ラルク「HONEY」をエレキギターで弾きこなす

ラルク「HONEY」をエレキギターで弾きこなす

コピーバンドの中級ギタリスト、それも「中の上」クラスにうってつけの課題曲が盛りだくさんのロックバンドの1つ、L’Arc~en~Ciel(以下、「ラルク」と表記)。

僕が所属するバンドでも数曲コピーしたコトがありまして、今回はその中で最も好きな曲でもある「HONEY」のコピーについて解説します。

エレキギターの弾き方については以下、詳しく綴っていきますが、バンドでラルクのコピーをする上での注意点を2つ、あらかじめ列挙しておきます。

ヴォーカル:歌唱力はもちろんだが、それ以上にハイトーンであるコト

これはエレキギター弾きでなくとも一聴すれば明白ですが、Hydeさんのヴォーカルは抒情的で疾走感あふれるものですが、いずれにせよ高音域を思うがまま操れるコトが身上。

「花葬」のようにファルセットを活かすコトもありますが、アップビートなナンバーではどの曲も地声で高音域をシャウトしています。

歌唱力はあってもキーが低いヴォーカルしかいない場合、コピーを諦めるか、アルト以下で歌える女性ヴォーカルを採用するしかありません。

参考までに、僕が所属するバンドのメインヴォーカルの1人が数曲を歌ってみた結果、「ラルクで歌えそうなのはコレだけです…」という曲が「HONEY」でした。

ギター:相応の腕利きであるコト、ベースはそれ以上の腕利きであるコト

ラルクはkenさんの疾走感あふれるギタープレイが際立っていますが(特にライヴでの速弾きはアルバム以上に難解なアドリブ)、バンドのキモとなるのはベースなのです。

僕の演奏力をはるかに凌駕するベース担当は「コレ、けっこう忙しいね」と、嬉々としてベースを弾きこなしていますが、実は尋常ではないフィンガリング。

リーダーにしてベース担当のTetsuyaさんが好むフィンガリングは「ヨコの動き」のようで、通常のベースではあまり見かけない運指が展開されます。

低音域から高音域を弾く際、複数の弦にまたがって弾く「タテの動き」ではなく、1つの弦を高音域に向かってスライドさせて何度となく「飛ぶ」プレイが多いのです。

その動きが特に顕著なのが「Driver’s High」で、2フレットから7~9フレットを何度もスライドするプレイが見受けられます。

ココまでスライド(グリッサンド)が多数あると、中指の指紋がなくなるのではないかと思われるほどです。

ちなみに、「HONEY」においても低音域から高音域に向かって指板上を滑り上がるフレーズや「ヨコの動き」を多用したフレージングが炸裂します。

エレキギターが比較にならないほど最初から最後まで過激なフィンガリングが求められるという、「ムズいプレイが大好物」という腕利き向けのベースであります。

以上、前置きが長くなってしまいましたが、「HONEY」エレキギター解説に入ります。

 

「HONEY」をコピーする上で欠かせない2つの機材

エレキギターはストラト系でなくても問題なし

弾き方をご紹介する前に、まずは「HONEY」をコピーする上で必要な機材について綴ります。

Kenさんは今やトレードマークにもなったフェンダーのストラトキャスターを愛用していますが、この曲がリリースされた当時は別なギターも使っていました。

プロモーションビデオではシグネチャーモデルのフライングⅤモデルを使っていましたし、絶対にストラトでなければならないというワケではありません。

「My heart draws a dream」のイントロや「Winter fall」のギターソロを弾く場合、フロントにシングルコイルが搭載されたエレキギターを使うべきです。

しかしながら、「HONEY」は、ピックアップの種類にまで神経質になる必要はないでしょう。実際、kenさん自身もピックアップセレクターをリアにしたままで弾いています。

必須アイテムはオーヴァードライヴ系エフェクターとワウペダル

kenさんの歪み系セッティングはオーヴァードライヴまたはクランチ、歪ませすぎないサウンドメイクが基本。シングルコイルの特性を活かすためにも抑えた歪みで。

特に「HONEY」はディストーション系ではなくオーヴァードライヴ系を使うと良いでしょう。

ただし、アルバム版ではギターソロでは一転。荒々しく牙を剝き出した歪みが炸裂します。

コレはファズ系のエフェクターをかませた上でワウペダルを使っているのでしょう。しかしながら、ライヴでは使っていないようです。恐らく音質向上を狙ってのコトでしょうか。

もう1つ、「HONEY」をコピーする上で必要不可欠となるのがワウペダルです。

アレンジはライヴごとに異なりますが(そのアドリブセンスも秀逸)、どんなフレーズを弾こうが「HONEY」のソロを弾く時には必ずワウペダルを踏んでいます。

ワウペダルの使い方まではバンドスコアに表記されていないので、kenさんのプレイを参考に個々で研究するしかありません。

センス次第といえば身も蓋もないところですが、基本的な使い方としては、ピッキングする瞬間と低音域から高音域にスライドさせる瞬間に踏み込むと「ソレっぽく」なります。

もう1つの基本としては、ピッキングのスピードが遅い時はペダルを浮かし、速くなっていくごとにじわじわと踏み込んでいく使い方です。

すなわち、単調に続くフレーズにワウペダルの音程を変化させるコトによって、アレンジの変化やスピード感の変化をピッキングの速さ以外で演出するのです。

以上をまとめますと、「HONEY」をコピーするために必要な機材は、オーヴァードライヴ系の歪み系エフェクターとワウペダルの2つとなります。

なお、ディストーション系を使う際はゲイン(歪み)を極力抑えて使いましょう。

ギターソロでファズ系エフェクターを使うかどうかですが、ワウペダルの特性上、音圧がブーストされるので、省いても曲の雰囲気は出せます。

モジュレーション系エフェクトをギターソロで使う手もある

オリジナリティを演出するため、kenさんとは違う方向性でモジュレーション系エフェクターを使うのも面白いかも知れません。

歪みを抑えたモジュレーション系エフェクト+ワウペダルを組み合わせ、「らしくないけど最高にクールな」ギターソロなのがX JAPANの「Desperate Angel」です。

