ピックアップの組み合わせでエレキギターを選ぶ

ピックアップの組み合わせでエレキギターを選ぶ

当ブログのエレキギターのカテゴリで、シングルコイルとハムバッカー、それぞれの特徴や魅力、使いこなし方について綴ってきました。

しかしながら、ピックアップだけでエレキギターが成立しているワケではありません。メーカーの方向性や価格設定による性能差だけで語れない要素があります。

それは、ピックアップの配置、それらの組み合わせによって生じるサウンドの違いであります。

基本中の基本を1つご紹介しますと、すべてのエレキギターに共通する特徴として、フロント側を選ぶと「こもったサウンド」「まろやかなサウンド」になります。

一方、リア側を選ぶと「クリアなサウンド」「キレが鋭いサウンド」になります。

 

ピックアップの配置、その違いによるサウンドの特徴

エレキギターの二大巨頭、ストラトキャスターとレスポールを例にすると、前者はシングルコイル3基、後者はハムバッカー2基が搭載されています。

以上がピックアップ配置における王道ですが、他にも幾つかの組み合わせがあります。

以下、そのパターンについてシングルコイルを「S」、ハムバッカーを「H」で表記し、ネック側から順にピックアップの配置を表記します。

代表的なパターンは、ストラトモデルに取り入れられるコトが多い「SSH」や、アイバニーズのトレードマーク「HSH」あたりでしょう。

フェンダーは、ストラトのような「SSS」は少数派であり、テレキャスター・ジャズマスター・ジャガー・ムスタングの「SS」パターンが一般的であります。

ギブソンは「HH」が主流ですが、レスポールジュニアのようにシングルコイルがリアに1基のみとか、レスポールカスタムのレア版として「SSS」があります。

ピックアップ配置のパターンによって当然、サウンド面の違いがあります。以下、それらにおける一般的な特徴を挙げていきます。

ハーフトーンが非常に美しい「SSS」パターン

シングルコイル3基を搭載するストラトキャスターは、フロント、フロント+センター、センター、リア+センター、リアの5つの組み合わせで鳴らせます。

基本的な使い方としては、リフを刻む際はリアピックアップが使われ、ギターソロではフロントとリアが使われます。

では、センターピックアップはどう使われるのかといいますと、フロントかリアとミックスさせたいわゆる「ハーフトーン」でよく使われます。

ストラトキャスターの魅力といえば、シングルコイルの魅力が前面に打ち出されたカッティング。その魅力を最大限に発揮できるのがハーフトーンです。

リアピックアップだけだと高音域がピーキーすぎる、フロントピックアップでは切れ味に欠ける、ハーフトーンこそがカッティングの妙を存分に味わえるのであります。

感覚上の解説になりますが、ハーフトーンでは2つのピックアップが1/2の出力になった同士がちょうど1になるようなサウンドになります。

まろやかさとキレ味の良さをミックスさせたサウンドに変貌し、クランチで弾けば耳触りが良く、クリーンで弾けば玲瓏の如く澄んだ鈴鳴りに。

イングヴェイ・マルムスティーンのようにセンターを使わない例外はありますが、ストラト使いはハーフトーンを鳴らしたくてストラトを選ぶといっても過言でないほどです。

2択で鳴らすシンプルな極太サウンド「HH」

ハムバッカー2基を搭載するレスポールに代表されるギブソン全般のモデルは、フロントを使うかリアを使うかがハッキリ決まっており、ハーフトーンを使うギタリストは少数です。

その理由としては、無骨で図太くパワフルなハムバッカーの特性上、単発で鳴らした持ち味を発揮できるからでしょう。

ピックアップが2つですので、基本はフロント、フロント+リア、リアの3パターンとなります。

そのため、ハーフトーンも鳴らせますが、サウンドはちょっとイマイチ。シングルコイルのようなニュアンスは出せません。

使い方は単純明快。フロントかリア、どちらか一方を鳴らすギタリストが圧倒的に多いです。

一般的にはリアピックアップを中心に使うコトになり、ギターソロで必要に応じてフロントピックアップに切り換えるといった使い方になります。

レスポールのセレクタースイッチはネックジョイント側のストラップピン付近に配置されており、弦を弾く軌道から遠く離れているので瞬時の操作には不向きです。

当のギブソンも演奏中にピックアップを頻繁に切り換えるコトを想定していなかったのでしょう。それとも、デザイン上のこだわりなのでしょうか。

ハーフトーンを綺麗に鳴らせる「ハムキャンセル」

次にご紹介するのが、アイバニーズのRGモデルで採用されている「ハムキャンセル」という変則パターンです。

RGモデルは80年代のハードロックやメタルで大人気を博し、その血統が現在もなお脈々と続く売れ筋モデルです。

ストラトを基本とした鋭く尖ったシェイプ、ハードなアーミングが可能な独自のロック式ブリッジ、そして「HSH」パターンが特徴です。

異なるピックアップを3基搭載し、鳴らし方の組み合わせはストラトと同じ5つのパターンですが、ハーフトーンを選んだ時のみハムバッカーがシングルコイルに変貌するのです。

ハムバッカーはシングルコイル2基を合体させた構造になっているのですが、RGモデルは2つのピックアップを選んだ時のみ起動する「ハムキャンセル」を施しています。

すなわち、フロント+センター、リア+センターの2パターンを選んだ時、フロントまたはリアの1/2がオフになるのです。

以下、図で解説しますが、●をオン、〇をオフと表記します。〇が1つならシングルコイル、〇が2つはハムバッカーです。左側をヘッド、右側をブリッジとします。

以上をもとに表記すると、ストラトは〇 〇 〇、RGモデルは〇〇 〇 〇〇になります。

これらを参考に、ハーフトーンを鳴らす際のパターンを表記しますと下記のとおりです。

フロント+センター 〇● ● 〇〇

リア+センター   〇〇 ● ●〇

ストラトモデルでよくあるパターン「SSH」では、リア+センターのハーフトーンを選んだ場合は異なるピックアップの組み合わせになります。

一方、RGモデルはハーフトーンのみシングルコイルの組み合わせになり、ストラトキャスターと同じ特性となりますので、キッチリ使えるサウンドが得られるというワケです。

アイバニーズだけでなく、ヴォリュームノブを上下に操作するコトでハムキャンセルを行う機能を搭載したモデルもあります(ヤマハのパシフィカ、フジゲンの一部モデル)。

 

以上、代表的なピックアップの組み合わせと特徴について綴りました。

しかしながら、あくまでも基本的な考え方であり、基本を踏襲しつつ変則的な組み合わせを施したエレキギターも数多くあります。

3ハムバッカー搭載のレスポールカスタム、フロントハムにリアシングルコイルを組みわせたテレキャスター、P-90とハムバッカーを組み合わせたストラトモデル。

これらは王道のピックアップの組み合わせではなく、いずれもレアモデルであります。

とはいえ、オーダーメイドでない汎用モデルとしてリリースされている以上、一定数のユーザーが存在するのでしょう。

ピックアップの組み合わせを考慮した上でエレキギターを選び、購入後の後悔をせず、長く使える最高の1本と出会えますように。