東京事変「群青日和」をバンドで演奏するには

東京事変「群青日和」をバンドで演奏するには

かつて椎名林檎さんを中心に構成されていた超絶技巧バンド、東京事変。

椎名さんのキャラクターが強烈すぎて、「椎名さんが従えたバックバンド」的な見方をされなくもありませんが、難解なフレーズをいとも容易くプレイしてしまう腕利きばかりです。

エレキギターはバンド二代目の浮雲こと長岡亮介さんが有名ですが(初代は晝海幹音さん)、長岡さんといえトリッキーなプレイスタイルが代名詞であります。

東京事変が解散後、星野源さんのバックバンドに参加。テレビドラマとともに大ヒットした「恋」のエレキギターを弾いているヒトと言った方がピンときます。

かつて所属バンドで「恋」のコピーをしたコトがありましたが、練習では弾きこなせずに不完全な状況で本番に臨み、いつものヘタウマ系プレイで乗り切った苦い思い出が。

今回は、東京事変の中でも比較的弾きやすい(決してカンタンというワケではありません)初期の名曲「群青日和」、エレキギターの弾き方について綴りたいと思います。

東京事変のデビューアルバムの代表曲「群青日和」は、各パートのスキルアップには最適ですし、ライヴで絶対に盛り上がる定番曲としてオススメ曲でもあります。

スコア購入者はすぐ判る話ですが、この曲はエレキギターのみ半音下げチューニングです。

 

変則カッティング、アンサンブルでカチっとハマるかどうかがカギ

最大の課題は変則ストローク、左右のトリッキーな動きを制覇できるか

椎名さんの「新宿は濃霧…」で始まるイントロ、このカッティングを弾けるかどうかが「群青日和」を成功させるポイントになります。

一聴してカンタンに聴こえますし(コピーに挑戦するまで僕もそう思っていました)、運指も定番のコードワークで進行していきます。

ところが、この曲でクセモノなのがリズムワークのトリッキーさであります。右利きギタリストでいえば、左手の動きもさるコトながら、右手の動きが不規則で難解なのです。

特にイントロやサビのパートは、規則的なようで不規則なカッティングとスタッカートの連続で、しばらくの間は左手の空ピッキング、右手のストロークともに混乱するコトでしょう。

仮に実音を●で、空ピッキングを×で表記しますと、×●●→●●×といったアプローチの場合、最初の空ピッキングはダウンピッキングでも、最後はアップになります。

こういった変則フレーズの場合、空ピッキングをする側の右手は規則的であっても、指を浮かせて音を切る左手のタイミングを合わせるのが難しくなります。

さらには、ダウンとアップで空ピッキングのニュアンスが変わります。

空ピッキングでキレイに音を切るためには、両手のタイミングが完全に一致させる必要があります。左右の動きが少しでもズレた途端、ミストーンに聴こえがちになるからです。

このように、リズム取りが変則であるがゆえに左右いずれのタイミングも難解なのが「群青日和」という曲をコピーする上で突き当たる第一のカベとなります。

オリジナルに合わせながら、変則カッティングのタイミングを習得

この曲は、スコアを見ながら額面どおりコピーしようとすると必ずアタマが混乱します。

ではなく、アルバムで聴き取れるリズムを頼りに音源に合わせながらタイミングを掴む練習をするコトです。その方が、圧倒的に上達スピードが速まります。

枝葉末節にとらわれると進みません。「スコアはこうあるけど、こう弾いてるように聴こえる」というなら、迷わず「自分の耳」を重視してください。

というのも、右手の動きがダウンとすべきかアップにすべきか、各自のタイミングとやりやすさを重視して弾いた方が巧く弾けるからです。

通常のカッティングの場合、旋律に合わせて運指側のポジションをチェンジしても、弦を弾く側の上下運動(ストローク)は比較的パターン化されているものです。

ところが「新宿日和」のカッティングは一見パターン化されているものの、ストロークのパターンそのものが不規則なのです。

通常のピッキングですと、ダウン→アップの繰り返しになります。

一方、「群青日和」の場合、スタッカートのフレーズがアップ→アップ→アップを繰り返したり、アップ→ダウンが次の小節でダウン→アップに変更せざるを得なくなったりするのです。

残念ながら、バンドスコアにはストロークのヒントまではありません。実践する中でタイミングをつかみながら、体感で覚えていくしかありません。

考えながら弾くのではなく、変則パターンごと丸暗記してしまう

「群青日和」をエレキギターでクールに聴かせるためには、変則カッティングの切れの良さを体現できるか否かにかかっています。

ギターソロはファズ系エフェクターをゲイン強めにした過激なサウンドメイクですが、テクニック的には取り組みやすいでしょう。

余談ですが、アップビートなハードナンバーですが、ギターソロ以外はクランチ系の抑えた歪みでサウンドメイクすべきです。

難しいのはイントロを含めた前半のサビのカッティング、ソロを弾き終えて後半のサビに突入する半音キーが上がる(1フレット上)カッティングです。

カッティングの構成はキーが上がった後も同じですので、右手の動きは共通ですが、左手のコードポジションで混乱する可能性が高くなります。

コレはもうコツがどうこうという話ではありませんので、ひたすら左手に覚えさせるべく繰り返し練習するしかありません。日頃の努力がモノをいうところであります。

 

音が切れるタイミングが合った瞬間が最高に気持ちいい「群青日和」

「群青日和」はアップテンポでスピーディに展開する曲ですが、その随所でリズムの緩急が極端な曲調にアレンジされているコトが原因です。

すなわち、変則プレイが求められるのはドラムやベースのリズム隊も同様というコトです。

ココで、東京事変をコピーする次のカベに突き当たるコトになります。アンサンブルが合わないという致命的なカベに。

残念ながら、ここから先はギタリストひとりが頑張って解決する問題ではありません。各パートの演奏力と努力次第となります。

しかしながら、相応の苦労に見合うだけ代償が得られます。曲の要所で音が切れる瞬間、ピタリとアンサンブルが一致した瞬間の気持ちよさです。

何度でもバンド練習を繰り返し、その瞬間が味わえるようメンバー全員で取り組んでみて下さい。複雑怪奇な東京事変の中で、比較的コピーしやすい曲に違いありませんので。