ライバルの一歩先をいくエレキギター「小さな恋の歌」編

ライバルの一歩先をいくエレキギター「小さな恋の歌」編

結局プロにならなくともティーンエイジャーの頃から超絶技巧をキメるコトができるギタリストはどこのマチでも1人や2人はいるものです。僕が通っていた高校でも、Ⅹのツインギターを完璧に弾きこなす腕利きが数人いました。

当ブログでも何度も話題に触れてきましたが、僕がティーンエイジャーだった頃はバンドブームの真っ盛りにして速弾き全盛だった時代でした。一方で、ザ・ブルーハーツのようなパンクバンドも人気がありました。

「指板から煙が出るんじゃないか?」と思うほどハードロックの速弾きのコピーに明け暮れていたのが僕らの世代だったのですが、技巧はさておき「とにかくノリだ!」とステージを飛んで跳ねるパンクは、学園祭にうってつけのジャンルです。

当時の僕のように、部屋にこもってロクに弾けもしない速弾きをたどたどしく繰り返すのもエレキギターの楽しみの1つなのですが(当時の反復練習が現在に活かされています)、短期間で弾ける曲を選んでバンドで演奏し、ステージに立つのもエレキギターの正しい楽しみ方です。

そこで今回はパンクバンド好きでなくても知名度が高い名曲、「モンパチ」ことモンゴル800の不朽の名曲「小さな恋の歌」を題材として、学園祭でライバル達に差をつける演奏のヒントを提示したいと思います。

バリバリのディストーションを効かせて、たった4つのコード進行で勝負するという、単純明快でありながら万人の心に強い印象を残す名曲「小さな恋の歌」。

この曲がエレキギター初心者にオススメされるのも納得なのですが、だからこそ、この曲の良さや素晴らしさをスポイルするコトなく完コピしたいものです。

 

単純だからこそ問われる基本テク~「小さな恋の歌」徹底解説

「小さな恋の歌」は初心者向けの曲というコトもあって、決して難しくはありません。フィンガーボードを押さえるのは人差し指と薬指だけです。パワーコードの基本、1フレット空けて押さえる間隔も最初から最後まで同じ。

弦を弾く側の手の仕事は2本の弦を弾くだけです。4弦と5弦、または5弦と6弦だけ弾くのみ。使うテクニックは、ダウンピッキングとオルタネイトピッキング(ダウンとアップの繰り返し)、ブリッジミュート、ピッキングスクラッチのみです。

そういう意味では非常にレアなアレンジでして、通常、エレキギターで使われる基本テクニック(チョーキング、ヴィブラート、スライド、トリル、ハンマリング)は一切使われていません。

逆にいえば、ギタリストの個性を出しにくい曲でもありまして、楽器をやらないヒトからすれば、演奏する側が巧いのかヘタなのか良く判らないという話にもなります。

ところが、基本テクニックが身についていないギタリストが弾くと確実に「ヘタ」に聴こえます。一見カンタンそうに思われがちですが、巧いギタリストが弾いてこその名曲なのです。

それでは、ヘタに聴こえてしまう原因はどのような点が考えられるでしょうか。以下、その要因と対策について綴っていきます。

エフェクターの歪み設定が強すぎる

この曲は先述のとおりバリバリのディストーションを効かせたパンクロックの王道をいく曲です。しかしながら、ディストーションの歪みレベルを上げ過ぎると非常に耳障りな音になります。

特にシングルコイル搭載のエレキギターを使用するギタリストは要注意で、よほどパワーが強いかノイズレスな特殊ピックアップを使っていないと、ハウリングの原因になったりピーキーで不快な金属音を発したりしてしまいます。

ハムバッカー搭載のレスポールのように、ハイパワーで中音域に特性があるエレキギターではない場合、エフェクターの歪みセッティングを抑え気味にして、ギターアンプのヴォリュームを上げるサウンドメイクをしましょう。

「どんなに歪ませようが、決して耳障りでないキレイな音を聴かせる」

コレこそが、並みいるライバルに差をつけるロックギタリストの神髄であります。

ダウンピッキングが強すぎる、あるいは雑

イントロのエレキギターはダウンピッキング、実音とブリッジミュートでたたみかけるフレーズが続きます。その際、ダウンピッキングのアタックが強すぎるとサウンドが濁ってしまいます。

勢いのあるダウンピッキングと強すぎるピッキングは別物です。そこで最初の四分音符は強めに、続きの八分音符のミュートは軽めにアタックするように、ピッキングのニュアンスを使い分けるとキレイに鳴らせます。

イントロ以降はオルタネイトピッキングなので弦を弾く側の手の負担が軽減されますが(右利きであれば右手)、最初から最後まで力んでピッキングをすると腕がパンパンになってリズムキープが難しくなります。

特にイントロのフレーズをピッキングする際は、実音は強く、ミュートは軽くアタックし、小気味よくリフを刻むよう心がけましょう。体力が温存でき、しかもキレイな音が出せますので一石二鳥です。

なお、ピッキングについては以下の記事で詳しく綴っています。併せてご参照くださいませ。

オルタネイトピッキングのアタックが均等でない

イントロからはミュートせず、すべて実音で四分音符と八分音符をコードチェンジしながらリフを刻み続けます。ここからはピッキングのアップダウンによってリフを刻む、いわゆるオルタネイトピッキングを展開します。

