エレキギター弾きが楽譜を見ないで演奏すべき理由
- 2019.10.14
- エレキギター

クラシックのオーケストラ、ブラスバンド、ピアノの演奏では、当然のように楽譜を見ながら演奏しています。むしろ、見ないで弾いているところを見たコトがない。
僕が所属するバンドでも、スコアや歌詞カードを見ながら演奏したり歌ったりするメンバーばかり。楽譜を見ずに演奏するのは僕とドラマーのみ。
僕もまったく楽譜を見ないというワケではないのですが、せいぜい1ステージで1~2曲くらい。ほとんどは暗譜して弾いています。
ところで、エレキギター弾きはどちらのスタイルで演奏をした方が良いでしょうか?
僕は「他のパートはともかく、エレキギター弾きなら、できる限り暗譜してライヴに臨むべき」と断言します。
「楽譜を見ながら弾く派」と「暗譜して弾く派」に分かれる
楽譜を見ながら演奏するメリットとデメリット、楽譜を見ないで演奏するメリットとデメリットがあります。
楽譜を見ながら演奏するメリットは、ギタリストでいえばフレーズやコード進行を覚えなくて済むコトに尽きるでしょう。
カラオケボックスで、歌詞を見ながら歌う方が確実で安心といえばピンとくるでしょうか。
一方、デメリットとしては、楽譜がないと弾けないというのが最大の困りごとでしょう。うっかり忘れてしまったら最悪ですし、照明が暗かったり強風に晒されたりしても困ります。
逆もまた真なりで、楽譜を見ないで演奏するメリットは、楽譜が要らないコトです。ギタリストでいえば、指先さえ見えればOKで、暗さにも強風にも影響されません。
デメリットとしては、ライヴ直前の緊張や重圧で記憶が飛べば、思考停止状態になってしまい演奏どころでなくなるところです。
このように、それぞれメリットとデメリットがありますが、うちのバンドメンバーを見渡す限り、利便性よりも各自の性格や考え方に大きく左右されるようです。
楽譜を見ながら弾く派の特徴
きちんと正しく楽譜を読むコトができる
ギタリストでいえば、楽譜を読むために必要な音楽理論をきちんとマスターしており、基本コードもしっかり暗記できているヒトは楽譜を見ながら弾けます。
基本コードが身についていないと、コード進行だけでは押さえるポジションが判らず弾けないのです。
キーボード担当もかつてクラシックピアノを習っていたそうで、当然ながら楽譜が正しく読めます。だからこそ、楽譜を見ながら弾けるのです。
演奏しながら、すばやく楽譜のページを捲るコトができる
楽譜を見ながら弾くコトが当然なピアニストは、楽器がキーボードになっても譜面台に載せた楽譜のページを素早く捲るコトができます。
その間、手元は鍵盤を見ずに弾いており、目線は「オタマジャクシの追い駆けっこ」をしている。
ギタリストも然りで、楽譜に注視しながら演奏しています。よほど広範囲なポジションチェンジをしない限り、ほとんど手元は見ていません。
楽譜を見ながら弾ける以上、あえて暗譜をする理由がない
僕が所属するバンドメンバーの中には事務所に所属していた元プロのヴォーカルがいますが、そのヒトを除き、どのヴォーカルも歌詞カードを譜面台にセッティングしています。
同様に、きちんと楽譜が読めて、楽譜を見ながら演奏する習慣がついている弦楽器隊も鍵盤部隊も暗譜する気はないようです。
暗譜できないのではなく、敢えてしない。その必要性がないと考えているからでしょう。
楽譜を見ないで弾く派の特徴
そもそも、楽譜を正しく読むコトができない
あくまで僕の場合ですが、五線譜に書かれた音符でドレミの判別が不能。また、リズムも取れない。せいぜい、タブ譜で押さえるポジションがどこか探るのが精一杯です。
音楽の授業からして劣等生でしたので、未だに楽譜が読めませんし、それを強要される楽器でないからこそ30年以上も続いているワケです。
クラシックギターのようにタブ譜なしの楽譜であれば、とっくの昔に放棄していました。
タブ譜とは、五線譜の代わりに6弦を見立てた6本線が、音符の代わりにフレット数が記載されたギターとベース専用の楽譜のコトです。
このタブ譜を頼りに、あとは耳コピで曲を覚える僕のようなギタリストにとって、楽譜は弾けるになった後は無用の長物でしかありません。
楽譜と指先、どちらも見ながら演奏するコトができない
楽譜を見ながら演奏するという習慣がついてない以上、楽譜を見ながら演奏するというのは非常にストレスがかかります。
指板と指先を確かめながら楽譜を見るという同時作業は、慣れないと困難を極めるのです。
コレができるのは、せいぜい単純な基本コードを追いかけるだけで済むコード弾き(ストロークやアルペジオを含む)に限定されます。
しかも、演奏中にペラペラ捲る必要がない、歌詞カードに割り振りされた基本コードだけを1枚にまとめた楽譜を使うコトも条件です。
というワケで、僕が楽譜を使うのはコード進行だけが記載された手作り歌詞カードに限ります。
否が応にも、自分のパートを暗記せざるを得ない
このように、楽譜を見ながら演奏するコトができない(できたとしても非常に高負担かつ不効率)ギタリストは必然的に暗譜という選択肢を迫られます。
また、僕の場合ですが覚えが悪く、難しいフレーズや複雑なアレンジがなされた曲が弾けるようになるまでには人一倍の練習をこなす必要があります。
さらに僕の場合は記憶力が良くないという生来のハンディキャップを背負っていますので、人一倍数をこなしてフレーズを暗記するための練習が要ります。
手軽に弾ける曲はなかなか暗記できず、難しい曲は弾けるようになるより先に暗譜ができてしまうほど繰り返し練習する必要があるのです。
エレキギター弾きは可能な限り暗譜すべき
冒頭の話に戻りますが、他のパートはともかく、エレキギター弾きはなるべく楽譜を見ずに弾けるようになるべきと断言しました。
その理由はいくつかありますが、エレキギターはバンドの花形であるコト、ステージアクションも役割の1つであるコトが挙げられます。
少しでも可動できる範囲が確保されている限り、エレキギター弾きはステージで動くべきです。
ヴォーカルが歌っている間は主役を盛り立てながらリフなどのバッキングに徹しますが、ソロなど見せ場が回ってくれば、最低でも一歩前に出る。
コレがエレアコ弾き語りなどギターヴォーカルであれば、マイクに向かって一心不乱に歌いながらギターをかき鳴らすだけでイイ。
しかしながら、エレキギター弾きは直立不動であってはいけないのです。少なくともカラダ全体で弾くのです。
プロの世界で直立不動のロックギタリストなどいません。飛んだり跳ねたりスピンをしたりする、ステージ上を疾走したり、弾きながら踊るギタリストすらいます。
どんなに控えめなロックギタリストでも、見せ場で一歩前に出るくらいのコトはします。その前に譜面台が置かれていると、動くのにジャマで仕方がないのです。
エレキギター弾きのパフォーマンスにとって、足手纏いになり得るものは最初から排除すべき。
そのためには、暗譜が欠かせないのです。
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