過ごした前職とは違い、比較的サービス利用も日常生活もつつがなく順調な相談者がほとんどですが、その中で特に仕事への高い情熱と若さゆえの無尽蔵に湧き上がる元気を分けてくれるナッツさん。

僕に元気いっぱいの様子を見せてくれるのはもう少し先の話になりそうですが、母親やスタッフの話を聞かせてもらうだけでも僕に元気を与えてくれます。

このように、「絶対に仕事を休みたくない!」というナッツさんのようなタイプの相談者もいれば、「毎日いろんな仕事をやらせてもらって、楽しくて仕方ない」というタイプの男性相談者も。

その男性相談者は過去に過ちを犯してしまい、その罪を償った上で僕の担当となったヒトでした。僕より若いですが同年代で、服役していた時間を取り戻すかのように、福祉就労所へ休むコトなく通っています。

担当相談者から元気をもらっているばかりでは申し訳ありません。僕も相談支援のプロの端くれとして彼ら彼女らの力になるために「ああ、オレも負けてらんねえわ」と気を引き締め、明日からの仕事に邁進するだけです。

彼ら彼女らが毎日元気いっぱいに働いているコト。そして、仕事に対する純粋でまっすぐな思いもまた、僕ら障害者ケアマネにとっては元気の源、明日への活力になるのであります。