最近、他法人の若い人材を育てる気になった理由

最近、他法人の若い人材を育てる気になった理由

わがマチで転職して障害福祉の相談支援に従事してから9年目ともなれば、同年代の同業者が役職について出世していき、僕の世代よりもはるかに若い世代が次々に台頭してきます。

半独立型社会福祉士として独りケアマネを開業して10ヶ月となりましたが、お得意先の支援員や医療相談員は20代が多くなり、すっかり世代交代の様相を呈しております。

中間管理職だった前職とは違い、完全に現場至上主義の障害者ケアマネをやっている以上は当然の話ですが、もちろん中堅世代から管理職となったかつての同志との関わりもある一方で、僕よりもはるかに年が離れた若いスタッフとのやり取りの方が多くなってきました。

 

一介の障害者ケアマネとして前職とは違うアプローチで人材育成

困難ケースを含む相談支援を繰り返し、障害者ケアマネの仕事を長年にわたって経験していくと、自然にヒトを見極める目が養われます。相談者やその家族だけでなく、支援者ですら見極めようとするのは職業病の一端なのでしょう。

障害者ケアマネの仕事の神髄を極言すれば、人間をとことん観察するという、この一点に尽きます。それだけを徹底して年季を積むワケですから、ヒトを見る目は自然に養われるコトになる。

たとえ若手とはいえ、現時点でどの程度まで仕事が切れるか、将来的にどの程度まで成長するか、わりと正確に見透かせるようになります。自分でいうのもナンですが、目利きには相応の自信があります。

この眼力を自分の利益のためだけに使うのであれば、自分の仕事がやりやすくなるには、どこの誰と組めばラクができるか、あとで面倒が起きないかだけを考えていればイイ話になります。

判りやすく解説しますと、僕に計画相談支援を依頼してくる支援者を持ち前の眼力でスキャニングし、依頼者が若くとも有能と判断できれば喜んで受任し、そのあたりが未知数であればテキトウな口実を設けてお断りすればイイという話であります。

おかげさまで計画相談支援の契約者も右肩上がりで、開設3ヶ月目で黒字計上に乗せて以来、赤字を出した月は一度もありません。その意味ではムリに契約者を増やす必要はなく、あとはラクして稼げる仕事だけを厳選すれば安泰な状況であります。

 

なぜ、頼まれもしない若者の育成をする気になったか

ところが最近、「自分さえラクできればそれでイイ」と割り切るのも違うかなと思うようになり、事業所を立ち上げた頃は絶対に受任しなかっただろう困難ケースを引き受けたり、将来性がイマイチ不透明な若い支援者からの依頼を受けたりするようになりました。

案の定、いずれ優秀な支援者になるであろうと思われる若い依頼者から受任したケース対応では、上から目線で大変恐縮ですが、ちょっとツメが甘いと思われる仕事のやり方が気になるように。

そこで、外様の僕が他法人の若手を相手に、ここまで余計なコトをするのも違うよなと思いつつ、物言いが高圧的にならないよう気を遣いながら、あくまで「担当ケアマネの所見」として、仕事のやり方を教えたり、至らぬ点をフォローしたりする状況が増えてきました。

正直なところ、「〇〇事業所にいる若いスタッフ、なかなか見どころがある」と僕が期待を寄せるヒトがいる一方で、「オイオイ大丈夫か?」といいたくなる危なっかしいヒトもいます。

かつては一回の現場スタッフだった件の事業所の中間管理職に「おたくの若い衆、僕の目から見てちょっとアレでさ…」といった苦言を呈するのはカンタンですが(一応、それを言えるだけの立場は確立しています)、それでは若い世代の顔を潰すコトにもなる。

そこで、「仕事の依頼を受けた担当の相談支援専門員の所見を申し上げるのだが…」といった体で、現場スタッフには障害特性の理解に関する知識だけでは測りきれない「人間を見極める視点」を、医療相談員には同じソーシャルワーカーとしてのノウハウを伝えるのです。

場合によっては、当該スタッフがやるべきだった連絡調整を代わりに引き受けたりするコトもあります。引き受けるといっても頼まれて行うワケではなく、別件で話をした様子から未実施あるいは失念していた連絡調整を肩代わりした件もありました。

 

将来ラクをしたいのなら、いま次世代を育てるのが最良と気づく

これまで積み上げてきた経験値や人脈をフル活用し、ある程度は収益を上げるコトができて仕事が軌道に乗り、日々の業務運営に余裕ができたコトも関係していますが、近視眼的な視点ではなく、その先を見据えた上での判断であります。

僕はあと20年、今の仕事を続ける気でいますが、次世代の人材育成を一切放棄した場合と可能な範囲で人材育成に寄与した場合、20年後の自分がラクをできるのはどちらの場合かを考えました。その答えは、ここで敢えて綴る必要がないほどハッキリしています。

僕にとっては相談者ですが、現場スタッフにとっては利用者、医療相談員にとっては患者が、誰にとっても、次世代の若者がスキルアップして頼れるエキスパートに成長してくれれば、その恩恵を受けるコトができるのは明らかです。

そして、その恩恵を受けるのは相談者・利用者・患者ならびにその家族だけでなく、一介の障害者ケアマネたる僕もそのひとりであるというコトに思い至りました。

というワケで、単なる自己満足の延長と揶揄されるかも知れませんが、「だったら一肌脱ぐか」と本来の業務でない人材育成もやってみようかという気になった次第であります。

結局、ヒトはエゴイズムの生き物。ならば正々堂々と自身のエゴを満たすまでのコトです。