転職で何を優先し、何を諦めるかを明らかにすべき理由

転職で何を優先し、何を諦めるかを明らかにすべき理由

現状に不満を持ち、転職を志す前に熟慮すべきポイントがあります。それは、「転職後、何を優先して生きていきたいか?」という問いに対する答えであります。

反省ですが、僕はその点を曖昧にしたまま転職を繰り返したコトによって、以後の人生に大きな影を落とすほどの大失敗となりました。

「経験したからこそ悟りを開けた」といえばそれまでなのですが、転職するコトによって得られる新しい人生、そのイメージを可能な限り具現化しておくコトをオススメします。

今回は過去の僕と同じ轍を踏まないよう、「なぜ転職したいのか」ではなく「転職後にどう生きていきたいのか」を真剣に考えるべき理由について綴ります。

 

成功を決定づける「転職後の人生をどう描くか」

では、なぜ転職したいと思うのか? その答えは単純明快、「今の職場が心底イヤで仕方がない」と負のスパイラルに陥っているからです。

かくいう僕もそうでした。期待に応えたいと忍耐力を最大限に発動し、どうにか踏み止まってきた上で苦渋の決意をした上で提出した退職届ばかりでした。

その意味では「今の職場がスキですけど、どうしても夢を諦められなくて…」などという白々しいセリフは、しょせん文学的修辞というキレイゴトに過ぎません。

だいたい、夢の妨げになるほど不自由な職場を探す方が困難です。そして、その「夢」なるキレイゴトも、一皮むけば「今より好待遇」「人間関係の清算」であります。

幸いなコトに、僕たちは日本国憲法22条において職業選択の自由が保障されています。

転職もまた憲法で保障された職業選択の自由に含まれるものと拡大解釈できますが、だからこそ、その自由をいかに有効に行使するかがシビアに問われるのであります。

転職経験者にとって、転職を決意した理由を具体化するのは難しくありません。すぐに思い浮かぶコトでしょう。

・人間関係に対する不満(理不尽なハラスメントの数々、無能な同僚が足を引っ張る)

・給与や待遇に対する不満(労働への評価が正当ではない、労働時間が長すぎる)

・仕事そのものに対する不満(自分に合っていない、精神的苦痛しか感じない)

以上が、転職を決意するに至った3大理由でありましょう。転職経験があるサラリーマンであれば、誰もが上記のいずれかに思い至るのではないでしょうか。

その他、介護や看護の業界で腰痛を悪化させてしまうなどの職業病を患ってしまい、やむなく転職せざるを得ないヒトもいますが、ごく少数であります。

表向きは角が立たない職業病を挙げ、病気療養のため、あるいは病状を悪化させない転職を理由に退職届を出したがホンネでは…といったケースの方が圧倒的大多数であります。

このように、なぜ転職したいかについては、誰もが明確な理由を導くコトができます。

ところが、そこから逃避したいとの思いだけが先行し、転職後にどう生きたいかについての展望が甘いケースが非常に多い。僕もそんな1人でした。

逃げ出したいのならそれもアリです。どうせ、残っていてもロクなコトにならないのですから。

ただし、逃げ出した後にも長い社会人生活が待っているという点を忘れてはいけません。

 

何を優先し、何を諦めるか? シビアに割り切る覚悟を

「はみだし銀行マン」こと横田濱夫さんのセリフを引用させていただきますと、「人生のグランドライン」をどう描くかが転職の成否を大きく左右します。

もちろん、職場の人間関係に恵まれ、やりがいのある仕事に没頭でき、そして転職前よりも高額な給料を支払ってくれる夢のような職場に転職できれば最良でしょう。

ところが、空想上の動物を現実世界で追い求めるようなもので、現実にはそのような職場など絶対に存在しません。

一方で、「もうホントに仕事が楽しくて、休むなんて考えられない!」というヒトもいます。

実際、僕の知人にそういうヒトがいます。僕が障害者ケアマネとして担当している相談者の中にも数人います。断っておきますが、いずれも実話であります。

なお、後者については、仕事を休みたくないから定期受診すら行きたくないと家族にゴネるほどのツワモノもいます。

では、そうしたヒトたちは、転職によって得られる可能性があるすべての要素を手中に収めたのでしょうか? 答えはノーです。

彼ら彼女らが「自分にとって満足度が高い職場を選んだ」のは確かです。

もちろん、望み得るすべてを手に入れたワケではありません。それでも満足しておられます。

優先順位の中から絶対に外せないものを1つ厳選し、それ以外を切り捨てたり、諦めたりするコトによって現在の高い満足を得ているのです。

翻って考えてみていただきたいのですが、アナタが自分にとって絶対に外せない優先ポイントとは何でしょうか?

厳しい現実を突きつけるようで恐縮ですが、高給優先という好待遇を望むのであれば、それ以外のすべてを犠牲にする必要があります。

常識的に考えればすぐ判ります。高い給料と引き換えに、他人よりも働かねばなりません。

それは時間数や業務量だけではありません。質的な面においてもシビアさが求められるのです。

他人がイヤがるような割に合わない仕事や、誰しもがこなせない困難な仕事も含まれます。

 

一方で、高給でない優先ポイントを得るのであれば、まだ複数を選ぶコトができます。

妙な期待をされて分不相応な激務をこなし、疲弊と摩耗の日々が延々と20年以上。3回の転職を経て、最終的に現在の半独立型社会福祉士になって初めて気づいたコト。

それは、僕が求めていたのはスローライフそのものだったという僕なりの真実でした。

「ここ一番で働かねば!」という時に手抜きせずに本気で働き、そうでない時は適度に手を抜く。すべては僕次第。僕の意志が尊重され、自由が保障された職場。

相談者やその家族、そして支援者から絶対に不満が出ない水準で結果を出し続けながら、なおかつ赤字を出さない最低限度の収益を維持し続ける。

今なら、仕事が楽しくて休みたくないと話していたヒトたちの気持ちが良く判ります。

転職は、転職そのものではなく、その後の人生を豊かにできるか否かがカギです。優先すべきものを見誤ると以前の僕と同じ轍を踏んでしまうコトでしょう。

自分は何を優先したいと思っているのか? その一方で、何を諦めるべきなのか?

以上、徹底的に精査した上で割り切る覚悟で臨みましょう。