コピーバンドで活躍するギタリストのエレキギターの選び方

コピーバンドで活躍するギタリストのエレキギターの選び方

コピーバンドの方向性によって、エレキギターの選び方は2つに大別される

アマチュアで音楽を楽しんでいるバンドは星の数ほど存在しますが、その方向性は2つあります。オリジナルの楽曲で勝負するバンドとコピーバンドです。

オリジナルバンドであれば「コレがうちのスタンダードだ」とばかり、所属するギタリストは自分が表現したい方向性やプレースタイルでエレキギターを選ぶコトになります。

しかしながら、コピーバンドの場合はさらに「単一のアーティストを専門でコピーするバンド」と、「ジャンルを問わず何でもコピーするバンド」に大別されます。ここが悩みどころの始まりとなるのです。

単一コピーバンドの場合、ほとんどのギタリストがプロと同じタイプのエレキギターを選びます。アーティストに対するリスペクトが強ければ強いほど、その傾向は顕著になります。

例えばレスポールやモッキンバードを使うX JAPANのコピーバンドはあってもベンチャーズのコピーバンドは絶対にいない。逆に、モズライトのツインギターで速弾きを展開するXのコピーバンドも見たコトがない。

ところが、ジャンルを問わずコピーしまくっているバンドに所属する場合、その難解さのあまり、所属するギタリストは非常に悩むコトになります。

原曲の世界観をなるべく崩さず忠実にこなすか?

それとも、唯我独尊で独自の解釈で押し通すか?

どちらもアリですが、今回は基本的な考え方をまとめてみたいと思います。

結論ありきで綴ってしまうと、単一コピーバンドはアーティストと同じモデルを選び、ジャンルを問わないコピーバンドは汎用的に使える万能モデルを選ぶのが王道です。

以下、僕がそのように提言する根拠や理由について綴っていきます。

 

単一コピーバンド:そのアーティストが使っているモデルと同じタイプを選ぶ

ラルクならストラト、ミッシェルならテレキャス、グレイならタルボ、ハイスタならレスポール。

このように好きなアーティストと同じモデル(あるいは、高価ですがアーティストのシグネチャーモデル)を使うコトに抵抗を覚えるギタリストはまずいないでしょう。

しかしながら同じギターを楽しめるという以外にもオススメする理由があります。それは、求めるプレースタイルやサウンドメイクに悩まずに済むからです。

プロのギタリストは自らが求めるサウンドだけでなく個々のプレースタイルを考慮して選んでいる、つまり、そのプレイを実現するのに相応しいエレキギターを選んでいるといえます。

ギターソロではフロント、リフではリア、演奏しながら頻繁にピックアップを切り換えたり、要所でアーミングを使ったりするならストラトキャスターを選びます。

切れ味鋭い小気味いいカッティングが身上であればテレキャスターを選びます。

無骨で分厚いストレートなサウンドを前面に打ち出すならレスポールを選びます。

サスティナー搭載のトリッキーなプレイをやりたいならタルボが選択肢となります。

このように、単一コピーバンドに徹する方向性で間違いなければ、そのアーティストと同じモデルから選ぶのが正しい選択肢です。方向性が統一されているので、サウンドメイクもラクです。

 

ジャンルを問わないコピーバンドの場合:万能に使える汎用タイプのモデルから選ぶ

一方、実に悩ましいのが、ジャンルを問わずに選曲しているコピーバンドに所属する場合です。

プロのアーティストでさえ、メインギターを同一モデルで弾き倒すヒトもいれば、1回のライヴで多様なモデルに持ち換えるヒトもいるくらいです。

ジャンルごとにエレキギターを使い分けるのが正解なのですが、ある意味で現実的でありません。

というのも、タイプが変わればサウンドメイクも変えなければならないからです。例えば、歪み系エフェクターのゲイン(歪みの度合い)調整は必須ですし、ギターアンプのトーンコントロールも必要になってきます。

例えば、ストラトキャスターからレスポールに持ち換えた場合、エフェクターのゲインとアンプのテリブル(高音域の調整)上げる必要が出てきます。

ストラトキャスターは高音域に特徴がある一方、テリブルが高すぎると耳に痛い音になりますし、シングルコイルはゲインを上げすぎるとハウリングの原因に。そのため、それぞれ抑えぎみに調整しているからです。

