バンドの楽しみとは試行錯誤とミスの繰り返し

バンドの楽しみとは試行錯誤とミスの繰り返し

生楽器とプログラムの融合、ほろ苦い打ち込みデビュー

本日、持ち時間は15分ほどでしたが、3ヶ月ぶりに人前でバンド演奏をしてきました。

今回は、わがマチでも歴史のあるNPO法人で障害福祉を手広く行っている某法人の夏祭り、そのオープニングを飾る(要は前座ですが)演奏でした。かれこれ3年目になります。

今回は、そのNPO法人の福祉サービスを利用する障害児と障害者ならびにその家族から聴きたい曲をリクエストしてもらい、試行錯誤でバンド初の「打ち込み」を導入するコトに。そして当日、練習ではそれなりにうまくできていたハズなのに、見事に失敗してしまいました。

今回のリクエストは3曲。いずれも子供からオトナまで知名度バツグンの名曲、いずれも今の時代を代表する流行りの名曲でした。以下、羅列しますと…

DA PUNP「USA」→Foolin「パプリカ」→米津玄師「lemon」

ちなみに、ラストの曲はこの季節ならではの名曲、ジッタリン・ジン「夏祭り」でした。1990年にリリースされた曲なので、若いヒトたちにしてみれば立派な「懐メロ」なのでしょうが、僕ら世代にとっては青春時代の名曲です。

マシンは融通もゴマかしも通用しない~打ち込み演奏の難しさ

今回、リクエストがあった曲のうち「USA」と「lemon」に、後述する即席ドラムマシンを導入したのですが、打ち込みは「USA」のみでした。lemonはドラムマシンを操作しながら、バスドラのみ生楽器を鳴らすスタイルで。

「USA」は基本的なリズムパートだけでなく、パーカッションと打楽器の音源が多数あるため、リズムパートを打ち込みで準備したのですが、その打ち込みが当日、まさかの裏目に。

当日、リハーサルの段階でイヤな予感はしていました。サビの歌詞に入る手前あたりから「?」、リズムが裏返ってしまうのです。明らかに人間側が微妙にズレていたのです。

そして本番。最初のうちはピッタリ一致していたハズなのに、演奏が進んでいくうちに、リズムとヴォーカルや演奏が次第にズレて「アレ?」と疑問に思いながら、生楽器でない融通の利かなさは如何ともしがたく、最後までリズムがズレたままで終了。

打ち込みは「USA」のみだったので、2曲目からは面目躍如の演奏ができた(?)と思いますが、ちょっとほろ苦い打ち込みデビューとなりました。

目からウロコ、無料アプリとタブレットで即席ドラムマシン

ところで、「打ち込み」というのは、あらかじめリズムパートをプログラムしておき、それに合わせる演奏を指します。生楽器のドラムではなく、「ドラムマシン」と呼ばれる電子楽器でドラムのパートを入力しておき、それを鳴らして楽器やヴォーカルを合わせるのです。

僕がバンドに加入して5年目になりますが、タブレット携帯へ専用アプリをダウンロード、それを駆使して即席ドラムマシンをギターアンプで出力。このような試みを行ったのは初めてのコトでした。

ひと昔の感覚では専用ソフトを高額な料金で購入し、パソコンで複雑怪奇な操作をしなければ再生できないものだと思っていたのですが、いつの間にか、無料アプリで打ち込みできる時代の到来を知った次第です。

では、なぜそのような特異なスタイルで今回の演奏にトライしたのかといいますと、そうせざるを得ない事情に差し迫られてのコトでした。

苦肉の策が瓢箪からコマに? 即席リズムマシンの衝撃

最近、みんな仕事が忙しいのか、メンバーの集まりがあまりよろしくなく、ここ1年ほどはスリーピースバンド状態が続いていました。つまりヴォーカル・エレキギター・ベース・ドラムという、最低限のパートしか集まらない状態。

キーボードやパーカッションが加われば音の厚みが増し、アレンジも色々と工夫できるのですが、スリーピースでエレクトリックサウンドを駆使した楽曲をやるのはさすがに無謀というもの。