ライヴでは歪み系で統一されていますが、メロディアスかつルーズさを打ち出した新境地の名曲。Xが高速フレーズ一辺倒のメタルバンドでないコトを示唆しています。

僕の場合は手持ちのエフェクター、BOSS「コーラスアンサンブル」を強めにエフェクトさせてギターソロ直前でオンにしてからワウペダルを踏みます。

コーラスの鈴鳴り効果が清涼感を与えてくれますので、ファズ系のようにくどくならず、耳障りが良いサウンドメイクが演出できます。

 

テクニック的に難しくない分、勢いと正確さが重要に

ラルクをエレキギターでコピーする場合、トリッキーなプレイや正統派の速弾きまで盛りだくさん。モノにするのに苦慮するところですが、「HONEY」は技術よりも勢い重視です。

というのも、序盤のリフはコード進行の王道を行くカッティングが続きますし、サビのフレーズも同じパターンが繰り返されて難解なフレーズもありません。

ギターソロにしても同じで、ライヴで相当な速弾きを披露するステージもありますが(コピーするのに美味しいのはライヴ版)、アルバムでは凝った運指はしていません。

速弾きよりワウペダルを駆使した、いかにもKenさん独自のインスピレーションで一発撮りした勢い重視のギターソロが収録されています。

「HONEY」をコピーする際、疾走感を演出するために演奏面で気をつけなければならないのは以下の3点です。

キレの良さと曲の勢いを殺さないよう、オルタネイトではなくダウンピッキングで弾く

「HONEY」のコピーをソレっぽく聴かせるのであれば、終始一貫ダウンピッキングで弦を弾くべきです。

イントロはオルタネイトでも良いですが、それ以外は疾走感が途切れた音になるからです。

テンポが速いので想像以上に体力を消耗しますが、この曲の疾走感を最後までキープするためにはリフからソロまでダウンピッキングで弾きこなしましょう。

特に、サビに入る直前にヴォーカルが途切れる瞬間の空ピッキングはダウンピッキングで。

サビまでのリフは軽く、サビからのフレーズは1音ごとにしっかりピッキングする

主にHydeさんが担当するサビまでのリフは5本あるいは6本の弦をセーハ(人差指でまとめて押さえる)するコード弾きでリフを刻みます。

低音弦を強く鳴らし過ぎるとギターサウンドが重くなりますので、弦を深く抉るようなピッキングではなく、「軽く」ピッキングするよう意識しましょう。

活字で表現するのは難しいのですが、「軽く」というのは「弱く」ではありません。ピック先端でしっかり弦をとらえつつ、適度な強さで弾く(はじく)という意味です。

なお、「軽い」ピッキングができるようになると、歪みが強いセッティングでもノイズレスでリフが刻めるようになります。

とはいえ、軽いピッキングだけでは「HONEY」のリフは成立しません。フィンガリングする側(右利きであれば左手)のミュートも重要です。

空ピッキングのキモは、空ピッキングに指板上を動く指先が完全にシンクロするコトです。

すなわち、弦に触れたままフレットから浮かせてミュートさせるタイミングを完全に一致させる。空ピッキングやカッティングをキレイに鳴らすための必須テクニックです。

サビのフレーズはkenさんのパートです。1~3弦を中心としたコード弾きと単音弾きが中心となります。

難しい運指ではありませんし、同じフレーズが繰り返し使われるので習得しやすいと思います。

ギターソロの中核をなすスライド(グリッサンド)は正確にフィンガリングしていく

最後にギターソロですが、ライヴ版はともかく、アルバム版では速弾きは一切なされていません。

サスティーンを長く延ばしたり、スライドさせながら一気に低音域から高音域にスライドしたり、ピッキングしながらスライドしていく弾き方をしています。

フレーズの中では素早く音階が駆け上がったり下降したりするポイントと、スライドさせる一瞬の「タメ」を作り出すポイントがあります。

いずれにせよ、アルバム版「HONEY」のソロをクールに聴かせるキモとなるのは「正確無比なスライドプレイ」であります。

ギターソロ中盤の低音域から高音域に向かうスライド(4弦7→19フレット)、後半の半音ずつ下降していくスライド(1弦13→12→10→8→6→9フレット)。

以上の2ヶ所はミスしやすいので要注意です。というのも、曲の疾走感のままで勢いに任せると、思った以上にスライドしすぎるミスが起こりやすいのです。

僕がよくやるのは、4弦19フレットで止めるところが20フレットに行き過ぎるミスです。また、後半の下降スライドで、ピッキングとのタイミングがズレるミスもあります。

「HONEY」のギターソロ、フレーズそのものは決して難しくはありません。

その分、正確なスライドができるよう何度も練習し、疾走感と正確さを併せ持つフィンガリングをモノにしましょう。

そして、ワウペダルの足遣いをモノすれば、「HONEY」を弾きこなすコトができます。