エレキギターで裏拍カッティングを極めるために

エレキギターで裏拍カッティングを極めるために

80年代のハードロックの洗礼を受けてオトナになり、速弾きがやりたいがためにエレキギターを続けている僕にとっては、超絶技巧の速弾きをいかに弾きこなすかが重要です。

ところが、洋楽ハードロックの速弾きをマスターしても、バンドで披露する機会には恵まれません。選曲は客ウケ重視で、昭和の歌謡曲や平成のJ-POPが中心だからです。

多様なジャンルを対象としたコピーバンドのギタリストが求められるテクニックの中で身につけておかねばならない3大テクニックは以下のとおりです(優先順に)。

まずはブリッジミュート、次にカッティング、そしてチョーキング(ヴィブラート)です。

もちろん、他にも基本ワザは多数あります。以上にトリル・プリング・スライドをマスターすれば、エレキギター弾きが身につけるべき基本ワザのおおよそはカバーできます。

上記の3大テクニックと3つの基本ワザが身につけば、脱初心者を宣言するコトができます。

そして、世の中に多数いる中級ギタリストの仲間入りを果たし、そのあとは上級者を目指して長く苦しい道のりが始まるのです。

 

リズムキープが最も難しいリフ、裏拍カッティング

単独でそれなりに弾けるようになったと思っても、実際にバンド練習してみると合わないものです。リズム隊とのアンサンブルをこなす中、バンド初心者は苦悩の日々を送るコトに。

自主練習に励んで自分のパートがようやく弾けるようになったと意気揚々と練習場に向かい、いざセッションしてみたら全然ダメだったという話はザラにあります。

その中で「ある種のコツ」といいますか、必要最低限の場数を踏んで経験値を上げなければ絶対にうまくいかないエレキギターのアプローチがあります。

それが今回のテーマ、裏拍カッティングであります。

 

バンドのセッションで初めて気づく裏拍カッティングの難しさ

例えば、布袋寅泰さんの「BAD FEELING」のように技巧を凝らした難解カッティングやBOOWY時代の名曲で繰り出す高速カッティングは、バンドではそれほど難しくありません。

もちろん、ギタリスト個人としてマスターするためには相応の練習が必要ですし、厳密な意味では、「BAD FEELING」はプロでさえ「弾けない」と公言しています。

これらのカッティングは習得に苦労します。ところが、意外でしょうが、バンドのアンサンブルでリズム隊と合わせるのはそれほど難しくないのです。

では、技巧カッティングや高速カッティングはそれほど難しくないのに裏拍カッティングはバンド演奏では非常に難しくなってしまうのでしょうか?

 

そもそも、「裏拍カッティング」とはどのようなワザか

ここで裏拍カッティングの「裏拍」についてご説明します。

1小節4拍として図解で解説しますと、表拍と裏拍はこのような違いがあります。

表拍→(〇)(〇)(〇)(〇) 

裏拍→(×〇)(×〇)(×〇)(×〇)

カッコを1拍、〇をまるっと1拍と仮定しますと、表拍は「タン・タン・タン・タン」となります。一方、裏拍はまるっと1拍の前半に休符が入り「ンッタ・ンッタ・ンッタ・ンッタ」に。

なお、裏拍の擬音化「ンッタ」のうち、「ンッ」の箇所が休符、「タ」が実音になります。

ギタリストによって弾き方の違いはあるでしょうが、僕の場合は、休符をダウンを空ピッキングで音を切り、アップピッキングで実音を鳴らす弾き方をします。

つまり、1拍あたりのストロークを「ダウン(×)→アップ(〇)」で行うのです。コレを4回、繰り返すのを延々と続けるワケです。

ギタリストの基本的なピッキングのストロークはダウン→アップですので、裏拍の場合はダウンを空ピッキングで行う方が弾きやすいと思います。

さらに、指板を押さえる側の手にも仕事があります。空ピッキングのタイミングに合わせて、弦を押さえる指を少しだけ指板から浮かせるのです。それも一瞬で。

これら両手の動きがピッタリ一致すると、切れ味するどく小気味いいカッティングを鳴らせます。

 

裏拍カッティング、バンド演奏でリズムがズレる2つの理由

裏拍カッティングでよく起こるのは「最初のうちは合ってるんだけど、弾いてるうちにリズム隊とズレてしまう」現象です。

裏拍だったのに徐々にリズムがズレてきて、裏拍が表拍に「裏返って」しまうのです。では、なぜこのような困った現象が起こるのでしょうか?

考えられる理由は、大きく分けて2つ挙げられます。

そもそも、カッティング技術を完全にマスターできていない

身もフタもない話で恐縮ですが、カッティングの経験値が不充分なギタリストは動きがぎこちなく、特にハイテンポの裏拍カッティングになると曲展開に追いつけず、リズムが狂います。

ダウンストロークで空ピッキング→アップで実音、この一連の動きに、指板を押さえる側の動きをピッタリと合わせられなければ、キレのある小気味よさが出せません。

しかも、指板を押さえる側の手の動きも、曲展開に合わせて次々にポジションが切り換わっていくワケです。

テンポが速くなれば、それだけフィンガリングの難易度も上がっていきます。

後述するリズムにも気を配りつつ両手の動きを正確無比に連動する。そのためには、まず最低限のカッティングをキッチリ身につけるコトが先決です。

ギタリスト自身が正しく裏拍のリズムを取るコトができていない

裏拍カッティングが正しく弾けるかどうかは、ギタリスト自身が休符のリズムを一定にキープし、正確にカッティングを刻み続けられるか、その一点で決まります。

というのも、リズム隊が裏拍で演奏する曲ばかりとは限らないからです。

ドラムのリズムが裏拍なら、ドラムに合わせて裏拍カッティングだけに集中するだけで済みます。

ところが、リズム隊やキーボードが表拍でギタリストだけが裏拍の曲の場合は、ギタリスト自身が裏拍リズムを取りながら、それを頼りにカッティングを刻めなければなりません。

そのためには、まずは原曲に合わせて自主練習し、あとはバンド練習でギタリスト自身がリズムを取る訓練を繰り返すしかありません。

メトロノームで裏拍リズムを練習する方法も紹介されていますが、これは非バンド派ギタリストへ薦めるべき練習法だと思います。

生身のリズム隊が繰り出す音の揺らぎ、PA環境による音の聴こえ方の違い(いわゆる「返し」のモニターなしで演奏する場合は特に)、そしてステージでの緊張感。

これらのシチュエーションはバンドを組んでいるからこそ体験できるものであります。まずバンド練習でメンバーが繰り出すリズムを聴きながら自分でリズムを取る訓練を繰り返すのです。

いずれ、裏拍カッティングを最後まで弾き切れるようになります。その爽快感は格別です。

 

オススメの練習曲は「夏祭り」と「さくらんぼ」

最後に、僕が所属するバンドで演奏している裏拍カッティングの名曲をご紹介します。

裏拍カッティングの練習になり、バンドスコアを入手しやすく、ライヴで披露すれば非常にウケが良い、ジッタリンジン「夏休み」や大塚愛さん「さくらんぼ」の2曲です。

どちらもサビがすべて裏拍カッティングの応酬となります。中級ギタリストであれば、練習すれば必ず弾けるようになります。

エレキギター以外のパートも難しすぎない2曲ですので、ぜひ挑戦してほしいと思います。