八分音符の個所はすべてオルタネイトでOKなのですが、僕も最初のうちはピッキングのアタックがアップダウンで不均衡でして、アップとダウンで音の質や強さが一定にできず苦労しました。

コードチェンジをしていくのでメロディはどんどん展開していくものの、弦を弾く側の手の仕事は同じコトの繰り返しとなります。その分だけ、一定のニュアンスをキープし続けなければならず、ピッキングのアップダウンで生じる差異をいかに統一するかが難しいのです。

勢い一発で行ってしまえというのも1つの考え方なのですが、オルタネイトピッキングを丁寧に、基本に忠実に1つ1つ刻んでいくという基礎練習を入念に行っておきましょう。

何度も練習し、ギターアンプから聴こえるサウンドをチェックしながら違和感のないオルタネイトピッキングができるよう意識してみましょう。そのうち基本が身につきますので、無意識に一定のニュアンスが出せるようになります。

ブリッジ側あるいは指板側のミュートが甘い

先述のとおり、この曲は2本の弦を鳴らすのみで最初から最後まで展開します。「なんだ、そんなコトか」と思われるかも知れませんが、コレがまたクセモノでして、地味ですがギタリストとして必須項目となるミュート能力が試されます。

つまり、ピッキングする以外の4本の弦が鳴らないよう、常に意識して両手でミュートしなければなりません。特に、指板を押さえる側の手(右利きなら左手)の微妙な操作が必要になります。

2本の弦を押さえて鳴らすパワーコードの基本フォームは、人差し指で低い弦、薬指で次に低い弦を押さえます。その間、中指と小指は中空に浮かせたままとなります。

具体的な例を示しますと、Bのコードの場合は人差し指で6弦7フレット、薬指で5弦9フレットを押さえます。そのポジションのままで1本高い弦に異動しますと、Eのコードになります。

Eのコードの場合、6弦は鳴らしませんのでブリッジミュートで音が出ないように操作し、1~3弦も鳴らしませんので指板を押さえる人差し指あるいは薬指を軽く当ててミュートし、音が出ないように操作するのです。

これらのミュート操作を完璧にこなすとなると、相応の基礎が身についていないと難しいのです。弦を押さえる動きは単純ですがテンポが速いため、次々に素早くコードチェンジをしながら雑音を一切出さないようにするのはワザと握力が要ります。

薬指というのは人体の構造上、それだけで使うと握力が入りづらいのです。小指を浮かせたままで同じフォームで弦を押さえ続けるのは想像以上に握力を消耗します。

そこで慣れるまでオススメしたいのが「浮かせている小指を使う」押さえ方です。絶対にこの方が握力の消耗を軽減できます。薬指だけを使うより、ネックを握るのがラクになるのです。

その際、押さえるのは薬指より1つ上の弦、薬指と同じフレットとなります。Eのコードの場合は3弦9フレットを押さえ、Bのコードであれば4弦9フレットを押さえるのです。

押さえる弦が1本増えたところで、和音の響きが大きく変わるコトはありません。音がより分厚くなるだけです。おそらく小指を押さえているかどうか聴き分けられる聴衆はいません。

オリジナルと同じように小指を浮かせたままで弾くよりも、薬指と連動して使った方が弾きやすくなります。握力がなくなって疲れると感じる場合は是非お試しください。

もう1つオススメなのが、5弦を人差し指、4弦を薬指で押さえるポジションの場合、薬指で3弦と4弦を押さえる方法です。この曲ではF♯やG♯mが該当します。

G♯mは5弦11フレットと4弦13フレットを押さえますが、高音域になるほどフレットの間隔が狭くなるので、小指では押さえづらくなります。薬指で2本の弦を押さえる方がラクに弾けます。

リズム隊とアンサンブルが合っていない

例えば中盤で四分音符と休符で構成されるフレーズ、擬音化するならば「ジャジャ、ジャジャ」と展開するフレーズを引く際、ドラムとベースも同じリズムを刻みます。つまり、リズム隊とズレてしまうと非常に浮いてしまいます。

特にベースのフレーズとギターのフレーズについては、リズムのタイミングが完全に合致します。ズレないように徹底的にアンサンブルを練習しましょう。

この曲がバンドとして旨く聴こえるかヘタに聴こえてしまうかは、ひとえにリズム隊とのアンサンブルがピタリと一致するかどうかにかかっています。多少の弾き間違えがあっても目立ちませんが、リズムの乱れはモロにバレます。

ハイテンポで曲が展開し、客がノリノリで盛り上がってくればさらにリズムが疾走していきます。いわゆる「走る」状態です。

走るコトそのものは決して悪くはありません。それがライヴステージの醍醐味でもあるからです。しかしながら、どんなに走ってもアンサンブルは合致していなければなりません。ドラムが走ったら、そのリズムにベースとエレキギターも乗らなければなりません。

運指が単純であるからこそ、ギタリストは比較的自由にステージを動き回るコトができるのですが(それがパンクロックの良いところ)、そこはリズムキープありきのステージプレイです。