ライヴ派ギタリストの必須アイテム、エフェクターボードとパワーサプライ
- 2019.07.15
- エレキギター

ロックギタリストにとって必要不可欠な機材はいうまでもなくエレキギターとエフェクターですが、ライヴでステージに立つ際、持っていると非常に便利かつ有益なアイテムがあります。
今回、ご紹介する必須アイテムはパワーサプライとエフェクターボードですが、これらはなくても他の何かで代用したり省略したりで対応できなくはないですが、あった方が圧倒的にライヴで有利なものと自信をもってオススメします。
なぜ、あった方が圧倒的に有利なのでしょうか? 以下、僕が実際に購入して使用した感想をもとに解説したいと思います。いずれも「ギタリストの足元」を支える重要アイテムであります。
なお、ロックギタリストとして「とりあえず、これら3つを揃えておけば大丈夫」といえる代表的エフェクターについての紹介は「Simple is the Best~ライヴで使えるエフェクターの選び方」にまとめてあります。
また、ロックギタリストにとって生命線ともいえる歪み系エフェクターの使いこなし方については、「ライヴステージで歪み系エフェクターを使いこなす~BOSS製OS-2を例に」で詳しく解説しています。併せてご参照いただければ幸いです。
いちど使ったらエフェクターケースには戻れない~エフェクターボード
まず、ご紹介するのはエフェクターボードです。今回、僕が購入したのはPALMER(パルマー)製の「PEDALBAY40」というエフェクターボードで、一般的なエフェクターケースと紛らわしいのですが、似て非なるものであります(アイキャッチ画像をご参照ください)。
エフェクターケースというのは機密書類や精密機器を入れる手提げハードケースのような外観で、単に「エフェクター類を収納」するだけの役割しかありませんが、エフェクターボードは「収納」はもちろん、エフェクター類の「確実な設置」「迅速な準備」「快適な使用」を可能にします。
以下、エフェクターケースとエフェクターボードの違いを比較します。
確実な設置~エフェクター類をガッチリ固定
エフェクターケースは、それ自体は単なる筐体、つまり何の変哲もない「頑丈なハコ」であります。頑丈なのは確かでして、その耐久性は僕が使っているエフェクターケースですでに実証済みです。何せ、30年以上にわたって故障知らず、未だに現役で使っていますので。
ところが、コンパクトエフェクターやワウペダルを複数、それにケーブル類で連結したまま収納をする際は、エフェクターを個別にネジ止めするとかマジックテープ類で固定しなければ運搬の際にグチャグチャになってしまいます。
なぜなら、エフェクターケースを閉じて取手を掴んで運搬する際、フロアに置いたポジションから向きが直角に傾くからです。何らかの手段で固定しなければ、相応の重量があるエフェクター類が一気に重力に従ってずり落ちてしまうのです。
一方、エフェクターボードは裏面が両面テープになっているマジックテープを任意の長さにカットしてエフェクター類に貼りつけ、ボード本体に固定する構造になっています。手で掴んでゆっくり剥がせば、カンタンに脱着可能。もちろん、運搬中のズレなど皆無です。
迅速な準備~ボードとケースがそれぞれ独立
エフェクターボードは、蓋と本体がワンタッチで脱着可能になっています。そのため、ライヴではジャマな蓋を取り外して本体だけステージに運べばOKです。
ところが、ライヴ当日はリハーサルの時間が限られていたり、本番が終わったら次のバンドのため素早く片付けてステージを降りたりしなければなりません。つまり、ギタリストにとっては非常にタイトな対応が求められるのです。
その際、普段はエフェクターボードの中に収納していないシールドケーブルも束になってかさばります。ワイヤレスシステムを使ったとしても、受信機やエフェクターからギターアンプを直結する3~5mのシールドケーブルは必要になります。
たいていのエフェクターボードはエフェクター類でギッシリ埋まっているものですので、シールドケーブルが2本も重なると非常にジャマになります。恐らくエフェクターボードの蓋が閉まらないでしょう。
一方、エフェクターボードはケースと独立しており、ケースの容積がエフェクターボードより広く取られています。つまりケースに厚みがあるのです。そのため、シールドケーブルもひとまとめにして「とりあえず撤収!」といった場合、迅速に動けるのです。
なお、それでもエフェクターケースを使いたいと初購入を検討中の新米ギタリストにアドバイスを送りますと「できる限り、いま検討しているより大きめのケースを買った方がイイ」となります。その理由は以上のとおりであります。
エフェクターケースは小さめであっても新品はけっこう高額です。ためらう気持ちは判りますが、ガキの頃の僕と同じ失敗をしないよう、ステージで迅速に準備や撤収ができるためのスペースまで勘案しておきましょう。