スリーピースでいろいろ工夫してみても手数が少ないのは如何ともしがたく、「こんなんなら思い切ってアンプラグド(アコースティックバージョン)にアレンジした方がまだマシじゃない?」という状況でした。

そこでメンバーの1人から提案されたのが、無料アプリを使ってタブレットを即席ドラムマシンにしてしまう方法でした。液晶画面にシンバルやスネアなど、ドラムのそれぞれのパーツのアイコンがあり、それにタッチするとそれぞれの音が出るのです。

無料アプリと汎用タブレットで想像以上のリアリティを再現

ドラム担当は翌週には「まるでゲームみたい」とすっかり使いこなしていたのですが、その当日、さっそく試しにやってみるコトに。僕が所有するギターアンプの外部出力プラグにケーブルを直結して鳴らしてみたのですが、とても即席とは思えない電子ドラムが炸裂。

どうもしっくりこないなとボヤきながら練習していた米津玄師さんの名曲「lemon」が別物のように生まれ変わり、米津さんの世界観をそのまま投影したかと思えるほどの再現度でした。

今にして思えば演奏も音源も稚拙そのものでしたが、それでもエレクトリック楽器と生楽器の融合があってこそ米津さんの世界観なのだと納得した次第でした。また、即席ドラムマシンの音源さえ駆使すれば「USA」も演奏可能と判断。

こうして、リクエストがあった3曲すべてをたったスリーピースで再現しようという、実に無謀な試みに着手するコトになったのでした。失敗はありましたが、イイ経験にはなりました。

試行錯誤の練習の日々も当日の失敗も、すべては楽しみに

継続は力なり。そして、継続によってのみ力と化す。コレは人生における共通認識であり、エレキギターの上達やバンド演奏の熟達にもいえるコトであります。

そこまではアタマでは理解できているのですが、いざ実践するとなれば困難が伴います。要するに、途中でイヤになったり、アタマにきて途中で止めてしまったりするコトの方が圧倒的に多いというのが現実です。バンド加入から日が浅い頃の僕がそうでした。

エレキギターの華といえばいうまでもなくギターソロです。ときに華麗に、ときに情熱的に。思う存分、自分のワザをエレキギターにぶつけてギターアンプから極上の旋律を奏でる。

僕が速弾き全盛だった頃に10代を過ごした古いタイプのギタリストだからでしょうか。とにかく技巧にこだわり、ステージでは絶対にミスしたくない。でも、満足できる演奏ができた例がない。些細なミスで自分に腹を立ててフテくされる。そんな大人げない態度が続いていました。

しかしながら、さすがの僕も年を取ったからか、現在はあまり演奏ミスにこだわらなくなりました。ミスをするコトに恐れなくなったという方が正しいでしょうか。その分、自主練習もサボるようになりましたが、「とにかくステージで鳴らしてりゃイイさ」と。

人間、実にフシギなもので、そういう心境で、昔よりも練習量が減っている(サボっている)にもかかわらず、当日のステージでは、自分が奏でている音を聴ける余裕ができるようになりました。

練習量が減っているので、演奏の精度も落ちているハズ。なのに、昔よりもイイ音が出せている。多少、自分にも他メンバーにも「いい加減」な心境で音楽に向き合う方が、かつて望んでいた演奏とは違うけれど、昔とは別な価値観でイイ音が出せている気がします。

多少、不完全であろうとも試行錯誤の末に新たな可能性を発見する。それをステージで実践する。失敗しても、お客さんから「アンコール!」と声をかけてもらい、拍手をもらえたらチャラ。

ミスをせずに存分に感情を込めてお気に入りのギターソロを最後まで弾き切る。それは最終目標であって、それまでの間に何度となく引き起こすであろう当日のアクシデントや演奏ミスを楽しめる心境でバンド活動を続けられたらと思います。

ミスをしてフテくされ、バンドメンバーにメイワクをかけないように自戒と自重を忘れずに。