エレキギターの弾きやすさは弦高で決まる

エレキギターの弾きやすさは弦高で決まる

さまざまなタイプの自作エレキギターから気づいたコト

当ブログでたびたび綴っているように僕は短躯であります。今どきの20~30代女性の平均身長とほぼ同じ、手の大きさでは体格が同じであれば女性の方が長い指をしているくらいです。

その意味においてはエレキギターを弾くには非常に不利でして、ストラップを長くして腰あたりで構えて弾くのがサマになるレスポールは、そのスタイルで弾こうとすれば指が届きません。

そのため、ストラップを短く構えても違和感がないストラトキャスターやテレキャスターを中心に扱っているのですが、手が小さいとレギュラースケールのストレッチがキツくて弾きづらいという理由から、ミディアムスケールのモデルばかり選んできました。

自作エレキギターを作ってみようと思ったのも、手が小さいオリジナルモデルであればお仕着せの既製品よりも弾き易いであろうという理由からであります。そのため、レギュラースケールが標準のフェンダー系のモデルは敢えて避けてきました。

そこで選んだのはミディアムスケールが標準となるギブソン系モデルでした。まずはレスポール・スタンダード、レスポール・スペシャル、フライングⅤ、そしてES-335。

ところが後にシングルコイルの魅力にハマり、ストラトキャスターモデルがどうしても必要となり(テレキャスターでも良かったのですが、アーミングやヴォリューム奏法など多彩な演奏ができるためストラトを選択)、レギュラースケールが不満でも選択の余地がありませんでした。

過去にストラトキャスターモデルを所有し、リアピックアップのピーキーさに辟易していたコトでシングルハム(シングルコイルサイズのハムバッカー)に交換して1号機が完成。

そして最終調整を済ませてシェイクダウンしてみたところ、その弾き易さに驚愕したものでした。心配していたストレッチもそう違和感もなく、むしろギブソン系よりも速弾きしやすいバツグンの操作性。のちにすっかりギブソン系を弾かなくなったくらいでした。

それにしても疑問でした。「なんでレギュラースケールなのに、こんなに弾き易いんだ?」と。

 

「手が小さいからミディアムを選ぶべき」は絶対解ではない

ところで、ここまでエレキギターのスケールについて綴ってきたところですが、「スケール」とはネックの長さを意味します。厳密にはナットからブリッジまでの長さでして、張られた弦の中心になるのが12フレットとなります。

エレキギターのスケールは主にレギュラー・ミディアム・ショートの3つに大別され、フェンダー系はレギュラーが、ギブソン系はミディアム系が主体となります。

そのため、例えば「手持ちのギブソン系が弾き易いから違和感がないようにストラトキャスターを選ぼう」とすれば、その選択肢は狭まります。ミディアムスケール仕様は一部しかないのです。

そのため、狭い選択肢から不承不承ミディアムスケール仕様がリリースされている限定モデルから選ぶか、あるいはレギュラースケールで割り切るか、いずれかの決断を迫られるワケです。

ところが自作ストラトモデルは想定外に弾き易く、その意味では嬉しい誤算でした。しかしながらナゾは深まるばかりであります。とはいえ、手持ちのギブソン系と比較すればすぐ判明しました。「スケールの長さとは違う差異」こそ、弾き易さに影響を及ぼしていたいのです。

その差異とは弦高の違い、端的にいえば「ネックに張られた弦からフレットまでの間隔が狭ければ狭いほど弾き易い」というコトであります。

すっかり気に入ってしまい、つい勢いで3号機まで作ってしまいましたが、自作キットのストラトモデルはいずれも弦高が低く設定されていました。一方、先に組んだギブソン系はストラトモデルに比較すると弦高が高めでした。

このように、ストレッチの幅が狭くて弦のテンションが緩めで弾き易いハズのミディアムスケールであっても、弦高が高いと弾きづらくなってしまうという新たな事実に気づいた次第です。

唯一、ミディアムスケールが圧倒的優位なのはチョーキングのしやすさです。1音チョーキング(2フレット高い音を出す)が多用される曲を弾く際、レギュラースケールに比べて指先の負担や操作性の違いは歴然であります。

 

弦高を低く調整できるなら、速弾きにネックの長さは不問

このように、「手が小さいからレギュラースケールはストレッチがキツいし、弾ける自信ない」とフェンダー系モデルを敬遠する必要はありません。幅が広いといっても1フレットあたり0コンマ数ミリの世界です。慣れれば弾きづらさはまったくありません。

