チューブorソリッドステート~ギターアンプを選ぶなら

チューブorソリッドステート~ギターアンプを選ぶなら

チューブ(真空管)アンプの特徴

ピッキングとフィンガリングのニュアンスが100%忠実に増幅

アナログ楽器の際たるエレキギターをアナログの真空管で増幅するのだから、最も理に叶った増幅方式といえます。そのため、良くも悪しくもギタリストのプレイが赤裸々になります。

そして「実に生々しいピッキングニュアンス」となります。ギタリストの巧緻だけでなく個性までもがあからさまになるのです。

ピッキングの強弱などのニュアンスが如実に現れますので、正しいピッキングを習得するためにはチューブアンプで、自分が奏でたサウンドを聴くのが最上の練習法と謳うプロもいるほどです。

ノイズレスな美しいピッキングと精巧無比な速弾きを奏でる「Dr.シーゲル」こと成毛滋さんも、「ピッキングの練習にはチューブアンプ」を推奨するひとりでした。

メーカーごとのキャラクターがクッキリ現れるクリーンサウンド

チューブアンプの真骨頂はクリーンサウンドにあります。ソリッドステートアンプのそれに比べ、いずれも艶やさがあり、一種の色気すらあります。

そして、画一的になりがちなソリッドステートアンプと異なり、クリーンサウンドの個性が明確に現れるのもチューブアンプの特徴であり、魅力でもあります。

チューブアンプといえば、エレキギターと直結でバリバリのオーヴァードライヴというのが定番と思われがちですが、艶やかで鮮やかなクリーンサウンドこそがチューブアンプの「真の魅力」なのです。

中にはモジュレーション系エフェクターを使っているかのような美しい鈴なりの響きを鳴らすものまで、メーカーごとの特徴が明確に表現されるのがチューブアンプの特徴です。

いちどチューブアンプのクリーンサウンドを知ってしまうと、ソリッドステートのそれは画一的で味気ない・とてもそのままでは使えない・エフェクト前提、としか考えられなくなります。

心地よく粘りがあり、温かみを帯びた歪みサウンド

歪み系エフェクターを使ったソリッドステートアンプのクランチやオーヴァードライヴは、ノイズが少なく聴きやすいサウンドを演出しやすい一方、無機質かつ画一的なサウンドになりがち。

ところが、チューブアンプのそれは独特な粘りと温かみがあるサウンド。この粘りがエレキギター特有の歪みを実に心地よく耳朶に響かせるのです。

歪み系エフェクターの性能にもよりますが、サウンドメイク次第では「いかにも作り物」っぽさが鼻につくようなクランチやオーヴァードライヴになりがちに。

 

ソリッドステート(トランジスタ)アンプの特徴

ノイズが少なく、クリアで澄み切ったクリーンサウンド

チューブアンプはその構造上、自然発生するノイズを完全に消し去るコトはできません。ある意味、「ノイズありきで鳴らすのがチューブアンプ」という割り切りが必要です。

細かなノイズは最初から気にせず、耳障りなノイズは、演奏以外はヴォリュームノブを0にする、ブリッジミュートで抑えるなどで対応するのが正しい使い方となります。

一方、ソリッドステートアンプは以上に挙げた面倒な配慮は不要となります。せいぜい、歪み系のエフェクターをオフにしておけばイイ。それだけで不快なノイズはシャットアウトできます。

仮に、こうした自然発生的ノイズが気になって仕方がないというギタリストは、ソリッドステートアンプ+エフェクターという選択肢が必然となるでしょう。

クリアかつノイズレス。コレこそが音質面におけるソリッドステートアンプ最大の特徴です。

エフェクターの利き方にクセがなく、サウンドメイクがしやすい

チューブアンプとは上記のとおり、良くいえばメーカーごとの個性がクッキリと現れるのですが、悪くいえばクセがありすぎて、メーカーによっては相性が合わないエフェクターがあります。

また、チューブアンプの歪み主体にサウンドメイクする場合、空間系やモジュレーション系などのエフェクターの音質が悪くなる可能性があります。

音質劣化を防ぐために、ギターアンプには通常のインプットジャックとは別に「センド&リターン端子」が装備されております。

ギターアンプにはサウンドキャラクターを決定づけるプリアンプと、そこから送られた電気信号を増幅してスピーカーを鳴らすパワーアンプがありますが、「センド&リターン」は、プリアンプを経由せずに接続するための端子です。

チューブ・ソリッドステートを問わず、中型以上のギターアンプには「センド&リターン」が装備されています。活用すればインプットジャック直結よりもキレイな音質が担保されます。

しかしながら、ソリッドステートアンプを使えば、あえて「センド&リターン」に接続しなくとも音の劣化は回避できます。

温まるまで待つ必要がなく、スイッチを入れてすぐに使える

チューブアンプはその構造上、電源を入れてスタンバイスイッチを起動し、真空管を温めなければ音が鳴りません。一方、ソリッドステートアンプはスイッチオンですぐ鳴らせます。

音が鳴らないというのは語弊がありますが、真空管に負荷がかかって寿命が短くなり、また、すぐヴォリュームが上がりません。時間が経つにつれて、徐々に上がってくる現象が起こります。

小型チューブアンプは出力が弱く真空管の口径も小型のためか、すぐ温まりますが、ライヴ定番の高出力スタックアンプの場合、通常ヴォリュームまで分単位で時間がかかります。

一方、ソリッドステートアンプは出力には関係なく、スイッチを入れれば即使用OKのお手軽さ。

「だったら温まるまで待てばイイじゃないか」とか「前もってスタンバイスイッチを入れて温めておけば済む話じゃないか」という疑問もわくと思います。

しかしながら、前のバンドが持ち込みアンプヘッドを使うとのコトで外され、スタンバイスイッチを入れて温めておくコトができず、セッティングの最中に全然ヴォリュームが上がらず。

そんなワケで、ようやく真空管が温まってきたというところでリハなし演奏スタートというコトがありました。前日リハをやっておいたから良かったものの、冷や汗ものでした。

このような不測の事態に対応するためにも、次回はマーシャルでなくジャズコーラスだなと思った次第であります。

 

結論:どちらも所有し、目的に応じて使い分ける

僕はプライベートではソリッドステートアンプしか使ったコトがなく、チューブアンプを使わせてもらったのはライヴハウスやスタジオで演奏する時くらいしかありません。

真空管の取り扱いがナーバスなのと、単純に高額なので敷居が高いからであります。

しかしながらチューブアンプのサウンドにも惹かれる浮気者でありまして、セットリストに併せてチューブとソリッドステートの両刀使いになりたいと考えております。

たとえばギターアンプ直結のストレートなハードロック主体であればチューブアンプ、さまざまなジャンルのコピー曲を演奏するシチュエーションであればソリッドステートというように。

そして、本来であればエレキギターだけでなくギターアンプも、トラブル対処の保険としての見地から複数所有しておくべきものだと思います。

いずれにせよ、構造上の優劣を語る必要はありません。一長一短なので語る意味がない。

経済的な余裕があるコトが前提となりますが、チューブとソリッドステート、気に入った方をメインに使い、修理で一時的に手放している間はサブメインとして使うのがベストです。

原因不明の故障や消耗品の交換など、機材に突然のトラブルは付き物なので。