Spitz「ロビンソン」で小粋なアルペジオを奏でる2つの小技

Spitz「ロビンソン」で小粋なアルペジオを奏でる2つの小技

当ブログで数多く登場するSpitz(スピッツ)のコトをどれほど僕が惚れ込んでいるかについては、「ギタリスト目線で語るSpitzの魅力」で未だに変わらない熱い思いを存分に綴ったところであります。

僕が初めてSpitzを知ったのは大学時代「ロビンソン」を聴いた瞬間でしたが、その衝撃は未だに続いているほどで、僕が所属するバンドでもSpitzの曲を数曲コピーしました。

草野マサムネさんの織り成す世界観はバンドメンバーの女子たちにも大人気。「空も飛べるはず」「チェリー」「楓」は実際に披露した名曲の数々であります。聴衆のウケも非常に好ましく、のちに上々の評判をいただきました。

しかしながらSpitzのギタリスト、三輪テツヤさんの代名詞といえばアルペジオでして、独自性が強いアレンジを存分に味わうコトができる曲は「ロビンソン」であります。

僕としてはテクニック的にさらに上をいく名曲「冷たい頬」もイチオシしたいところですが、その知名度や弾きこなした経験値を勘案すると「ロビンソン」をいかにクールに弾きこなせるかというテーマであれば存分に綴るコトができます。

そこで今回は「アルペジオを極める」をテーマに、名曲「ロビンソン」を玄人のように弾きこなす、バンドスコアでは記載されていないスパイス的な裏ワザをご紹介したいと思います。

それはエレキギターの基本テクニックの1つ、ミュートとスライドの活用であります。

いずれも隠し味的な裏ワザ、技巧をこらした速弾きのような難解なテクではありません。しかし、基礎を極めて効果的に用いれば、玄人はだしの「いかにもソレっぽい」演奏に昇華します。

 

アルペジオを引き立たせる裏ワザ、ハーフミュート&スライド

リズムに緩急を、メロディにアクセントをつける:ハーフミュート

アルペジオとはコード弾きの分解版とでもいうべきテクニックで、コードポジションを押さえて、弦を低音から順に1本ずつ単音で鳴らしていくというものであります。

アルペジオで注意すべきなのは、弦を1本ずつ鳴らしていきながら、先に鳴らした弦の音を鳴らし続けるというコトであります。

つまり、5弦→4弦→3弦と弾いた場合、音が5弦→5・4弦→5・4・3弦と音が重なっていくように響かせなければアルペジオとして成立しないというものであります。

そのためには、弦を弾く側よりも弦を押さえる側にアルペジオの成否がかかるという話になります。なぜなら、コードポジションを最初から最後までしっかり押さえておかなければ、弾く途中で音が途切れてしまうからです。

以上、ここまでが基本的なアルペジオ奏法の概要なのですが、「ロビンソン」はコード進行どおりコードポジションを押さえっぱなしにするのではなく、コード内で弦を押さえる側の指が忙しなく動くコトになります。

単にコード弾きをアルペジオで鳴らす(コードポジションを一気にジャラーンと鳴らすのではなく、1弦ずつ鳴らしていく)単純な奏法でないため、相応の練習をしなければ決して「ロビンソン」のリフを弾き切るコトができない所以であります。

このように、コード進行に従って指板を忙しなく動き回る独特のアルペジオなのですが、スコアに記載されたとおりの演奏では実に無味乾燥かつ平坦な響きになってしまいます。

そこで是非とも取り入れてもらいたい裏ワザの1つ目が、ハーフミュートであります。

通常、ブリッジミュートとはリフでアクセントをつけるために用いる基本テクニックなのですが、完全に音を切らないハーフミュートとしてアルペジオに取り入れるのであります。

アコースティックギターやクラシックギターでは、アルペジオを鳴らす際にミュートは行いません。最初から最後まで鳴らしっぱなしが基本となります。アクセントをつけるとしたら、ピッキングの強弱を調整するくらいでしょう。

しかしながらエフェクターやギターアンプで生音を可変あるいは増幅して鳴らすエレキギターではピッキングのニュアンスだけで表情をつけるのは難しいものがあります。

ピッキングの強弱もつけながら、それ以上に平坦になりがちなアルペジオのアクセントにメリハリをつけるために役立つのがハーフミュートなのです。

ハーフミュートをからめたアルペジオのコツですが、基本は「ミュートするのはより低い弦」です。そのため、ミュートをかけるのが低い音、ミュートをかけずに鳴らすのが高い音となります。

「ロビンソン」のリフやサビでは、1・2・3弦と3・4弦を使う2パターンのアルペジオで展開しますが、前者では3弦、後者では4弦を軽くミュートさせるのです。キッチリ低弦の音を切るのではなく、ハーフミュートでアクセントをつけるのです。

コレはブリッジミュートをからめたパワーコードのリフの応用ワザですが、この裏ワザをからめるコトによって、立体的でメリハリがついたアルペジオを鳴らすコトができます。

繰り返しになりますが、ロックギターの定番リフのようにミュートするのではなく、アルペジオが一本調子にならないためのアクセントをつけるハーフミュートをからめて展開するのです。

ハーフミュートの力加減、適切なニュアンスを掴めるまで試し弾きをしてほしいと思います。

平坦になりがちなアルペジオに玄人的クールさを加える:スライド

ともすれば一本調子になりがちな「ロビンソン」のイントロを構成するアルペジオと違い、サビのアルペジオはコード進行がイントロ以上に大きく切り変わっていきますので、指板を押さえる側の指がフィンガーボードを上下するコトになります。

その際、ぜひとも取り入れてもらいたい2つ目の裏ワザがスライドであります。

スライドとは、弦を押さえたまま指先をネック側あるいはブリッジ側に滑らせるテクニックです。つまり、カラオケでいうところの「しゃくり」と言い換えれば判り易いでしょうか。

スライドは本来の音程をそのまま鳴らすのではなく、その上あるいは下のフレットを押さえて音を鳴らし、そのまま指先を滑らせて本来の音程に合わせる「しゃくり」としての役割と、1本の弦で音程を変えていく途中で恣意的に音程を上下させる役割があります。

上記の2つの役割のうち、今回の課題曲「ロビンソン」で使うスライドは前者・後者いずれの役割を担うものであります。

サビのコード進行のうちE→C#7と移動するところがあるのですが、その際、C#7の最初の音は3弦10フレットを鳴らすのですが、Eは1~3弦の7フレットを人差し指で押さえているので、コードチェンジの際、中指を7→10フレットまでスライドさせるのです。

一方、E→C#m7のパートがあり、3弦6フレット→4フレット、4弦7フレット→6フレットと押さえるのですが、ここは「しゃくり」の役割として、3弦6フレットと4弦7フレットの最初の音をスライドさせます。

スライドの起点となるフレットは任意で問題ありませんが、僕の場合は2フレット分を動かすのを基本としています。最終的に正しい音程になるよう、指先がフレットに収まればOKです。