理論上は以上のとおりなのですが、では、絞りぎみにしていたノブ(調整つまみ)をどの程度まで上げるかといった微妙なニュアンスを瞬時に判断するのは至難のワザです。

リハーサルがじっくり可能なライヴはともかく、セッティング終了後すぐに開始といった状況では(場数を踏んでいればそれなりにできるようになりますが)、ヤマ勘に頼るしかありません。

このように、演奏中に弦が切れたとか本番直前で何らかのトラブルから音が出ないといった突発的な状況でない限り、「今日のステージはコレ1本で」と決めたエレキギターを使うのが通常です。

また、サウンドメイクだけではなくギタープレイにおいてもジャンルレス派にとっては悩みどころ。ラルクやグレイをコピーするならアーミングが必須ですし、ピックアップセレクターの操作も必須。

ストップテールピース(ブリッジが固定式)かつピックアップセレクターがストラップピン付近に配置されているレスポールは、グレイやラルクのコピーをするには不向きとなります。

このように、サウンドメイクギタープレイも多彩で広範囲にならざるを得ない宿命にあるジャンル不問のコピーバンドで演奏する場合は、応用力が高い汎用モデルを選びます。

すなわち、ストラトキャスターモデルから選ぶコトになるのです。といってもフェンダーから選べという話ではありません。ストラトキャスターを原型としたモデルであればOKです。

ピックアップは各自の好みで選びます。シングルコイルの音が好きでないというギタリストもいるでしょうし、歪みに強いハムバッカー搭載モデルの方が使い勝手は上です。

アーミングにつきましては、ブリッジが可動式の本家フェンダーのシンクロナイズド式のトレモロユニットとロック式のフロイドローズの2パターンがありますが、好みで選べばOKです。

それぞれ長所があり、大胆なアーミングとアーミングアップも可能で、チューニングが狂いにくいのはフロイトローズ、弦交換が容易で単純なのはトレモロユニットです。

結論として、①ブリッジが可動式、②ピックアップセレクターがヴォリュームやトーン側に配置、というのが必須条件です。

以上の他、③リアに歪みに強いハムバッカーを搭載、④ハイフレット側が抑えやすいダブルカッタウェイが挙げられます。

ジャンル不問のコピーバンドで演奏する場合、①~④の条件を満たすエレキギター、すなわちストラトタイプから選ぶのが王道であります。

 

第三の選択肢「自分が使いたいエレキギター」だけで勝負する

以上、コピーバンドで演奏する際、それぞれの方向性に応じたエレキギターの選び方、その基本的な考え方について綴ってきました。

しかしながら「そんなの関係ねえ、オレは使いたいコレを使うんだ」というゴリ押しを貫くのが、ある意味、ギタリストにとって一番のシアワセなのかも知れません。

音の方向性が違うといっても、エフェクターを揃えてサウンドメイクを駆使すれば、再現できない話ではありません。事実、B’zの松本さんはどんなモデルを使っても「同じ」サウンドです。

ブリッジが固定式なら、アーミングできない代わりにチョーキングやヴィブラートで再現する方法もあります。

複数弦を押さえながらのヴィブラートは困難であれば、押さえた指先をフレット上で左右に滑らせて疑似ヴィブラートをかけるコトもできなくありません。

エレキギターのタイプによってコピーしきれないプレイがあっても、テクニックを駆使して疑似的に鳴らす選択肢もありますし、あえてそれをせずに割り切るという選択肢もあります。

コピーバンドであっても、完全に原曲どおり最初から最後までコピーしなければならない決まりはありません。

「曲はコピーするけど、サウンドはわが道をいく」というスタイルを確立すれば、どんなタイプのエレキギターであっても我流で使い倒すコトができます。

原曲を忠実に再現したいというこだわりを持ちつつ、バンドメンバーからの不平不満が出ない範囲内で原曲の世界観を楽しめるなら、「唯我独尊でエレキギターを使ってもOK」というスタンスもアリです。