快適な使用~ペダルを踏みつけやすい合理的な構造
コレこそが、僕がエフェクターボードを絶賛する最大の理由であります。とにかくエフェクト操作がしやすいのです。いちどエフェクターボードの使い勝手を知ってしまうと、二度とエフェクターケースを使う気にはなれないほどに。
エフェクターボードは簀子(すのこ)状にアルミ材で構成されていますので見た目よりは軽量ですが、それでも一式を収納したらエフェクターケース以上にズッシリ腕に重量がかかります。
それでもなお、なぜ金属で構成しているかといえば、ヒトの爪先で何度も踏みつけて、スイッチのオンとオフを繰り返すための耐久性を担保するコトが目的と思われます。また、踏んだ際の感覚がカチっとしていて、正確にエフェクト操作ができるのです。
一方、エフェクターケースは要所に金属パーツで補強がなされていますが、本体は木材です。そのため、エフェクターを踏んだ際に沈み込むような感覚がするので操作しづらいのです。
コレは金属製エフェクターボードと比較するまでもなく、ケースに入れっぱなしで踏むのとフロアに置いて踏むのではペダルスイッチが切り換わる感覚が違うのですぐに気づきます。この特性は、特殊系エフェクターを多用するギタリストにとって死活問題でしょう。
その他、僕が購入したエフェクターボードには角度がついており、爪先方向が高くなっています。ボード本体に高さがあるのですが、傾斜のおかげで極端に膝を上げずにエフェクト操作がしやすくなるなど、さまざまな工夫がなされています。
コレ1つで確実な電源供給が可能に~パワーサプライ
複数のコンパクトエフェクターの電源をどのように確保するか? 練習の際はそう気にする必要はないのですが、電源が取れる場所に制限があったりコンセントの数が少なかったりと、ステージで演奏する際にギタリストを悩ませる1つに電源の問題があるのです。
最も手軽かつ確実な電源供給は、コンパクトエフェクターごとに9Ⅴ乾電池を装着する方法です。電池さえ入れておけばコンセントに悩むコトはなく、ギターアンプの電源さえ確保できればOK。しかも、荷物となる電源ケーブルがそれだけ減ります。
ところが、この電源供給には3つのデメリットがあります。①固定したエフェクター裏側の乾電池交換は煩わしい、②ライヴ本番で電池切れとならないよう電池の残量を計測するテスターが必要、③乾電池は消耗が激しい上に高額、というものです。
そのため、ACアダプターを使ってコンセントから電源を供給するのがポピュラーな方法となるのですが、ここでも幾つかの供給方法があります。
まず、コンパクトエフェクターごとにACアダプターを接続する方法。ところが、エフェクターの数が多ければ多いほどコンセントの数が必要になるというデメリットがあります。
次に、1つのACアダプターを分岐させて複数のエフェクターに電源を分散供給する方法。以前、僕がその方法を使って演奏していたのですが、ACアダプターはエフェクター1つに電源供給する目的で製造されているため不安定になります。特定のエフェクターが鳴らない事態に。
そこで必要になるのが、安定した電力供給を約束するアイテム、パワーサプライです。
各社から多数リリースされているが、1万円以下のモデルで充分
僕が購入したのは、MAXON(マクソン)の「PD01 パワーディストリビューター」というモデルです。2万円クラスの高級品もありますが、このパワーサプライは6,000円弱の廉価版で、しかもネットユーザーの評判が良かったので試しに買ってみるコトにしました。
見た目はコンパクトエフェクターとほぼ同じ規格で(たいていのパワーサプライは細長い長方形の構造)、最大7つのエフェクターを駆動させられるものでした。僕には必要充分です。
安かろう悪かろうで電源ノイズが乗るとか特定のエフェクターが鳴らないといった可能性も正直、警戒していましたが、そのようなトラブルは一切なく、快適に電源供給してくれています。
おかげでACアダプターは1つでOK、ケーブル類も不要になりボードはスッキリ、ギターアンプ持ち込みならコンセントが2つあればOKというお手軽さ。しかも、いずれのエフェクトも確実に音が鳴ります。
高価になればローノイズになるとか電源ジャックがさらに増えるなど、値段に比例して多機能かつ高性能になっていくのでしょうが、コンパクトエフェクターを8個以上使うギタリストでない限り、パワーサプライはPD01さえあれば充分だと思います。
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以上、ライヴ派ギタリストにとっての必須アイテムでした。いずれも実用性にこだわったアイテムであります。多少は高くついてしまうかも知れませんが、持っていて決して損はありません。
エフェクターボードとパワーサプライ。必ずや、ステージであなたの役に立つコトでしょう。
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