むしろ問題なのは弦高であります。弦高を可能な限り低く調整して理想のセッティングが出せれば、レギュラーだろうがミディアムだろうが「どっちでもイイ」と些末な問題に思えます。事実、僕がそうでしたので、この点については自信をもって断言できます。

ただし、単純に弦高を低くすれば問題が解決するというものでもありません。弦高を調整するにはいくつかの絶対条件があるのです。僕のギブソン系自作モデルは残念ながら落第点でした。

なお、僕が実践して気づいた「弦高を極限まで低く調整できるための条件」は次の3つです。

弦高調整が、ブリッジの高さ調整が可能な範囲内で済むコト

弦高を低くするには「ナットの溝を深く削る」と「ブリッジを下げる」の2通りの方法があります。自信がある方を除き、前者はシロウトがやるべきではありません。

ナットを削るには相当の技術が必要だからです。太さが違う6つの弦ごとに均等に削るのは難しい。専用のヤスリも必要ですし、加工するなら迷わずプロのクラフトマンに依頼するべきです。

というワケで、手軽かつやり直しができるブリッジ調整のみで対応しましょう。ギブソン系は2点支持のブリッジをマイナスドライバーで、ストラトモデルはコマごとにイモネジで調整します。

ギブソン系は全体を上げるか下げるか大まかな調整しかできませんが、ストラトモデルは1弦ごと個別に高さ調整が可能です。逆にいえばそれだけ手間がかかるというコトでもありますが。

ネジで回すだけの調整ですので、後でいくらでもリカバリーが利きます。ここは経験を積むつもりで試行錯誤してみて下さい。その際、調整前の写真を撮っておくとリカバリーの際に役立つので、作業の前にケータイのカメラでも使って撮影しておきましょう。

ロッド調整でネック反り調整が可能な範囲内であるコト

ブリッジ調整によって弦高を低くするコトによって発生する弊害の1つが押弦の際に生じるデッドポイントです。僕のギブソン系はこの現象がひどくて弦高を下げるコトができませんでした。

「デッドポイント」とは、特定の弦の特定のフレットを押さえた際に音づまり現象が発生するコトです。音がビビり、音づまりで正確な音階が出なくなるのは、押弦した箇所よりもブリッジ側のフレットに干渉するために起こる現象なのです。

要は、弦高を下げたコトによって、押さえていないフレットに弦が触れてしまっているのです。

解決策の1つはネックの反り調整です。ネックがギター前方に反る現象を「順反り」、後方に反る現象を「逆反り」と呼びますが、デッドポイントの原因がネック反りであれば、ネックに埋め込まれた金属棒(ロッド)を調整するコトで改善させるコトができます。

ネック反りの調整方法については割愛しますが、ロッド調整には限度があるため、調整域を超えて反っている場合は実質上の修正不能、端的にいえば使い物にならないというコトになります。

ロッドはヘッドカバーを外して六角レンチで時計回りあるいは反時計回りに調整しますが(ネックを外さないと調整できないモデルもあります)、限度を超えて回すとロッドが切れてしまいます。自信がなければ、購入したショップで調整してもらうのが無難です。

特定のフレットが極端に摩耗していないコト

チョーキングを行うフレットはある程度決まっておりまして、その分、特定のフレットが突出して摩耗していきます。そうなると均等の高さに調整されているフレットに差異が生じて、削れて低くなったフレットを押さえた時にビビり・音づまりが起こります。

セッティングがシビアになる低い弦高となれば、このような現象が起こりやすくなります。特定のフレットが極端に摩耗していないコトも弦高を下げるための条件の1つとなります。

余談ですが、フレットの摩耗はエレキギターを長時間にわたって酷使すれば必ず起こる現象です。フレットは消耗品ですので、軽度の摩耗であればフレット研磨、重度の摩耗となればフレット打ち直しになります。

失敗ありきで割り切って挑戦するなら話は別ですが、大切な1本であれば、フレット調整もプロのリペアマンに一任すべきです。決して安くはありませんが、必要経費と割り切りましょう。

エレキギターの弦高は、スポーツシューズを選ぶ際のサイズと同意義です。最高のパフォーマンスを発揮するためにも、今いちど弦高を見直してみるコトをオススメします。