エレキギター、弾けていない曲を「弾けてる風」に聴かせる秘訣

エレキギター、弾けていない曲を「弾けてる風」に聴かせる秘訣

エレキギターのテクニックが上がれば上がるほど陥るのは、自分では弾けると思っていたが、実は全然弾けていなかったコトに気付く」ジレンマでしょう。

完成度という点において、あまりに追求してしまうと上限というものが見えなくなります。

つくづく思うのは、厳密な意味で弾けると判断できるかどうかは、プロのギタリストの凄みが体感できるだけのテクニックが身についてからの話となります。

しかしながら、その極みに近づけるのはごく少数でありまして、それを他人に求めればトラブルの元凶になりますし、自身に求めれば挫折にシフトしてしまいます。

リアルタイムでBOOWYを聴けなかった世代として、高校時代は(解散したのは僕が中学生の頃でした)、布袋さんのギターソロを夢中でコピーしていました。

残念ながら、ほとんど弾けないままオトナになってしまったのですが、たとえ正確無比に弾けなくても、ただエレキギターを弾くのが楽しくて夢中でした。

中でも、最も弾きたかったのはGIGS(ライヴ版)で収録されている「わがままジュリエット」のギターソロ。「泣きのソロ」の最高峰だと今でも思っています。

ソロ前半、三連符で音階が駆け上がっていくフレーズが何度やっても弾けず「ダメだわ」と断念。何とも、ほろ苦い思い出です。

あれから20余年。今ではラクに弾けますが、当時は「どうしても布袋さんと同じフレーズを弾きたい!」と思い入れが強すぎた故に挫折したと思っています。

もちろん、オリジナルと寸分違わず弾けるに越したコトはありません。しかしながら、それだけがエレキギターのすべてではありません。

そこで今回は、「ホントは弾けてないんだけど、何となく弾けてる風」に聴かせる弾き方について綴りたいと思います。

 

弾けてる風に聴かせる、カギとなるのは「アレンジ」

たとえ数十年かかったとしても、最終的に弾けるようになればギタリスト冥利に尽きるというものだと割り切り、理想どおり弾けないフレーズありきで考えます。

ここから先はハードロックの速弾きや変則カッティングといった難解なオリジナル曲をコピーで弾きこなす前提で話をしていきます。

弾けないフレーズをいかに「弾けてる風」に聴かせるか?

カギとなるのは、弾けないフレーズをソレっぽく簡略化してしまうコトにあります。

「弾けないから妥協」→「自分なりにオリジナリティを加えたアレンジ」と考える

まずは心がけから。オリジナルどおりでなくても全然問題ないと割り切るコトが重要です。

たぶん、決してホメ言葉ではないと思われるワードの1つに「雰囲気イケメン」があります。

要は「本物イケメンでないけど、なんかイケメンっぽく見える」という意味ですが、この考え方をエレキギターに転嫁してしまうのです。

ホントのイケメンになれなくても、努力と工夫次第ではイケメンっぽく見える。

たとえ雰囲気イケメンであってもイイではありませんか。真正ブサメンから脱却しているのなら、そのヒトには相応の器量が備わっているのですから。

「ダサい」と思われないよう「容易に弾けてソレっぽく聴こえるフレーズ」を模索

もちろん、ギタリスト同士であれば、そして同じアーティストを愛してやまない者同士であれば、そんな小細工はすぐに見抜かれてしまいます。

しかしながら、洗練さやオシャレさを巧く演出するコトができれば、「あれ、そのフレーズなんかイイじゃん? オレにも教えてよ」と請われるように。

ソフィスティケートされているかどうかはさておき、僕が当時やっていた例をご紹介します。

冒頭で触れた「わがままジュリエット」のギターソロを例に解説をしますと、僕がどうしても弾けなかったフレーズは下記のとおり運指します。

なお、ピッキングについてはオルタネイト(アップ→ダウンの繰り返し)で展開します。

〔以下、フレットを「F」と略〕

3弦11F(人差指)→3弦13F(薬指)→2弦11F(人差指)→3弦13F(薬指)→2弦11F(人差指)→2弦12F(中指)→2弦14F(薬指)

脱中級者のギタリストにとって、このフレーズの難しいところは2弦と3弦を交互に1音ずつ鳴らしていく箇所があるコトです。

特に、3弦13フレットを薬指で弾き、続けて2弦を次々に弾いていくところが難しい。

今なら目を瞑っても弾けるフレーズなのですが、どうしてもうまくいかない。そこで、当時の僕が編み出したのが下記の運指でした。

3弦11F(人差指)→3弦13F(薬指)→2弦11F(人差指)→※2弦11F(薬指)→2弦11F(人差指)→2弦12F(中指)→2弦14F(薬指)

要は、薬指を3弦→2弦と押さえるのがうまくできなかったので、3弦を押さえず2弦だけを弾くコトによって、簡略化とソレっぽさを演出したワケです。

当時、何とも忸怩たる思いで、他の曲も同じような簡略化(もといアレンジ)で弾いていました。ですが「弾き方がヘン」などと気づかれるコトはありません。

 

最初と最後さえ正確であれば「弾けてる風」に聴こえる

カラオケでもそうですが、途中のリズムや音程がズレたとしても、歌い出しと歌の終わりでピタリと原曲のリズムと音程に合致すれば、一応は歌として成立します。

最初と最後さえ原曲どおりに弾ければソレっぽく聴こえる。これは非常に重要な気づきでした。

1小節に4拍子の標準的なリズム割りで考えると、小節ごとの最初と最後の音さえ原曲と合えば、「ちょっと弾き崩した感じだけど、あのソロを弾いてる」と認知してもらえるからです。

この理論を活かして練習すると、超絶技巧の速弾きギタリストが展開するソロフレーズを速く上達できるようになります。

もはや、速弾きレジェンドの殿堂入りといっても過言でない超絶技巧の主、ポール・ギルバートの「ダディブラ」こと「Daddy, Brother, Lover, Little Boy」。

この曲のギターソロは、今や速弾き課題曲の登竜門といえるフレーズとなっています。

規則正しい16連符の応酬となる前半と、ときおり休符が入る独特のアクセントが展開する後半で構成されています。そして、ドリルを使ったパフォーマンスに突入。

ドリル部分はさておき、速弾きフレーズをモノにするには、全体的な流れを把握し、オリジナルと同じタイミングを取るための練習を優先するのが完コピの秘訣でした。

難解な速弾きをマスターする近道は、まずは拍ごとのタイミングを取るコトから

もちろん「ソレっぽい」弾きこなしが精いっぱいなのですが、オリジナル曲に合わせて弾く練習を続けるうち、「拍ごとに、最初と最後だけタイミングを合わせる」を意識。

すると、不正確さと引き換えに、オリジナルと同じタイミングでフィンガリングができるように。

枝葉末節にとらわれ、バンドスコアどおり1音1音を覚えていくような練習は、いつまで経っても弾けるようになりませんでした。

そうではなく、まずは「今このあたりを弾いてる!」というフィンガリングのタイミングを覚える。次に、正しいタイミングをイメージしながら正確にフィンガリングできるための練習へ。

コレこそが、僕にとっての「ダディブラ」のギターソロ攻略法だったのです。

フィンガリングのタイミングを掴むというのは、3連符などのように変則ながら規則的なリズムをキープするための練習にもつながります。

1拍ごとに「タタタ・タタタ・タタタ…」と同じパターンを繰り返す場合、1拍ごとに最初の音を弾くタイミングを正確にキープできるかどうかが3連符をキレイに弾くキモなので。

完コピへの道はまだまだ先ですが、自在に弾きこなせるようになるまでは「ソレっぽい」プレイを存分に楽しみ、少しずつ完成度を上げていきたいと考えています。